RBAは根強いインフレを警戒、14日の雇用統計次第では早期の利下げ観測再燃も
【今週の豪ドル】
今週の豪ドルは、オーストラリア準備銀行(豪中銀、RBA)が政策金利を4.35%に据え置き、引き続きインフレ抑制に軸足を置くスタンスを維持したことなどから、しっかりの展開となった。
RBAは5日の金融政策決定会合で、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を13年ぶりの高水準である4.35%に据え置くと決定した。据え置きは8会合連続。RBAは声明で「基調的インフレ率はなお高過ぎる。インフレ率が目標レンジ内で持続的に推移し、中間点に近づくにはまだしばらく時間がかかる。これはインフレの上方リスクに引き続き警戒する必要を高め、政策委はいかなる可能性も排除しない」との認識を示した。
ブロックRBA総裁は記者会見にて「データが弱くなれば動く用意がある」「利上げ、利下げシナリオははっきりと検討していない」「インフレの上振れリスクはあるとなお考えている」などと発言。根強いインフレに対する警戒感を残したが、タカ派な発言は観測されなかった。
豪ドルはRBAが利下げの可能性を示唆しなかったことや、米大統領選挙でトランプ氏が勝利したことなどに伴うドル上昇につられ、豪ドル高円安が進行。101円台後半の上値抵抗水準を突破し、7月24日以来の102円台まで上昇した。
豪ドル・円(東京時間:11月4日―11月8日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値: 100円35銭
高値: 102円41銭
安値: 100円00銭
終値: 102円11銭
【今週と来週の重要指標】※時間は東京時間
11月5日
12時30分、豪中銀政策金利、前回:4.35%、市場予想:4.35%、結果:4.35%
11月7日
9時30分、9月貿易収支、前回:52.84億豪ドル、市場予想:54.00億豪ドル、結果:46.09億豪ドル
11月12日
8時30分、11月Westpac消費者信頼感指数(前月比)、前回:6.2%
9時30分、10月NAB企業景況感、前回:7.0
11月13日
9時30分、第3四半期賃金指数(前期比)、前回:0.8%、市場予想:1.0%
9時30分、第3四半期賃金指数(前年比)、前回:4.1%、市場予想:3.7%
11月14日
9時30分、10月失業率、前回:4.1%、市場予想:4.2%
9時30分、10月雇用者数、前回:6.41万人、市場予想:2.80万人
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週の豪ドルは、トランプ氏勝利に伴うドルの動向を横目に見つつ、雇用統計など数多く発表される豪経済指標の内容を見極める展開となる。
ブロック総裁は利下げ見通しに対して「現時点では適切な設定になっている。状況が予想以上に悪化し始めたら、すぐに行動できるよう努める。だが、どうなるかは分からない」と述べた。タカ派でもハト派でもないスタンスを受けて、早期の利下げ観測はやや後退。市場では、早くても来年春頃の利下げ実施を予想している。
14日にはRBAが注目している雇用統計が発表される。声明で「労働市場の急な悪化は予測せず」と触れていることで市場予想と結果の乖離に注目が集まろう。雇用統計の悪化が確認できた際は、早期の利下げ観測も高まることから、いったんは豪ドル売りが強まるだろう。
日足の一目均衡表では、転換線、基準線や100日移動平均線水準を上放れた。雲のねじれを無事に通過したことや、101円台後半でのもみ合いを突破し7月24日以来の102円台に到達したことなどから、短期的には上への動きは強まりそうだ。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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