潜在的なトルコ売り材料は残存するも介入警戒感から下値も硬い
今週(5/13−5/17)のトルコリラ・円相場(TRYJPY)は、週初18.3443円で寄り付くと、@先週後半に見られたトルコ国営銀行によるトルコリラ買い支え後の急騰の反動(トルコリラ売り要因)や、A米中貿易摩擦に端を発したリスク回避ムードの高まり(円買い要因)を背景に、一時17.8431円まで下落する場面も見られました。しかし、先週記録した約8ヶ月ぶり安値17.5390円に届かず下げ渋ると、週末にかけて再び持ち直す展開に。トルコ3月経常収支(結果▲5.9億ドル、予想▲9.8億ドル)や、3月鉱工業生産(結果2.1%、予想0.9%)、2月失業率(結果14.7%、予想15.0%)など、トルコの主要経済指標が軒並み良好な結果となったこともトルコリラの支援材料となりました。結局18.1801円まで反発してクローズするなど、下値の堅さを再確認する展開となりました。
トルコリラ相場を巡っては、潜在的にくすぶるトルコリラ売り圧力(@イスタンブール市長選挙のやり直しに伴う民主主義への不信感、Aロシア製の武器輸入を巡る対米及びNATO同盟国との関係悪化懸念、B外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、C高止まりするインフレ圧力、D一般特恵関税制度の対象国からトルコが除外されたことに伴う米国ートルコ間貿易の減少懸念など)を、TCMB(トルコ中銀)による1週間物レポ入札中止(実質的な利上げ)や、国営銀行を通じたトルコリラ買い介入で支える構図が続いております。市場の関心は、ファンダメンタルズの弱さに伴うトルコリラ売り圧力を、国営銀行や中央銀行を通じた為替介入でどこまで封じ込むことができるのかに移っております。
テクニカル的に見ると、2月以降、ボリンジャーバンドのミッドバンドを下回る水準での推移が続いている他、一目均衡表では強い売りシグナルを表す三役逆転が出現中です。更には昨年8月のトルコショック時に付けた安値15.318円と昨年11月に付けた戻り高値22.132円を起点としたフィボナッチ50%押し水準(18.725円)を明確に下抜けするなど、TRYJPY相場の下落トレンドは、ファンダメンタルズ的に見ても、テクニカル的に見ても、「極めて強い」と整理できます。但し、来週はトルコの経済・政治イベントに乏しいことや、イスタンブール市長選のやり直し選挙日が6/23としばらく時間があくことから、トルコリラはひとまず主体性を欠いた値動きが見込まれます。米中貿易摩擦を巡るヘッドラインや、ロシアからのミサイル購入を巡るヘッドラインに注目しつつも、来週のTRYJPY相場はレンジ内で方向感を見出し辛い時間帯が続くと予想いたします。
来週の予想レンジ TRYJPY 17.80ー18.60
トルコ円日足
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