政策金利据え置きで売り優勢も、底堅い展開を取り戻すと想定
【今週のNZドル】
今週のNZドルは、ニュージーランド準備銀行(NZ中銀)が政策金利を据え置いたことから、追加の利上げ期待が剥落し売り優勢の地合いとなった。
28日、NZ中銀は金融政策決定会合で政策金利を5.5%に据え置いた。2023年12月にNZ議会が中銀の任務から「雇用の最大化」を削除する法案を可決していたことから、インフレに対応するために追加利上げに動くとの見方が浮上していた。
一方、声明文では「インフレ率は依然として目標を上回っている」として、金融引き締めを続ける姿勢は崩していない。オア中銀総裁は政策決定発表後の会見で、国内の物価圧力が予想通り和らぎつつあるとしながらも、市場予想より高い水準に金利を維持する必要があるかもしれないと認識を示した。「もちろん利下げでなく利上げをわれわれは検討した」と総裁は語った。
高いインフレを考慮すると早期の利下げは考えにくい状況だが、市場では金利据え置きの結果を受けて、NZDは利益確定売りが優勢となった。93円台半ばから91円台前半まで下落したことから、先週の上昇分以上に下げるきつい動きとなった。
NZドル・円(東京時間:2月26日―3月1日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値:93円22銭
高値:93円56銭
安値:91円06銭
終値:91円35銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
2月28日
☆10時00分、政策金利、前回:5.50%、市場予想:5.50%、結果:5.50%
2月29日
9時00分、2月企業景況感、前回:36.6、結果:34.7
3月1日
6時45分、1月住宅建設許可(前月比)、前回:3.7%、結果:−8.8%
3月8日
6時45分、第4四半期製造業活動、前回:−2.8%
※予定は変更することがございます。
【来週の見通し】
来週のNZドルは、売り一巡後のリバウンドを試す展開となろう。目立った経済指標の発表が予定されていないことから、50日移動平均線などテクニカル水準が意識されると考える。
NZ中銀は「ハト派」に転じたとの声も聞かれるが、市場はやや悲観的に捉えているように感じる。会合後に公表した先行きの政策金利見通しについては、昨年11月の前回会合時点と比較してピークは低下するものの、依然として追加利上げに含みを持たせる姿勢が維持されるとともに、利下げ開始時期(2025年1-3月)も据え置きとなるなどタカ派姿勢は維持した。
これらの内容を見る限り、決してハト派に転じたとは思わない。NZドルは下値を模索しているが、売り一巡後は、行き過ぎた悲観論が後退し、底堅い展開を取り戻すと考える。
短期的なテクニカルでは、強気サインが出ていた日足の一目均衡表の転換線、基準線を相次いで割り込んだほか、20日移動平均線も下回っている。遅行スパンはまだ実線より上を推移しているが、50日移動平均線が位置する90円70銭水準まで下げれば、遅行スパンは実線に隠れることから、トレンドは一気に弱まると想定。仮に50日移動平均線も割り込むと、雲上限が位置する90円水準での攻防となりそうだ。
一方、今の水準は、昨年11月や同年12月の高値水準である91円前半と同じ水準であることから、下値支持水準として意識されやすいと考える。2月29日には、短いながら下影(ヒゲ)を残していることから、そろそろ下げ止まりを試すと考える。
長期的には、一目均衡表では「三役好転」が示現しており、14年12月以来の94円台をターゲットとした展開は継続している。いったん小休止のような格好ではあるが、トレンドは崩れていないのでじっくり下値メドを確認したいところだ。
NZドル円日足
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