ドル円見通し 143円到達後に失速、9月5日夜からの右肩下がり基調続く(24/9/13)

12日夜の米8月PPIで全体の前年比が顕著に低下して新規失業保険申請件数も3週ぶりに悪化したこと等からドル安優勢となり、13日早朝には142円を割り込んだ。

ドル円見通し 143円到達後に失速、9月5日夜からの右肩下がり基調続く(24/9/13)

ドル円見通し 143円到達後に失速、9月5日夜からの右肩下がり基調続く

〇ドル円、9/12午後に143.03まで上昇するも143円到達で売られ、9/13早朝には142円を割り込む
〇9/12夜の米8月PPI・新規失業保険申請件数の結果を背景に、ドル安優勢に
〇米8月PPI、全体の前年比が顕著に低下、米国の連続利下げ感強まる
〇日銀の追加利上げ追及姿勢発言相次ぐ、ドル円は戻り高値切り下がり
〇米長期債利回りは10年債・30年債利回りが小幅上昇、米株価は連騰
〇141.50を上回るうちは上昇余地ありとし、143.03超えからは143円台中盤への上昇を想定する
〇141.35割れからは、9/11午後安値140.71を試す下落を想定する

【概況】

ドル円は日銀審議委員の追加利上げ姿勢や株安等により9月11日午後に140.71円へ下落して8月5日安値141.69円を割り込み7月3日高値161.94円以降の安値を更新したが、141円割れに対する突っ込み警戒感と株高で持ち直し、米8月CPI発表後の乱高下を通過して12日午後には143.03円まで戻した。しかし143円到達で売られ、12日夜の米8月PPIで全体の前年比が顕著に低下して新規失業保険申請件数も3週ぶりに悪化したこと等からドル安優勢となり、13日早朝には142円を割り込んだ。

【米8月PPI、全体が大幅低下で米国の連続利下げ感強まる】

9月12日夜に発表された8月の米PPI(生産者物価指数)は前月比0.2%上昇と市場予想の0.1%上昇を上回ったものの前年同月比は1.7%上昇で7月の2.1%(速報の2.2%から下方修正)を下回った。コア指数は前月比0.3%上昇で7月のマイナス0.2%(0.0%から下方修正)及び市場予想の0.2%を上回り、前年同月比は2.4%上昇で7月の2.3%(速報の2.4%から下方修正)を上回ったものの市場予想の2.5%を下回った。
米週間新規失業保険申請件数は前週比2000件増の23万件となり市場予想と一致したが3週ぶりに悪化した。失業保険受給者数は185万人となり前週の183.8万人から増加して市場予想の184万5000人を上回った。

12日の米8月CPI及び13日夜のPPIや新規失業保険申請件数等を踏まえ、9月17/18日のFOMCでは0.50%の大幅利下げではなく0.25%の通常利下げに留まるとの見通しが優勢だが、年末にかけて連続利下げとなる可能性も高まったために米経済指標発表を通過して為替市場はドル安反応を見せた。
ECB(欧州中銀)が市場予想通りに0.25%の追加利下げを決定したが、経済成長見通しが大幅に悪化しない限り10月の次回理事会で連続利下げとなる公算は小さいとECB関係筋が語ったとされる報道もユーロ高ドル安に寄与したようだ。

【日銀の追加利上げ追及姿勢、ドル円は戻り高値切り下がり】

9月12日に日銀の田村審議委員は「物価目標達成には少なくとも1%程度まで短期金利の引き上げが必要」、「市場動向に十分配慮しつつ適時かつ段階的に利上げが必要」などと述べた。日銀内ではタカ派とされているが、具体的な水準に言及したことで発言が伝わった後は円高反応も見られたが、前日に中川審議委員が「見通しが実現していけば緩和度合いを調整していく」等と述べており、直近の植田総裁等による発言も追加利上げに前向き姿勢だったためにサプライズ感は乏しく市場の反応は限定的だった。
しかし、米国が9月から3会合連続で利下げを行う可能性が高まっていることとの政策姿勢の差がドル円の戻りを抑えているため、9月に入ってからドル円の戻り高値は徐々に切り下がっている。9月11日の下落で世界連鎖株安を反映して急落した8月5日安値を割り込んだため、7月3日高値を起点としたドル円の下落は8月5日までを一段目とし、8月15日高値から二段目の下落期に入っているが、その二段目も8月26日までを一段目とし9月3日から二段目に入っており、三段下げ型へと発展してゆく可能性が高いのではないかと思われる。

【米長期債利回りは10年債・30年債利回りが小幅上昇、米株価は連騰】

9月12日の米長期債利回りは大幅利下げ期待が後退する中で10年債利回りや30年債利回りが小幅上昇したが2年債利回りは低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.01%上昇の3.67%となった。11日に一時3.60%まで低下して2023年10月のピークである5.02%以降の最低を更新してから戻していたが12日も小幅ながら続伸した。
30年債利回りは前日比0.02%上昇の3.99%。政策金利動向に敏感な2年債利回りは11日に一時3.55%をつけて昨年10月19日に付けた5.26%以降の最低を更新してから上昇に転じていたが、3.70%前後に抵抗感があり12日は勢いが続かずに前日比0.01%低下の3.64%に留まった。

一方でNYダウは前日比235.06ドル高となり11日の124.75ドル高から連騰とし、ナスダック総合指数も174.15ポイント高となり9日から4連騰した。9月17/18日のFOMCにおける大幅利下げ期待は後退しているものの年末にかけての連続利下げに対する期待度は高まっているために楽観的に買われている。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は9月11日午後に8月5日安値を割り込んで7月3日以降の最安値としたところから2円近くを戻したために12日午前時点では11日午後安値を目先の底として戻りを試す局面としたが、12日午後に143円に到達してから142円割れへ失速しているためすでに下落再開に入っている可能性がある。
141.50円割れを回避して142円台回復へ切り返す場合は再び143円を目指すとみるが、141.50円割れからは下向きとし、141.35円割れからは11日安値試しへ向かうとみる。11日午後安値を割り込む場合は16日の日中から18日午後にかけての間へ安値試しを続けやすくなるとみる。

60分足の一目均衡表では9月13日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しつつあるため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は9月11日午後の20ポイント台から12日午後に60ポイント台へ戻したものの13日朝には40ポイントまで低下しているため、50ポイントを下回るうちは20ポイント台への低下を想定する。強気転換には55ポイントを超えてからも50ポイント以上で推移して143円に届く必要があると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、141.35円を下値支持線、9月12日夕高値143.03円を上値抵抗線とする。
(2)141.50円を上回るうちは上昇余地ありとし、143円手前では売られやすいとみるが143.03円超えからは143円台中盤(143.35円から143.65円)への上昇を想定する。
(3)141.35円割れからは11日午後安値140.71円を試す下落を想定する。140.70円台は買われやすいとみるが、140.71円を割り込む場合は140.0円前後試しへ下値目途を引き下げ、週明けも安値試しが続きやすくなるとみる。

【当面の予定】

9/13(金)
13:30 (日) 7月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 2.8%)
13:30 (日) 7月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 2.7%)
13:30 (日) 7月 設備稼働率 前月比 (6月 -3.1%)
18:00 (欧) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 -0.1%、予想 -0.5%)
18:00 (欧) 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 -3.9%、予想 -2.7%)
21:30 (米) 8月 輸入物価指数 前月比 (7月 0.1%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 8月 輸出物価指数 前月比 (7月 0.7%、予想 -0.1%)
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (8月 67.9、予想 68.5)



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