ユーロドルは高値圏もみあい、ユーロ円は戻り売り
〇先週のユーロドル、週初のPMIが弱く大幅安、1.1160レベルから1.1083レベルまで急落
〇週央には週初に下げた反動も大きく1.1214レベルと年初来高値更新
〇今週のPMI改定値とユーロ圏CPI速報値、インフレが抑えられPMI下方修正なら10月利下げ可能性高まる
〇ラガルド総裁、デギンドス副総裁、エコノミストのレーン理事らトップ3の発言には要注意
〇米国の一連の雇用関連の数字(JOLTS、ADP、雇用統計)も注目
〇今週も1.1100レベルをサポート、1.1225レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは週初の弱いPMI速報値を受けてユーロが大幅安になった反動も大きかったと思いますが、週半ばには年始来高値を更新、1.1214レベルの高値を見ることとなりました。その後大きく下げたこともあり、週後半は1.1160レベルをもみあいの中心として上下に動いても同水準に戻ってくる動きを繰り返しました。また自民総裁選ではユーロ円がドル円に追随して動いたことでユーロドルにしては一日の間に上下に振れた週末相場となりました。
ユーロは10月のECB理事会での追加利下げ思惑が週初に広がりましたが、それでも米欧金利差は現在と同じもしくは縮小の流れということは確実視されていることが年初来高値の更新に繋がったと考えられます。今週はラガルド総裁の議会証言、デギンドス副総裁、エコノミストのレーン理事とトップ3の発言が控えていることから、最近の経済指標の結果を受けての今後の金融政策のヒントが得られることを期待している参加者は多そうです。
また先週初に弱い数字でユーロ大幅安につながったPMIの改定値も発表されますのでその数字、そして米国の金融政策を占う上で重要度の増した一連の雇用関連の数字(JOLTS、ADP、雇用統計)が発表されますので米国の金融政策動向と10月17日のECB理事会に向けて重要な一週間になっていくでしょう。先週はECB内で10月の追加利下げに対して積極的なハト派理事と消極的なタカ派理事との間で対立しているという記事がロイターニュースに出てきました。
先々週までは9月に利下げを行ったことで10月の追加利下げには疑問という見方が多かったのですが、先週の弱いPMIでだいぶ流れが変わっています。市場参加者の間では9月のFOMCで0.5%下げたことも10月にECBが0.25%利下げを考える材料となっていますが、今週はPMI改定値とユーロ圏のCPI速報値も出てきますので、インフレが一段と抑えられていてかつPMIが下方修正ということになれば10月利下げの可能性が高まるという見方で良いかと思います。それ以上にECBトップ3の発言に注意です。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
大きく拡大しましたが、サポートラインは8月安値から上側のラインは9月初めの戻り高値から引いて上昇ウェッジを考えています。目先は年初来高値を更新したことで高値圏でのもみあいとなっていますが、テクニカルにはもう一段の上昇があってもおかしくないパターンです。ただ今週は欧州、米国ともに材料が多いため、一方向に動くということも無さそうで基本は先週同様の高値圏でのもみあいが予想されます。
今週も1.1100レベルをサポートに1.1225レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週もユーロ円の日足チャートを見ておきましょう。
こちらも拡大表示しましたが、8月・9月と156円での買いと163円での売りという流れが続いています。直近も9月安値と高値の61.8%押し水準へと押してきていますが、この水準を下抜けても安値トライとはならず、おそらく157円水準では買いが出てくると見られます。
ただ自民党総裁選後の円の動きは中期的な円高を考えての戻り売りが増えていくと見られますので、ユーロ円も160円の大台超えでは戻り売りのオーダーがかなり出てくるのではないかと考えています。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
9月30日(月)
15:00 ドイツ8月輸入物価
15:00 英国4〜6月期GDP改定値
21:00 ドイツ9月CPI速報値 ☆
22:00 ラガルドECB総裁議会証言 ☆
10月1日(火)
16:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
16:15 ドイツ連銀総裁講演 ☆
16:50 フランス9月製造業PMI
16:55 ドイツ9月製造業PMI
17:00 ユーロ圏9月製造業PMI
17:00 フィンランド中銀総裁講演
17:30 英国9月製造業PMI
18:00 ユーロ圏CPI速報値 ☆
10月2日(水)
18:00 ユーロ圏8月失業率
18:30 レーンECB理事講演 ☆
