対ドルでのトルコ安一服するも、ドル円での円高に圧される展開
〇トルコ円、ドル円の持ち直しを見て9/12午後4.21へ戻すも、ドル円失速に合わせて9/13早朝4.17へ下落
〇対ドル、9/12は概ね34.01から33.74の取引レンジ、34リラを挟んだ持ち合い範囲でややジリ高
〇トルコ経常収支は2か月連続で黒字、週次の外貨準備高は減少
〇4.15を上回るうちは、4.20から4.21にかけての水準を試す上昇を想定する
〇4.15割れからは下落再開として、9/11午後の史上最安値4.13試しを想定する
【概況】
トルコリラ円の9月12日は概ね4.21円か4.17円の取引レンジ、13日早朝の終値は4.18円で前日終値の4.19円から0.01円の円高リラ安だった。
9月11日午後にドル円が140.71円へ下落して8月5日安値141.69円を割り込み7月3日高値161.94円以降の最安値とした局面でトルコリラ円は4.13円へ下落して取引時間中の史上最安値を更新し、その後はドル円の持ち直しを見て12日午後に4.21円まで戻したが、13日早朝にかけてドル円が再び失速するとトルコリラ円もドル円を追いかけて13日早朝に4.17円へ下落した。
ドル円は日銀の田村審議委員が1%への利上げに言及したこと、ECBが予想通りに追加利下げを決定したものの10月は見送りの公算と報道されたこと、8月の米PPIが全体の前年比で顕著に低下したことで大幅利下げの可能性は低いものの年末にかけて連続利下げへ向かう可能性が高まったこと等を背景に12日夕高値143.03円まで戻してから失速気味の推移となり142円を割り込んだ。9月5日夜以降の戻り高値は徐々に切り下がり右肩下がりの展開であり、すでに8月5日安値を割り込んで7月3日以降の下落が二段目に入っているため、円高バイアスが継続する可能性も高いのではないかと思われる。
トルコリラ円はドル/トルコリラにおけるリラ安に一服感がみられるものの円高局面で大きく圧されやすい状況であり、ドル円と共に戻り高値を切り下げながら最安値を試して行くのではないかと思われる。
【ドル/トルコリラは34リラを挟んだ持ち合い範囲でややジリ高】
ドル/トルコリラの9月12日は概ね34.01リラから33.74リラの取引レンジ、13日早朝の終値は33.91リラで前日終値の33.97リラからは0.06リラのドル安リラ高だった。
8月28日に34.41リラへ取引時間中の最安値を大幅に更新し、8月30日終値34.07リラを終値としての最安値としたが、その後は8月28日安値と9月2日高値33.62リラまでのレンジ内で34リラを挟んだ持ち合いを続けている。9月9日と10日は終値を34リラ台としたものの11日と12日は34リラを割り込み10日からは小幅ながらドル安リラ高で推移して持ち合い中の高値を試している。
トルコの7月経常収支が6月に続き若干の黒字だったことはリラ高要因だったが、週次の外貨準備高が減少したのはマイナスだった。
【トルコ経常収支は2か月連続で黒字】
9月12日に発表されたトルコの7月経常収支は5.66億ドルの黒字となり6月の4.1億ドルの黒字を上回った。
貿易赤字は恒常的だが夏場の観光収入拡大による黒字であり、昨年は昨年8月、9月に黒字だったもののそれ以外は赤字であり、今年も6月と7月の連続黒字からさらに黒字を継続できれば構造的な経常赤字体質からの脱却への期待感も生じると思われるが、小幅な黒字が続いても年末にかけて大幅な赤字が連続するようだと構造的な赤字体質は変わらないとして海外投資家の評価も下がりかねない。慢性的な貿易赤字を海外観光収入と海外からの投資により穴埋めする構造的な経常赤字体質の脱却は難しい。
【週次の外貨準備高は減少】
9月12日に発表された週次の外貨準備高は9月6日時点のグロスで865.7億ドルとなり8月30日時点の893.3億ドルから減少し、ネットでは397.4億ドルとなり8月30日時点の408.9億ドルから減少した。
グロスの準備高は昨年末に975.6億ドルまで増加したところをピークとして今年5月に649.7億ドルまでいったん減少したものの再び増加に転じ、7月後半に947億ドルまで回復したが、その後は伸び悩んでいる。ネットでは8月2日時点で514.5億ドルとして2023年6月のマイナス57億ドル以降の最高としたが、その後は400億ドル台を維持しているものの減少気味で推移している。
トルコ中銀の金融政策正常化継続とインフレ抑制のための適切な金融引き締め姿勢の維持、外貨準備高増強が海外からの信用度向上のために重要であり、外界準備高の減少が顕著になる場合は海外投資家心理にはマイナスに影響しかねない。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラの概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月9日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、11日午後に史上最安値を更新してからの反騰により12日午前時点では11日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして12日の日中から16日夜にかけての間への上昇を想定し、9月5日深夜高値以降の戻り高値切り下がり基調は続いているので今回も戻り高値を切り下げて早々に一段安へ進む可能性もあるとした。
12日午後に高値を切り上げてから失速しているのですでに弱気サイクル入りしている可能性があると注意し、4.15円割れからは弱気サイクル入りとして16日の日中から18日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では12日午後への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンからも上抜けたが、13日早朝への下落で遅行スパンは再び悪化し始めて先行スパンからも転落しつつある。先行スパンからの転落を回避する内は上昇再開から一段高へ進む可能性ありとみるが、連続的な下落で先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は9月12日午後に60ポイント台へ到達してから50ポイント割れへ低下しているため、55ポイント超えからは上昇再開とするが、40ポイント割れからは下落継続とみて20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.15円を下値支持線、4.21円を上値抵抗線とする。
(2)4.15円を上回るうちは4.20円から4.21円にかけての水準を試す上昇を想定する。4.20円以上は反落警戒とするが4.16円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)4.15円割れからは下落再開として11日午後の史上最安値4.13円試しを想定し、4.15円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。ドル円の急落等で下げ足が速まる場合は4.11円から4.10円へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
9月13日
16:00 9月 トルコ中銀ビジネスサーベイ(年末CPI、ドル/トルコリラ予想集計)
9月16日
17:00 8月 財政収支 (7月 967.8億リラ)
9月19日
20:00 トルコ中銀 政策金利・週間レポレート (現行 50.0%、予想 50.0%)
20:30 週次 外貨準備高 9月13日時点
注:ポイント要約は編集部
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