豪ドルWeekly 週初の安値から4円上昇、戻りは強いがRBAの「ハト派」転換に警戒(24/9/20)

今週の豪ドルは、オーストラリア経済の堅調さが確認できたことや投機筋の円買いポジションの解消と見られる動きが入ったことなどから、週間ベースでは4円の上昇となった。

豪ドルWeekly 週初の安値から4円上昇、戻りは強いがRBAの「ハト派」転換に警戒(24/9/20)

週初の安値から4円上昇、戻りは強いがRBAの「ハト派」転換に警戒

【今週の豪ドル】

今週の豪ドルは、オーストラリア経済の堅調さが確認できたことや、投機筋の円買いポジションの解消と見られる動きが入ったことなどから、週間ベースでは4円の上昇となった。

19日に発表された8月の雇用者数はパートタイムを中心に4.75万人増加し、市場予想の2.5万人増を大きく上回った。失業率は市場予想と同じ4.2%で前月と変わらなかった。労働参加率は過去最高に留まるなど、オーストラリアの雇用は8月も堅調に推移し、高い水準の政策金利に対する労働市場の強さが確認された。ただ、雇用統計発表後の豪3年物国債利回りは3.5%台前半で推移するなど小動き。市場の関心は、米国の大幅利下げに集中したことで、豪経済指標に対する市場の動きは限定的となった。

豪雇用統計発表前の東京時間19日未明、米連邦準備制度理事会(FRB)が米公開市場委員会(FOMC)で0.5%の大幅利下げ実施を決定。記者会見でパウエルFRB議長が「利下げを急がない」方針を示したことで、為替市場ではドルがやや買われたほか、円が主要通貨に対して全面安の展開となった。

CFTCが公表する10日時点の投機筋の円ポジションが5万枚ほど買いポジションに傾いていたことなどから、円高を見込んでいた投機筋がポジションを解消したとの観測。豪ドルは16日安値から4円も豪ドル高円安に振れる大きな動きとなった。

豪ドル・円(東京時間:9月16日―9月20日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照

始値: 94円60銭
高値: 97円88銭
安値: 93円86銭
終値: 96円92銭 

【今週と来週の重要指標】※時間は東京時間

9月18日
9時30分、8月Westpac先行指数(前月比)、前回:−0.03%、結果:−0.05%
9月19日
10時30分、8月雇用者数、前回:4.89万人、市場予想:2.50万人、結果:4.75万人
10時30分、8月失業率、前回:4.2%、市場予想:4.2%、結果:4.2%
9月24日
13時30分、政策金利、前回:4.35%、市場予想:4.35%
9月25日
10時30分、8月消費者物価指数(CPI)、前回:3.5%、市場予想:3.2%

※予定は変更することがございます。

【今週末から来週の見通し】

今週末から来週の豪ドルは、20日夕方に行われる日銀金融政策決定会合後の植田和男日銀総裁の記者会見後の円相場を見極める必要はあるが、24日開催のオーストラリア準備銀行(RBA)金融政策理事会に注目となろう。

今回のRBA理事会は、引き続き「タカ派」姿勢を示すかどうかに関心が向かっている。5日にブロックRBA総裁は「インフレが依然として高すぎるため、近い将来の利下げを検討するのは時期尚早」との認識を改めて示した。「経済がおおむね予想通り推移した場合、理事会は近い将来に利下げを行う位置にあるとは想定していない」「インフレ率を2−3%の目標レンジまで抑え込むことが引き続き最優先事項」と述べた。

ブロックRBA総裁は、RBAの基本シナリオにかなりの不確実性があることを認め、理事会がいかなる状況の変化にも適切に対応すると説明。高いインフレ期待が定着した場合は、RBAとしてさらに経済成長を抑える必要が生じるとした。豪経済指標は、直近の8月雇用統計は強い数字が確認できたものの、第2四半期GDPは実質成長率が前期比0.2%増と低い成長率となったことで、RBAが「ハト派」に転じる可能性も指摘されている。雇用統計が強かったにも関わらず、金利市場がさほど動いていないことから、RBAの「ハト派」転換が市場では織り込まれていると考える。RBAが「ハト派」姿勢を示した場合、豪ドルの上値は重くなろう。

ただ、テクニカルは追い風と考える。日足の一目均衡表では、転換線、基準線を上回り雲への突入を果たしている。遅行スパンは実線をもみ合っているが、雲突入を受けて反発基調が強まりそうだ。20日移動平均線も上回っていることから、100円手前水準の雲上限を意識した動きを想定。20日の植田日銀総裁の記者会見、24日のRBA理事会を見極める状況だが、豪ドルのトレンドは強いと考える。

週初の安値から4円上昇、戻りは強いがRBAの「ハト派」転換に警戒

豪ドル円日足

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