ドル円見通し 6月14日高値を超えて5月3日以降の高値更新、159円に迫る(24/6/21)

20日夕刻に158.25円を超えて一段高に入ると上昇が勢いを増して21日早朝には158.94円を付けて159円に迫った。

ドル円見通し 6月14日高値を超えて5月3日以降の高値更新、159円に迫る(24/6/21)

ドル円見通し 6月14日高値を超えて5月3日以降の高値更新、159円に迫る

〇ドル円、6/20夕刻に6/14日銀会合後の高値158.25を超え、一段高に入る
〇上昇が勢いを増し、6/21早朝には158.94を付けて159円に迫る
〇米財務省は日本を再び為替監視対象に指定、介入しづらい状況にあるとの見方を強めるきっかけに
〇昨日発表の米経済指標は総じて弱めの結果
〇米10年債利回りは来週の大量入札控えて上昇、NYダウは3連騰、ナスダックは8営業日ぶりにの反落
〇157.50以上で推移する内は、159円超えから159円台中盤への上昇を想定する
〇158.40割れからはいったん下げに入るとみて、158円台序盤への下落を想定する

【概況】

ドル円は6月18日高値158.22円で6月14日の日銀会合後に付けた高値158.25円に迫ってから19日夕安値157.60円までいったん下げていたが、6月14日夜の反落時安値156.88円以降徐々に底上げしてきた流れを継続して158円台を回復し、20日夕刻に158.25円を超えて一段高に入ると上昇が勢いを増して21日早朝には158.94円を付けて159円に迫った。
6月20日夜の米経済指標は総じて市場予想よりも弱かったものの市場のドル売り反応は鈍く、米長期債利回りが上昇したものの勢いに欠けたのだが、仏総選挙での極右右派勢力台頭見通しや来月の英総選挙での与党敗北懸念を背景にユーロやポンドが急落してドル高感が強まりドル円を押し上げた。
米政府の為替報告書で日本が監視対象に再指定されたこともあり、市場は政府・日銀が市場介入しづらくなったと受け止めて円安継続感が優勢となったことも21日早朝にかけての上昇を助長したと思われる。

【日本は再び為替監視対象に】

米財務省は6月20日に主要貿易相手国の通貨政策に対する報告書を公表し、日本を再び「監視対象」に指定した。為替報告書は議会に対して年2回報告され、@大幅な対米貿易黒字、A大幅な経常黒字、B一方的で継続的な為替市場介入の3つを基準としてすべてが該当すると為替操作国とされ、2つ以上に該当すると監視対象国とされるが、日本は2016年から「監視対象国」とされ、2023年の6月と11月の報告書では除外されていたが1年振りに指定された。

日本の市場介入については「毎月実績を公表しており透明性がある」とし、4月29日と5月2日早朝の円買いドル売り介入については「輸出を有利にする自国通貨安への誘導ではなく、非競争的な行為ではない」と理解を示したが、「市場介入は極めて例外的な状況に限り、適切な協議を踏まえて実施されるべき」とけん制した。
イエレン財務長官が「市場介入はまれなこと」と述べ、神田財務官が「まれなことは当然ながら急激な円安に対しては市場介入を辞さない」と述べたこともあるが、5月2日早朝の介入時水準を超えても今年三度目の市場介入に踏み込まなかったことを踏まえると今回の為替報告書は日米関係的には介入しづらい状況にあるとの見方を強めるきっかけとなった印象もある。

【米経済指標は総じて弱め】

6月20日に米商務省が発表した1-3月期経常赤字は前期比7.2%増の2376億4500万ドルとなり2四半期連続で拡大して市場予想の2064億ドルを上回った。
米商務省による5月住宅着工件数(年換算)は前月比5.5%減の127万7000戸となり市場予想の137万戸を大幅に下回り、先行指標となる住宅着工許可件数も前月比3.8%減の138万6000戸となり市場予想の145万戸を大幅に下回った。
フィラデルフィア連銀による6月製造業景況指数は1.3となり5月の4.5から低下して市場予想の5.0を下回った。内訳では新規受注がマイナス7.9からマイナス2.2へ、雇用がマイナス7.9からマイナス2.5へ改善したもののマイナス圏に留まり、6か月後見通しは5月の32.4から13.8へ悪化した。

