ユーロドルは横方向もみあいか
〇先週のユーロドル、ECBで次回以降の追加利下げへの言及が無かったことでユーロ買い戻しの動き
〇週明け為替相場はドル安先行でドル円140円割れ、ユーロドルも正午過ぎに1.1105レベルの高値つける
〇9/18のFOMCが最大の注目材料、0.25%利下げなら失望感大きくドル買い戻し(ユーロ売り)繋がるか
〇ユーロ円、8月中旬以降高値安値ともに切り下げる動き続き、8月安値154.36レベル試す展開
〇今週は1.1050レベルをサポート、1.1150レベルをレジスタンスと、1.11を挟んだ動きの週を見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルはECB理事会まではユーロ売りの動き、理事会後は買い戻しとなり、一週間を振り返ると行って来いの値動きでしたが、値幅自体は100pipsに留まり相変わらず為替市場の主役はドル円とクロス円という状況です。材料としてはFOMCに向けて0.5%利下げの思惑が高まったというドル売り材料とECB理事会後の連続利下げ思惑後退によるユーロ買い(ドル売り)材料でしたが、週前半のユーロの下げはユーロ円の売りに引っ張られた面もあったようです。
そしてECB理事会では中銀預入金利は予想通り0.25%利下げして3.5%となりましたが、主要政策金利の方は0.6%利下げして3.65%としたことで、これまでの両者の差0.5%が0.15%へと縮小することとなりました。ただ、これはECBの長期的な戦略(市中銀行への貸出金利を下げる方向)で現在の為替相場への影響はありません。また次回以降の追加利下げへの言及が無かったことからユーロ買い戻しの動きとなりましたが、市場参加者のコンセンサス通り年末までにはもう1回の追加利下げがあると考えられます。
今週はECB関係者の発言も多く、今後の追加利下げに向けて何らかのヒントが出てくる可能性はありますが、それよりも18日のFOMCが最大の注目材料となります。先週前半は0.25%利下げがコンセンサスでしたが金曜時点では0.25と0.5の利下げ織り込み度が半々となり、その後0.5%の利下げ織り込み度が約6割に上がってきたことで週明けの為替相場はドル安が先行しています。ドル円の140円割れの方がインパクトは強いもののユーロドルも金曜高値を上抜け東京正午過ぎには1.1105レベルの高値をつけました。
米金利の大幅低下思惑によるドル売りがFOMCまで続きそうですが、そこからどうなるのかはFOMCの結果次第です。直近のコンセンサス通り0.5%であればドル安圧力でユーロも買われると思いますが、0.25%の場合は現状では失望感のほうが大きそうで、ドル買い戻し(ユーロ売り)に繋がると見られます。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
6月末の安値を起点としたサポートラインとそれに平行に引いた5月高値からのラインとで構成される平行上昇チャンネル(ピンク)の中で、短期的には8月高値からの平行下降チャンネル(青)の中での動きと言えます。ただ、このまま下げ続けるほどの材料はありませんので、9月安値圏に近づくと買いも出て、どこかでレジスタンス(青)を抜けていく動きがFOMC前後に出てくると見ています。
今週は1.1050レベルをサポートに1.1150レベルをレジスタンスと、1.11を挟んだ動きの週を見ておきます。
今週のコラム
今週はユーロ円の日足チャートを見ておきましょう。
9月初日に上ヒゲで買われたことを除くと8月中旬以降一貫して高値安値ともに切り下げる動きを続けています。ドル円の下げとともにユーロドルがもう少し下げれば8月安値154.36レベルを試す展開になってくると見られますが、そこから更に下げて昨年12月安値の153.21レベルをターゲットとするのか、あるいは抜け切れずに買い戻されるのか、FOMCの動きも見ながら今後の展開を考えたいと思います。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
9月16日(月)
16:00 イタリア中銀総裁講演
17:10 デギンドスECB副総裁講演 ☆
18:00 ユーロ圏7月貿易収支
21:00 レーンECB理事講演 ☆
9月17日(火)
18:00 ドイツ9月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏9月ZEW景況感
9月18日(水)
15:00 英国8月CPI
16:00 オーストリア中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏8月CPI
18:00 ユーロ圏7月建設支出
20:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
27:00 FOMC結果発表 ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆
9月19日(木)
16:15 オランダ中銀総裁講演
20:00 英中銀政策金利発表 ☆
23:40 シュナーベルECB理事講演 ☆
9月20日(金)
08:01 英国9月消費者信頼感
12:00頃 日銀会合結果発表 ☆
15:00 ドイツ8月PPI ☆
15:00 英国8月小売売上高
15:45 フランス9月企業景況感
15:30 植田日銀総裁会見 ☆
23:00 ユーロ圏9月消費者信頼感速報値 ☆
24:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
9月9日(月)
週明けユーロドルはドル買い戻しの動きの中で水準を下げ、さらにNY市場ではドル円とともにユーロ円の売りも見られたことで上値は重たいまま。1.1034レベルの安値をつけ、そのまま安値圏での引けとなりました。
9月10日(火)
ユーロドルは終日上値が重くNY市場で1.1015レベルの安値をつけ、そのまま安値圏での引けとなりましたが値幅はわずか35pipsと動意薄の一日で終わりました。
9月11日(水)
ユーロドルは東京仲値過ぎに若干買われた後はNY市場までもみあい、CPI直後のドル買いの動きで1.1002レベルの安値をつけましたが、大台割れには買いも控えていた様子で若干買い戻されて引けました。
9月12日(木)
ユーロドルはECB理事会を控えてまったく動きが見られませんでしたが、ECBが予想通り中銀預入金利を0.25%下げ3.5%としたことで、材料出尽くしによる買いが出ました。さらに追加利下げに関して何の言及も無かったことから次回の追加利下げ思惑が後退、ユーロ買いの動きが強まり1.1075レベルまで上昇し高値引けとなりました。
9月13日(金)
ユーロドルはFOMCで0.5%利下げの思惑が広がったことによるドル売りの動きからのユーロ買い、NY市場朝方には1.1102レベルの週間高値をつけました。引けにかけては週末前の調整売りも見られ1.10台後半へと押して引けました。
注:ポイント要約は編集部
ディスクレーマー
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