『約1カ月半ぶり安値更新後に持ち直す展開。上昇トレンドの再開に期待』
〇今週の南ア円、週初の高値8.64から週後半にかけ安値8.20まで急落
〇世界的株安、円キャリー巻き戻し、南ア指標の不冴え、金・プラチナ価格の大幅下落等が重石に
〇売り一巡後は、ドル円反発等で持ち直し、8.4近辺で越週
〇南ア円、主要テクニカルポイントを軒並み下抜け、強い売りシグナルも成立、地合いの悪化懸念される
〇ファンダメンタルズは円キャリートレード再開期待や南ア政局安定化期待等がサポート
〇引き続き、南アランド円相場の持ち直しをメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.30ー8.60
今週のレビュー(7/22−7/26)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.60円で寄り付いた後、早々に週間高値8.64円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)世界的な株安に伴うリスク回避ムードの高まり(新興国通貨に下落圧力)や、(2)日銀による利上げ観測に端を発した円キャリートレードの巻き戻し(ドル円・クロス円急落→南アランド円連れ安)、(3)南ア5月景気先行指数(結果111.9、前回113.0)の冴えない結果、(4)南ア6月消費者物価指数(結果+5.1%、予想++5.1%、前回+5.2%)の伸び率鈍化、(5)南ア6月消費者物価コア指数(結果+4.5%、予想+4.6%、前回+4.6%)の伸び率鈍化、(6)上記4、5を背景とした南ア中銀による早期利下げ観測再燃、(7)金・プラチナ価格の大幅下落(南アフリカの交易条件悪化懸念)が重石となり、週後半にかけて、週間安値8.20円(約1カ月半ぶり安値圏)まで急落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(8)6/7安値8.18円を背にした押し目買い圧力や、(9)ドル円相場の急反発(南アランド円連れ高)、(10)南ア6月生産者物価指数(結果+4.6%、予想+4.5%、前回+4.6%)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間7/27午前1時00分現在)では、8.42円前後まで持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(7/29−8/2)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、7/11に記録した高値8.98円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約1カ月半ぶり安値となる8.20円まで急落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「ダブルトップの下方ブレイク」「一目均衡表三役逆転」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化が警戒されます。但し、日足ローソク足が6/7安値8.18円や、200日移動平均線が位置する8.12円を辛うじて死守できたことはポジティブに捉えることもできるため、来週は下落トレンドの終焉と上昇トレンドの再開を意識したトレード(南アランドの買い場を探る動き)が強まるシナリオも想定されます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による追加利上げの難しさ(河野太郎デジタル相や茂木敏充自民党幹事長が相次いで追加利上げを求める発言をしたことで今週は日銀による追加利上げ観測が高まりましたが、実質賃金低下の流れが続いていること等を踏まえると、日銀が追加利上げに踏み切ることは容易ではない)や、(2)南ア中銀による利下げ開始の難しさ(今週発表された南アフリカのCPI・コアCPIがいずれも鈍化したことで南ア中銀による早期利下げ観測が高まりましたが、米FRBに先行して南ア中銀が利下げに転じることは難しく、また、インフレについても、南ア中銀が予測しているような楽観シナリオが実現する可能性は乏しい)、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの再開期待(南アランドと日本円の金利差に着目した南アランド買い・円売り圧力)、(4)南アフリカの政局安定化期待(政治イベントを通過できたことで外国人投資家による資金流入が増加するとの期待感)など、南アランド円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の持ち直しをメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.30ー8.60
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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