【米10年債利回りは来週の大量入札控えて上昇、ダウは連騰、ナスダックは8日ぶり反落】

6月20日の米長期債利回りは総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.04%上昇の4.26%、30年債利回りは同0.04%上昇の4.40%、2年債利回りは同0.02%上昇の4.74%となった。
10年債利回りは6月11日から14日へ4営業日連続低下して4.19%をつけて4月25日の4.74%以降の最低としたが、その後は大幅低下一服で下げ渋りの様相であり、30年債利回りや2年債利回りも同様に下げ渋っている。米国の経済指標が総じて低調だったことで9月利下げ開始期待度が6割台後半と高めだが、来週は24日のTB(3か月物700億ドル、6か月物700億ドル)、25日の2年債(690億ドル)、26日の5年債(700億ドル)、27日の7年債(440億ドル)と大量の財務省入札予定が発表されたために需給の緩みを意識して債券売り・利回り上昇圧力がかかったことが20日の上昇に寄与した印象だ。

NYダウは9月利下げ期待から前日比299.90ドル高と上昇して17日から3連騰として5月30日安値以降の高値を更新しており上昇再開感が強まった。ナスダック総合指数は取引時間中の最高値を更新してから利食い売りに圧されて140.64ポイント安と8営業日ぶりに反落、S&P500指数も取引時間中の最高値を更新してからの反落で前日比13.86ポイント安に終わったが大上昇基調は継続している印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は6月14日の日銀会合を挟んだ乱高下から三角持ち合いの様相で推移していたが、20日夕刻から持ち合いを上放れして159円に迫ったため、三角持ち合いの終点となる6月20日夕安値157.60円を起点とした上昇期とみて21日午後から25日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では6月20日未明への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンからの転落を回避していたが20日夕刻からの一段高により両スパン揃っての好転を維持している。実線と両スパンの乖離が大きくなっているので26本基準線を下値支持線として上回るうちは高値試し優先とする。26本基準線割れからは弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて先行スパンを試す下落を想定する。

60分足の相対力指数は6月21日未明に80ポイント台へ大幅浄書牛、その後も70ポイント台後半を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、相場が小反落の後に一段高する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒として50ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、158.40円を下値支持線、159.00円を上値抵抗線とする。
(2)157.50円以上での推移か一時的に割り込んでも回復する内は159円超えから159円台中盤(159.35円から159.65円)への上昇を想定する。159.50円以上は反落警戒とするが、158.50円を上回っての推移か直前高値から1円を超える反落が発生しないなら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。ただし160円到達では今年三度目の市場介入を警戒する。
(3)158.40円割れからはいったん下げに入るとみて158円台序盤(158.20円から158.00円)への下落を想定する。158円台序盤は買われやすいとみるが、158.40円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

6/21(金)
休場 スウェーデン
15:00 (英) 5月 小売売上高 前月比 (4月 -2.3%、予想 1.3%)
15:00 (英) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 -2.7%、予想 -0.8%)
16:00 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演
16:30 (独) 6月 HOCB製造業PMI・速報値 (5月 45.4、予想 46.4)
16:30 (独) 6月 HOCBサービス業PMI・速報値 (5月 54.2、予想 54.4)
17:00 (欧) 6月 HOCB製造業PMI・速報値 (5月 47.3、予想 47.9)
17:00 (欧) 6月 HOCBサービス業PMI・速報値 (5月 53.2、予想 53.5)
17:30 (英) 6月 S&P製造業PMI・速報値 (5月 51.2、予想 51.3)
17:30 (英) 6月 S&Pサービス業PMI・速報値 (5月 52.9、予想 53.0)

22:45 (米) 6月 S&P製造業PMI・速報値 (5月 51.3、予想 51.0)
22:45 (米) 6月 S&Pサービス業PMI・速報値 (5月 54.8、予想 53.7)
23:00 (米) 5月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (4月 -0.6%、予想 -0.3%)
23:00 (米) 5月 中古住宅販売件数・年率換算 (4月 414万件、予想 410万件)
23:00 (米) 5月 中古住宅販売件数 前月比 (4月 -1.9%、予想 -1.0%)


注:ポイント要約は編集部

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