20:00 エルダーソンECB理事講演
23:00 オーストリア中銀総裁講演
10月3日(木)
16:50 フランス9月サービス業PMI
16:55 ドイツ9月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏9月サービス業PMI
17:30 英国9月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏PPI ☆
10月4日(金)
15:45 フランス8月鉱工業生産
16:00 スペイン中銀総裁講演
17:30 英国9月建設業PMI
21:30 米国9月雇用統計 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
9月23日(月)
週明けのユーロドルは東京市場が休場で欧州市場までは全く動かず。欧州市場序盤に発表されたPMI速報値が予想よりも大幅に弱く、次回ECB理事会での追加利下げ思惑が高まり1.1160レベルから1.1083レベルまで急落しました。その後NY前場に1.11台半ばまで戻したものの、引けにかけては売る向きも目立ち1.11近くへ押して引けました。
9月24日(火)
ユーロドルは東京市場では動意薄だったものの、欧州市場に入ってからは前日大きく下げた反動もあり買いが先行。その後はストップも巻き込みながら上昇し、米金利低下の動きから一段高、1.1181レベルと最近の高値圏に迫り、そのまま高値引けとなりました。
9月25日(水)
ユーロドルは前日の流れを受けて堅調なスタート、東京昼過ぎには1.1199レベルの高値をつけました。その後利食いも出て欧州市場前場にかけては押しも入りましたが底堅く、NY市場朝方には1.1214レベルと年初来高値を更新。しかし、その後は利食いと実需のユーロ売り(ドル買い)に押され1.1122レベルへと下落し安値圏での引けとなりました。
9月26日(木)
ユーロドルはドル円とともにユーロ円の動きが目立ったこともあり、欧州市場序盤まで強含み、一旦押しを挟んだ後に改めて買われる動きとなりました。ロンドン・フィキシングではユーロ買いの実需があったようで1.1189レベルの高値をつけ、そのまま高値圏での引けとなりました。
9月27日(金)
金曜のユーロドルは自民総裁選の決選投票までは動意薄、決選投票の結果でユーロ円がドル円とともに急落したことから一時1.1124レベルの安値をつけました。しかし、その後はドル安の動きに追随して買い戻しが入り、1.1203レベルの高値をつけましたが年初来高値には届かず、引けにかけては前日終値水準に押して引けました。
注:ポイント要約は編集部
ディスクレーマー
アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.10.12
南アランド円週報:『約2カ月半ぶり高値圏へと急上昇。上昇トレンドの継続を想定』(10/12朝)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、9/11に記録した安値7.85円をボトムに切り返すと、週末にかけて、約2カ月半ぶり高値8.58円まで上昇しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.10.12
トルコリラ円週報:『約1ヵ月半ぶり高値を更新。来週はトルコ中銀会合に注目』(10/12朝)
トルコリラの対円相場は9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、今週半ばにかけて、約1カ月半ぶり高値となる4.37円まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.10.12
来週の為替相場見通し:『ドル円は約2カ月ぶり高値を更新。心理的節目150.00が射程圏内』(10/12朝)
ドル円は9/16に記録した安値139.58をボトムに切り返すと、週後半にかけて、約2カ月ぶり高値となる149.57まで上昇しました。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:川合 美智子
2024.10.01
ユーロ円 上値余地を探る動き。下値リスクを残した状態(24/10/1)
チャートを見ると、直近の日足は前日足から大きく上寄りのスタートとなり、実体の小さい陽線引けとなりました。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:川合 美智子
2024.09.30
ユーロ円 テクニカル週報(2024年9月第5週)
直近の日足は前日足から大きく上寄りのスタートとなりましたが、石破自民新総裁誕生の報に円が急騰し、値幅の大きい大陰線で終えています。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。