『約2カ月ぶり安値を更新するなど冴えない動き。続落リスクに要警戒』
〇今週の南ア円、週明け早々に週間高値8.59まで上昇後一時8.26まで下落、冴えない動き
〇トランプ次期大統領の課税リスク、南ア株、金、プラチナ等の下落等が重石
〇南ア円、日足が主要テクニカルポイント下抜け、テクニカルの地合い悪化
〇トランプ関税顕在化リスク、南ア中銀利下げ観測、西側諸国との関係悪化懸念等も重石に
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.15ー8.45
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.54円で寄り付いた後、早々に週間高値8.59円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)トランプ次期大統領による「中国から輸入される全製品に10%の追加関税を課す」「来年1/20の就任初日よりカナダやメキシコからの全輸入品にも25%の関税を課す」とのSNS投稿(南アフリカへの波及リスク)や、(2)南ア株の冴えない動き、(3)南アフリカの主要産品であるプラチナ価格の軟調推移、(4)米感謝祭前のポジション調整が重石となり、週央にかけて、週間安値8.26円まで下落しました。
その後も、(5)南ア生産者物価指数(結果▲0.7%、予想▲0.2%)の市場予想を下回る結果が上値を抑え、本稿執筆時点(日本時間11/30午前5時00分現在)では、8.28円前後での冴えない動きが続いております。尚、南ア中銀は今週、金融安定報告の中で、総選挙後の連立政権樹立や停電の減少、利下げサイクル進展を受け、金融システムの安定性が改善していると評価する一方、経済成長の低迷や気候変動、サイバーリスクといった構造的課題を指摘し、来年1月から金融セクターに自己資本の1%増強を義務付け、長期的安定を図る方針を示しましたが、市場の反応は限られました。
来週の見通し(12/2−12/6)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて、一時8.26円(10/2以来の安値圏)まで急落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイントを下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を強く印象付けるチャート形状となりつつあります。最後の砦となる一目均衡表雲下限を下抜けできれば、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」も成立するため、来週は地合いの更なる悪化に警戒が集まりそうです。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トランプ次期大統領による関税引き上げの顕在化懸念(来年9月末に有効期限を迎えるAGOAから南アフリカが除外されるリスク)や、(2)南ア中銀による追加利下げ観測(先週発表された南アCPIは、南ア中銀が設定するインフレターゲットレンジ3.0%ー6.0%の中央値である4.5%を大幅に下回る2.8%へ急低下→今週発表された南アPPIも市場予想を下回る結果→南ア中銀による更なる利下げ観測)、(3)西側諸国との関係性悪化懸念(ラマポーザ大統領は10/22にプーチン大統領と会談の上、「われわれは今後もロシアを大切な同盟国と見なしアパルトヘイトとの闘いの時代からわれわれを支えてくれた大切な友人と見なす」と表明)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
トランプ次期政権がスタートし、関税政策に対する先行き不透明感が払拭されるまでは、足元のようにトランプ氏の言動に揺さぶられる不安定な値動きが続くと予想されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南ア第4四半期BER企業信頼感指数や、南ア第3四半期GDP、南ア第4四半期BER消費者信頼感指数、南ア第3四半期経常収支に注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.15ー8.45
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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