外部環境などでもみ合い、短期的には8.3円台を意識か
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、南アフリカ準備銀行(南ア中銀)が想定通りの利下げを実施した一方、米トランプ次期政権の方向性などを見極めたいとするムードも強く、ほぼ横ばい推移となった。
南ア中銀は、21日に開催した定例の金融政策委員会において政策金利(レポ金利)を25bp引き下げて7.75%とする決定を行った。南ア中銀は会合後に公表した声明文では、世界経済について「厳しさが増している」との認識を示す一方、南ア経済について「インフレ鈍化や年金制度改革などを追い風に回復が見込まれる」との見方を示した上で、「2027年には経済成長率が+2%程度まで底入れが進む」との見通しを示している。また、物価動向については「足下では下振れしているが、先行きは電力料金引き上げの影響で上振れが見込まれるも、インフレ率は目標域の中央値近傍での推移が見込まれる」とした。
会合後の記者会見にて、ハニャホ総裁は「全会一致であった」とした上で、「利下げ実施はインフレ目標実現と整合的であることで合意したものの、リスクの見通しを踏まえると慎重なアプローチが必要との見解で一致している」として小幅利下げを志向する姿勢を示した上で、「世界的な金利上昇リスクがくすぶるなか、足下のランド安は国際金融市場の変化の影響を示唆している」と外部環境を注視する考えを示している。
ほぼ想定線の結果となったことから、利下げ実施によってランドは一段安の展開は回避されたが、米トランプ次期政権の方向性やロシア・ウクライナ情勢などが意識されて、ほぼ横ばい推移となった。
ランド・円(東京時間:11月18日―11月22日)
※Investing.comの日足を参照
始値:8.4830円
高値:8.6314円
安値:8.4422円
終値:8.5341円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
11月20日
17時00分、10月消費者物価指数(前年比)、前回:3.8%、結果:2.8%
11月21日
中銀政策金利、前回:8.00%、市場予想:7.75%、結果:7.75%
11月28日
18時30分、10月生産者物価指数(前月比)、前回:−0.3%
18時30分、10月生産者物価指数(前年比)、前回:1.0%
11月29日
15時00分、10月マネーサプライ、前回:7.25%
21時00分、10月貿易収支、前回:128億ランド
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、国内経済指標や米トランプ次期政権の方向性、ロシア・ウクライナの地政学リスクなど見極め材料が多いことから横ばい推移となりそうだ。
先週発表された10月消費者物価指数(CPI)は前月よりも鈍化しており、ディスインフレの流れは確認できている。今週の10月生産者物価指数(PPI)も落ち着いた数字となれば、南ア中銀による段階的な利下げ実施観測は強まるだろう。利下げは短期的にはランド売り要因となるかもしれないが、利下げによって経済回復への期待感が強まる可能性はあることから、中長期的にはランド買いの要因になると考える。
一方、米トランプ次期政権の閣僚候補者はほぼ出そろったが、想定通りの強硬派の顔ぶれとなっている。各国との関税引き上げに伴う貿易摩擦への懸念が世界経済の重しとなっていることでランドも含めて新興国通貨の上値は重くなりそうだ。
日足の一目均衡表では、転換線が下を向いているほか、遅行スパンが実線に隠れるなどトレンドは弱い。雲上限や100日移動平均線が位置する8.37円水準まで調整する可能性はある。この水準が下値支持線として意識されて下げ止まるか注目したい。
南アフリカランド円日足
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.12.25
東京市場のドルは157円台で推移、植田日銀総裁の余波は弱く一段の円安は回避か(24/12/25)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、植田日銀総裁の発言を受けて、やや円安ドル高に振れ一時157円50銭台まで上昇した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.12.25
ドル円157円台前半、主要市場のクリスマス休暇入りで市場閑散 (12/25午前)
25日午前の東京市場でドル円は小動きに終始。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.12.25
トルコリラ円見通し ドル/トルコリラでリラが反騰、20日未明高値とダブルトップ気配(24/12/25)
トルコリラ円の12月24日は概ね4.49円から4.43円の取引レンジ、25日早朝の終値は4.44円で前日終値の4.46円から0.02円の円高リラ安だった。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.30
南アランド円週報:『約2カ月ぶり安値を更新するなど冴えない動き。続落リスクに要警戒』(11/30朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて、一時8.26円(10/2以来の安値圏)まで急落しました。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。