ドル円の反発で戻したが、米大統領選後の乱高下続く
〇昨日のトルコ円、ドル円追いかけ4.48まで切り返す、本日午前序盤は上げ渋りの様相
〇対ドル、11/11は概ね34.38から34.15の取引レンジ
〇8月後半からの持ち合い継続だが最安値近辺に付ける、ドル高圧力がかかりやすい状況
〇トルコの鉱工業生産は冴えず、失業率も高水準で推移
〇4.49超えからは4.50、4.51を順次試す上昇を想定
〇4.45割れからは下向きとして4.43前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の11月11日は概ね4.48円から4.40円の取引レンジ、12日早朝の終値は4.47円で先週末終値4.40円から0.07円の円安リラ高だった。
11月6日の米大統領選開票速報でトランプ氏優勢と報じられたことをきっかけにドル円が6日午前安値151.28円から急伸して7日午前に154.71円まで高値を伸ばしたため、トルコリラ円もドル円を追いかけて6日午前安値4.41円から7日早朝高値4.52円へ急伸したが、ドル円が急騰一巡で下落に転じ、8日早朝のFOMCの利下げを通過して8日夜安値152.14円まで下げたため、トルコリラ円も8日夜に4.43円へ下落し、その後は下げ渋ったものの8日の日足の終値は4.40円とされた。
11日は日銀金融政策決定会合での「主な意見」で利上げを急がない姿勢がみられたことや夕刻からのユーロドル急落によるドル高優勢の流れでドル円が153.95円まで戻したため、トルコリラ円も4.48円まで切り返したが、12日午前序盤はドル円がやや失速したことでトルコリラ円も上げ渋りの様相を見せている。
米大統領選による6日午前から7日午前への急騰後は乱調な展開であり、当面は13日の米CPIや14日のパウエルFRB議長講演、来年1月から発足となるトランプ政権の政策姿勢や閣僚人事構想等を見ながら方向性を探る局面と思われる。ドル円が一段高へ進めばトルコリラ円もそれを追いかけ、ドル円が失速ならトルコリラ円もいったん仕切り直しの下落期へ向かうという流れになるのだろうと思われる。
【ドル/トルコリラは8月後半からの持ち合い継続だが最安値近辺に付ける】
ドル/トルコリラの11月11日は概ね34.38リラから34.15リラの取引レンジ、12日早朝の終値は34.32リラで先週末終値の34.03リラから0.29リラのドル高リラ安だった。
11月1日に34.42リラを付けて8月28日安値34.41リラをわずかに超えて取引時間中の史上最安値を更新し、終値では1日の34.30リラから4日の34.33リラへ2営業日連続で最安値を更新したが、その後は安値更新を回避した動きを続け、11月8日は週末最終でのリラ買いで反発したものの、11日は再び最安値近辺へ押し返されている。
米大統領選でのトランプ氏勝利により為替市場はドル高優勢で推移しており、11日は独連立政権崩壊も重なってユーロドルが1.0628ドルへ下落して9月25日高値1.1213ドル以降の最安値を更新し、ポンドドルも8日から11日へ続落している。新興国通貨でも南アランドが対ドルで9月末以降の安値を更新するなど軟調な推移を続けているため、トルコリラに対してもドル高圧力がかかりやすい状況だ。
【トルコの鉱工業生産は冴えず】
11日に発表されたトルコの9月鉱工業生産は前月比1.6%増となり8月の1.6%減から持ち直したものの低水準にとどまり、前年同月比は2.4%減で8月の5.2%減を上回ったものの6月から4か月連続でマイナスに終わった。前年同月比は今年2月の11.1%増をピークに8月まで低下傾向を続けており、高インフレ・高金利・増税・緊縮財政がリアルセクターの低迷を長引かせている印象だが、ハイテク部門が前年同月比21%減と悪化が目立った。
9月のトルコ失業率は8.6%となり8月と同水準だった。今年6月に9.1%まで悪化したところから改善したとはいえ、他国と比較すれば高水準の失業率であり、15-24歳の失業率は17.1%で8月の16.8%から悪化している。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月8日早朝への下落で弱気転換目安とした4.48円を割り込み4.45円へ続落したため、8日午前時点では7日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして9日早朝から13日午前にかけての間への下落を想定したが、11日午前時点では4.46円超えからは強気転換注意として4.47円から4.48円を試す上昇を想定するとした。
11日深夜への上昇で4.48円まで戻したため、8日夜安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて、8日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして12日午前から14日午前にかけての間への上昇を想定する。4.45円割れからは弱気転換注意として8日夜安値4.43円試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして13日夜から15日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では11日夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後の伸び悩みで先行スパンへ潜り込み始めている。先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は11日深夜に70ポイントへ迫ってから50ポイント台へ低下した。60ポイント超えからは上昇再開として70ポイント超えを試すとみるが、45ポイント割れからは下落継続とみて20ポイント台を試す流れとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.45円を下値支持線、4.49円を上値抵抗線とする。
(2)4.45円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.49円超えからは4.50円、4.51円を順次試す上昇を想定する。4.50円以上は反落注意とするが、4.48円を上回っての推移なら13日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.45円割れからは下向きとして4.43円前後への下落を想定する。4.43円前後は買われやすいとみるが、下げ足が速まる場合は4.42円前後へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
11月12日
16:00 9月 経常収支 (8月 +43.24億ドル)
16:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 2.2%)
16:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 13.3%)
11月14日
20:30 週次 外貨準備高 11/8時点 グロス(11/1時点 930.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11/8時点 ネット(11/1時点 611.6億ドル)
11月15日
17:00 10月 財政収支 (9月 -1005億リラ)
注:ポイント要約は編集部
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