SARB声明文「タカ派」寄りならば、短期的なランド買いに
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、2月消費者物価指数が市場予想を上回る結果となったことで、一時、昨年11月以来となる8.0円台に乗せる場面が見られた。
20日に発表された2月CPIは前年比+5.6%と市場予想(同+5.5%)を上回る結果となった。また、コアCPIも前年比+5.0%とこちらも市場予想(同+4.9%)を上回ったことで、インフレ継続を背景に南アフリカ準備銀行(南ア中銀、SARB)による早期利下げ観測が後退。ランドは昨年11月27日以来となる8.0円台に乗せた。
一方、その数時間後に発表された1月小売売上高が前年比−2.1%と市場予想(同+0.9%)を大幅に下回ったことで、週末にかけてランドは「往って来い」の格好となり8.0円台を維持することはできなかった。なお、日米中銀イベントの影響は限定的だった。
ランド・円(東京時間:3月18日―3月22日)※Investing.comの日足を参照
始値:7.9496円
高値:8.0979円
安値:7.8474円
終値:7.9654円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
3月20日
17時00分、2月CPI(前年比)、前回:5.3%、市場予想:5.5%、結果:5.6%
17時00分、2月CPI(前月比)、前回:0.1%、市場予想:0.9%、結果:1.0%
17時00分、2月CPI(コア)(前年比)、前回:4.6%、市場予想:4.9%、結果:5.0%
17時00分、2月CPI(コア)(前月比)、前回:0.3%、市場予想:1.0%、結果:1.2%
20時00分、1月小売売上高(前年比)、前回:3.2%、市場予想:0.9%、結果:−2.1%
20時00分、1月小売売上高(前月比)、前回:1.3%、結果:−3.2%
3月25日
17時00分、第1四半期消費者信頼感指数、前回:−17
3月27日
22時00分、SARB政策金利、前回:8.25%、市場予想:8.25%
3月28日
18時30分、2月PPI(前年比)、前回:4.7%、市場予想:5.0%
18時30分、2月PPI(前月比)、前回:0.1%、市場予想:0.9%
21時00分、2月貿易収支、前回:−94億ランド、市場予想:74億ランド
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、27日のSARB政策金利発表が注目材料となる。「タカ派」寄りであればランド買いの材料となりそうだ。市場コンセンサスは8.25%の据え置きと見込まれており、関心はSARB声明文とクガニャゴSARB総裁の記者会見の内容に向かっている。
先週発表された2月CPIは市場予想上振れ、1月小売売上高は市場予想を下振れと南アフリカ経済指標はまちまちだ。政策金利に大きな影響を与える2月CPIを細かく見ると、食品、住宅、輸送、医療保険を含む各種サービスが主要な押し上げ要因となった。2カ月連続で前月を上回っており、SARBが設定している目標範囲(3−6%)の上限に接近しており、インフレ再加速への懸念がやや高まっている。
インフレ抑制のため、SARBによる利下げ実施時期は後退したとの観測が強まっており、SARB声明文が「タカ派」寄りになるとの見方もあるが、1月小売売上高の大幅な悪化が「タカ派」寄りを妨げる要因となる可能性は十分ある。
もっとも、南アフリカ経済自体はフィッチの指摘(予算が足りていないのではないか)もあり万全ではない。そして、5月29日の選挙を控えラマポーザ政権も揺れており政治も不安定だ。インフレ抑制のため政策金利を高止まりさせても経済自体が後退していれば、中長期的にはランドは買い手控えとなろう。
つまり、SARB声明文やクガニャゴSARB総裁の記者会見が「タカ派」寄りだった場合、短期的なランド買いは入るが、中長期的なランド買いにはつながらないと想定する。
ランドは昨年12月28日の7.5595円を起点とした下値支持線が機能していることから下値模索は想定しにくい。「往って来い」とはなったものの、心理的な節目である8.0円を上回ったことから上へのバイアスは強まりやすいだろう。経済や政治の不透明感は強まっているが、短期的には昨年11月16日の戻り高値8.3404円を意識した上昇は期待できよう。
南アフリカランド円日足
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