トルコリラ円見通し ドル/トルコリラが終値の史上最安値を更新して円安を活かせず
〇トルコリラ円、6/20午後4.87を付けて6/18安値4.79以降の高値とするも失速、6/20日夜4.81へ下げる
〇対ドルでのリラ売り再開と終値の史上最安値更新が円安効果を相殺、トルコリラ円は上昇できず
〇対ドル、6/20は概ね32.88から32.33の取引レンジ、終値ベースの史上最安値を更新
〇6/21午前には32.92を付けて、4/12の取引時間中の史上最安値33.03へ迫る勢いを見せる
〇トルコ消費者信頼感指数低下、財政収支は6か月振りのプラス、中央政府債務は過去最大を更新
〇4.85を下回るうちは一段安余地ありとし、4.81割れからは4.79前後への下落を想定する
〇4.85超えから続伸する場合は、4.87試しとする
【概況】
トルコリラ円の6月20日は概ね4.87円から4.81円の取引レンジ、21日早朝の終値は4.84円で前日終値の4.86円からは0.02円の円高リラ安だった。
ドル円が6月14日の日銀会合を通過して乱高下した際の高値158.25円を超えて一段高に入り21日早朝には159円に迫ったためにクロス円全般は円安による押し上げがみられたが、ドル/トルコリラが終値ベースの史上最安値を更新したことによるリラ安が円安を相殺したことでトルコリラ円は上昇できずに終わった。
6月20日夜発表の米経済指標は概ね予想よりも低調だったものの為替市場ではユーロドルが6月18日夜高値以降の安値を更新し、ポンドドルは6月14日夜安値を割り込んで6月12日高値以降の安値を更新する一段安となりメジャー通貨におけるドル高感が優勢となったためにドル円は6月14日高値を超えて一段高に入った。来週の米財務省による大量国債入札予定が発表されたこともあり米長期債利回りが上昇したことに加え、米財務省の半期為替報告書において日本が為替監視国対象に再指定されたために政府・日銀による今年三度目の市場介入がしづらくなったとの見方が円売りを助長した印象だ。
トルコリラ円は円安を活かして上昇したかったところだが、対ドルでのリラ売り再開と終値ベースでの史上最安値更新が円安効果を相殺したため、20日午後に4.87円を付けて6月18日安値4.79円以降の高値としたものの、欧州市場時間入りから失速して20日夜に4.81円まで下げ、その後の戻りも4.85円までにとどまった。
ドル円が160円を目指す可能性が高まる一方でドル/トルコリラの史上最安値更新が再燃しているため、トルコリラ円としては円安よりもリラ安が勝る形で下落しやすくなった印象があり、ドル円が159円台ないし160円到達で三度目の市場介入があればドル円の急落と対ドルでのリラ安が重なる可能性もあると注意したい。
【ドルトルコリラは終値の史上最安値更新】
ドル/トルコリラの6月20日は概ね32.88リラから32.33リラの取引レンジ、21日早朝の終値は32.81リラで前日終値の32.50リラから0.31リラのドル高リラ安だった。
6月14日から17日へのドル高リラ安により17日終値32.79リラで終値としての史上最安値を更新し、いったん売り一巡で買い戻されていたものの19日高値32.30リラから再びリラ売り優勢となり20日終値は17日終値を超えて終値ベースの史上最安値を更新した。6月21日午前には32.92リラを付けて4月12日に付けた取引時間中の史上最安値33.03リラへ迫る勢いを見せている。
6月21日早朝にかけてユーロやポンドが下落してドル高優勢の流れとなったことも影響しているが、月末の仏総選挙での極右・右派勢力台頭見通しや来月の英総選挙での与党勢力の大幅議席減見通しなど欧州の政治情勢への不安感がリスク回避的な動きを助長していることもリラに対する投機的な買いポジション解消を強いている印象もある。
【トルコ消費者信頼感指数低下、外貨準備高減少、中央政府債務拡大】
6月20日に発表されたトルコ6月消費者信頼感指数は78.3となり5月の80.5から悪化した。昨年8月の68.0から今年4月の80.5まで改善してきたものの5月は横ばいとなり6月に失速したため改善傾向の頭打ち感がみられる。
5月のトルコ財政収支は2194.1億リラの黒字となり4月の1778億リラの赤字から改善して6か月振りプラスとなった。年前半の増税や緊縮財政方針により昨年12月に8425億ドルの大幅赤字としたところから揺れ返しの改善がみられるものの、増税と緊縮財政が年後半への景気を圧迫すると懸念されている。
5月の自動車生産は前年比3.7%減となり4月の13.2%減から改善したもののマイナス圏に留まり、自動車販売は前年比10.1%減で4月の22.3%減から改善したもののマイナス圏に留まった。
トルコ中銀による週次の外貨準備高はグロスの発表がなかったものの6月14日時点のネットは470億ドルで6月7日時点の475.2億ドルから減少した。
5月のトルコ中央政府債務残高は7兆6413リラとなり4月の7兆4926億リラから増加して過去最大を更新した。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、6月18日午後からの急伸で強気転換目安の4.82円を超えたために19日午前時点では18日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして19日午後から21日夕にかけての間への上昇を想定した。
20日午後時点では4.82円割れから弱気サイクル入りとしたが、20日夜への下落で4.82円を割り込んだため、20日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は20日夜安値を含めて25日朝にかけての間とし、20日午後高値超えからは新たな強気サイクル入りとして25日午後から27日夕にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では6月20日夜への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも一時転落したがその後の反発で先行スパンに潜り込んでいる。遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、6月20日午後高値を超えないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とするが、20日午後高値超えからは新たな上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は6月18日夕高値から20日午後高値への上昇時に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられてから30ポイント前後の水準へ低下した。21日早朝に50ポイントを一時超えているものの60ポイント超えへ進めないうちは次に40ポイントを割り込むところから20ポイント台の低下を想定し、60ポイント超えからは上昇再開として70ポイント前後への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.81円を下値支持線、4.87円を上値抵抗線とする。
(2)4.85円を下回るか一時的に超えても維持できないうちは一段安余地ありとし、4.81円割れからは4.79円前後への下落を想定する。4.79円以下は反騰注意とするが4.82円を下回っての推移か直前安値から0.05円を超える反騰がみられない場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.85円超えから続伸する場合は4.87円試しとする。4.86円以上は反落警戒とするが4.85円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
6月24日
16:00 6月 製造業信頼感指数 (5月 105.4)
16:00 6月 設備稼働率 (5月 76.3%)
6月25日
17:00 5月 海外観光客数 前年同月比 (4月s 8.7%)
6月27日
16:00 6月 経済信頼感指数 (5月 98.2)
20:00 トルコ中銀 政策金利 週間レポレート (現行 50.0%、予想 50.0%)
20:30 週次 外貨準備高 6月21日時点
注:ポイント要約は編集部
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