日米金融政策格差を背景に上値の重い展開が継続中。続落リスクに要警戒
〇ドル円、米国時間午後にかけて、安値141.73まで下落、141円台後半での推移
〇米8月生産者物価指数の伸び率鈍化、米新規失業保険申請件数の冴えない結果等が背景
〇ユーロドル、ECB理事会の予想通りの0.25%利下げ、米金利低下等に1.10台後半に反発
〇ドル円、テクニカルの地合い極めて弱く、ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違いが重石
〇引き続き、ドル売り円買いトレンドの継続(節目140.00割れを試す展開)をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:140.50ー143.00
海外時間のレビュー
12日(木)のドル円相場は上値の重い展開。(1)日経平均株価の大幅上昇や、(2)上記1を背景としたリスク選好の円売り圧力、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値143.04まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)田村日銀審議委員による「見通し期間後半には少なくとも1%程度まで利上げが必要」「市場動向に十分配慮しつつ、適時かつ段階的に利上げが必要」とのタカ派的な発言(アジア時間帯の発言が海外勢参入後に改めて意識されたこと)や、(5)米8月生産者物価指数(結果+1.7%、予想+1.7%、前回+2.1%)の伸び率鈍化、(6)米新規失業保険申請件数(結果23.0万件、予想22.7万件)の冴えない結果、(7)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値141.73まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/13午前6時30分現在)では、141.85前後で推移しております。
12日(木)のユーロドル相場は堅調な値動き。欧州時間朝方にかけて、安値1.1005まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)心理的節目1.1000を背にした押し目買い圧力や、(2)ECB理事会およびラガルド総裁記者会見の無難な結果(ECBは予想通り25bpの利下げを決定するも、「今後の金利経路はデータ次第」として次回利下げの時期や幅に関するヒントを一切与えず→10月ECB理事会での追加利下げ観測後退→ユーロ反発)、(3)米8月生産者物価指数の伸び率鈍化、(4)米新規失業保険申請件数の冴えない結果、(5)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.1075まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/13午前6時30分現在)では、1.1073前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時143.04まで上昇するも、結局141円台後半まで値を崩す冴えない動きとなりました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が成立していること、4時間足などの下位足でも売りシグナル(弱気のパーフェクトオーダーや一目均衡表三役逆転)が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による追加利上げ観測の高まり(昨日は田村日銀審議委員からもタカ派的な発言あり)や、(2)米FRBによる年内複数回の利下げ観測(9月FOMCでの50bp利下げ観測は後退しているものの、年内100bpの利下げが織り込まれている状態)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差縮小に伴うドル売り・円買い)、(4)米大統領選でのハリス氏優勢報道(トランプトレード逆流に伴うドル売り圧力)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続(心理的節目140.00割れを試す展開)をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米8月輸出入物価指数や、米9月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値に注目が集まります。
本日の予想レンジ:140.50ー143.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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