トルコリラ円週報:『史上最安値を更新するなど上値が重い。来週はトルコ中銀会合に注目』(9/14朝)

トルコリラの対円相場は一時4.12円まで下落するなど、史上最安値を更新しました。

トルコリラ円週報:『史上最安値を更新するなど上値が重い。来週はトルコ中銀会合に注目』(9/14朝)

『史上最安値を更新するなど上値が重い。来週はトルコ中銀会合に注目』

〇今週のトルコ円、フィッチによるトルコ格付けの引き上げ決定を背景に、週明け4.23まで上昇
〇買い一巡後は、ドル円の大幅下落等に週末にかけて、史上最安値4.12円まで下落
〇トルコ円、テクニカルの地合い極めて弱く、イスラエル・ハマスをめぐる地政学リスクが重石
〇来週のトルコ中銀会合でタカ派色の後退が示される場合にはもう一段の下落圧力も
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.00ー4.30

今週のレビュー(9/9−9/13)

今週のトルコリラ円相場は、週初4.18円で寄り付いた後、(1)格付け会社フィッチによるトルコ長期外貨建て発行体デフォルト格付けの引き上げ決定を背景に、週明け早々に週間高値4.23円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(2)ドル円相場の大幅下落(トルコリラ円連れ安)や、(3)株式市場の冴えない動き(リスク回避ムード再燃)、(4)トルコ7月経常収支(結果5.7億ドル黒字、予想6.0億ドル黒字)の市場予想を下回る結果、(5)週次外貨準備高(グロスベース:結果865.7億ドル、前週893.3億ドル、ネットベース:結果397.4億ドル、前週408.9億ドル)の前週比減少が重石となり、週末にかけて、史上最安値4.12円まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/14午前2時00分現在)では、4.15円前後で推移しております。尚、今週発表されたトルコ7月失業率(結果8.8%、前回9.2%)および、トルコ7月鉱工業生産(結果+0.4%、前回▲2.1%)はいずれも良好な結果となりましたが、市場の反応は限られました。

来週の見通し(9/16−9/20)

トルコリラの対円相場は一時4.12円まで下落するなど、史上最安値を更新しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、一目均衡表基準線、転換線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド)を軒並み下抜けしていることや、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役逆転」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)イスラエル・ハマスを巡る地政学的リスクの長期化懸念(停戦に向けた協議進展の兆しが見えず。エルドアン大統領はハマスを応援する姿勢を示しているため、西側諸国との関係悪化懸念あり)や、(2)上記1を背景とした外国人投資家による資金流出懸念(格付け会社による相次ぐ格上げや、運用会社によるトルコアセットの組み入れ再開など、昨年来、外国人投資家による資金流入を促す素地が整っていたが、エルドアン・リスクに端を発した地政学的リスクの高まりを受けて、外国人投資家による資金流出圧力が再開)、(3)トルコ経済の先行き不透明感(約1年に亘る金融引き締めを受けてトルコ経済に悪影響が出始めたとの見方の広がり)、(4)上記3を背景としたトルコ中銀による年内利下げ観測台頭など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。

来週予定されているトルコ中銀会合でタカ派色の後退(政策金利の据え置き+声明文でトルコ経済の減速懸念やインフレ上振れリスクの低減)が示される場合には、年内利下げ開始を織り込む形で、トルコリラにもう一段強い下落圧力が加わるシナリオも想定されるため、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(心理的節目4.00円割れを試すシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):4.00ー4.30

注:ポイント要約は編集部

『史上最安値を更新するなど上値が重い。来週はトルコ中銀会合に注目』

トルコリラ円日足

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