『米金利低下と交易条件改善期待が南アランドを下支え』
〇今週の南ア円、ドル円急反発、欧米株の堅調に8.05まで上昇
〇買い一巡後は株価の下落、ドル円の急反落に週央にかけ7.85まで反落
〇週末にかけては南ア株、金・プラチナ価格の大幅上昇に7.94前後に持ち直す
〇南ア経済復調期待、政治安定化期待、米金利大幅引き下げ観測等でドル円下落にもかかわらず上昇
〇FOMCと9/19の南ア中銀会合に要注目、南ア中銀は0.25%利下げ実施予想
〇引き続き、南アランド円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.80ー8.10
今週のレビュー(9/9−9/13)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.96円で寄り付いた後、(1)ドル円相場の急反発(急ピッチな下落に対する反動買い→ドル円上昇→南アランド円連れ高)や、(2)欧米株の堅調推移(過度なリスク回避ムード後退)が支えとなり、翌9/10にかけて、週間高値8.05円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)株式市場の大幅下落(リスクオフ再燃)や、(4)ドル円相場の急反落(南アランド円連れ安)が重石となり、週央にかけて、週間安値7.85円まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(5)米FRBによる大幅利下げ観測の再燃(対ドルでの南アランド上昇→南アランド円連れ高)や、(6)南ア株の持ち直し、(7)金・プラチナ価格の大幅上昇(南アフリカの交易条件改善期待)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間9/14午前2時00分現在)では、7.94円前後まで持ち直す動きとなっております。尚、今週は、南ア7月製造業生産高(結果2.1%、予想1.1%、前回▲0.4%)や、南ア7ー9月期BERインフレ期待(結果+5.1%、前回+5.3%)が発表されましたが、市場の反応は限られました。
来週の見通し(9/16−9/20)
ドル円相場が年初来安値を更新しているにも係わらず、南アランドの対円相場(ZARJPY)は底堅い動きが続いています。こうした動きの背景には、(1)南アフリカ経済の復調期待や、(2)南ア政治の安定化期待(国民統一政府の中に親ビジネス路線の最大野党・民主同盟が参画)、(3)上記1、2を背景とした外国人投資家による資金流入期待、(4)南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の大幅上昇(金価格は史上最高値更新。プラチナ価格は7/18以来の高値圏へと急上昇→南アフリカの交易条件改善期待)、(5)米FRBによる大幅利下げ観測再燃(米金利低下は新興国通貨の上昇要因)など、複数のファンダメンタルズ要因の組み合わせが挙げられます。
こうした中、来週は9/17ー9/18の日程で開催される米FOMCと、9/19に開催される南ア中銀会合に注目が集まります。米FOMCについては、米ウォールストリートジャーナル紙が「政策担当者らが25bpか50bpか利下げ幅を決めかねている」と報じた通り、50bpの大幅利下げもあり得るとの見方が広がっています。また、ドットチャートについても、金融市場の織り込みに沿った形でハト派的な内容になるのではとの警戒感が燻っています。従って、来週は米長期金利に低下圧力が加わり易く、上記(5)で示した要因に沿って南アランドは上昇しそうです。一方、9/19に開催される南中銀会合については、25bpの利下げ実施(4年ぶりの利下げサイクル入り)が予想されております。
米国も同タイミングで利下げに踏み切ると見られることから、米ドルと南アランドの金利差は広がらず、南ア中銀の利下げ実施が南アランド売りに繋がる可能性は低そうです。むしろ、南ア中銀による利下げ実施が南アフリカ経済の下支えに寄与するとの見方から、直後は南アランド買いで反応するシナリオが想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.80ー8.10
南アフリカランド円日足
注:ポイント要約は編集部
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