トルコリラ円見通し ドル円の急伸で4.90円に迫る
〇トルコリラ円、2/8午前4.82まで下げるも、ドル円の上昇を追いかけて2/9早朝4.89まで高値を伸ばす
〇ドル円の勢い次第では、右肩下がりの展開から抜け出して4.90台へ乗せる可能性も
〇対ドル、2/8は概ね30.63から30.35の取引レンジ、終値ベースでの史上最安値を2日連続で更新
〇トルコ中銀新総裁、会見にて追加利上げを否定
〇4.84を上回るうちは上昇余地ありとし、4.89超えからは4.90、4.91を順次試す上昇を想定する
〇4.84割れからは、4.82、4.80を順次試す下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の2月8日は概ね4.89円から4.82円の取引レンジ、9日早朝の終値は4.87円で前日終値の4.84円から0.03円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラにおけるリラ安は続き、2月8日も2日連続で終値ベースの史上最安値更新となったが、トルコリラ円はドル円が急伸したことに押し上げられた。
ドル円は2月8日午前の内田日銀副総裁発言をハト派的だったとして148円前後だったところから9日未明高値149.47円へ急伸した。内田副総裁は2%物価目標の実現が見通せれば大規模金融緩和を見直すとしたものの、「マイナス金利を解除してもその後にどんどん利上げしていくようなパスは考えにくい」、長短金利操作を終了したとしても国債買い入れは続くと述べたが、これら発言が伝わると日経平均の急騰とともにドル円も急伸した。
トルコリラ円は2月8日午前に4.82円まで下げていたところからドル円の上昇を追いかけて9日早朝には4.89円まで高値を伸ばした。2月2日夜の米雇用統計をきっかけとしたドル円の上昇を見て2月3日早朝高値で4.89円を付け、その後はドル円の高値を更新した局面での高値は4.88円に留まって右肩下がりの展開という印象だったが、9日早朝に4.89円まで再び切り返したことにより、ドル円の勢い次第では右肩下がりの展開から抜け出して4.90円台へ乗せる可能性もあり得るところだ。
ただし、ドル円が150円へ進まずにいったん仕切り直しの下落となる場合にはドル高リラ安による圧迫感もあるため4.80円以下では買われるものの4.90円台では売られるレンジ相場の範囲にとどまり、その下限をもう一度試しに向かうことも警戒される。
【ドル/トルコリラは終値ベースで連日の史上最安値更新】
ドル/トルコリラの2月8日は概ね30.63リラから30.35リラの取引レンジ、9日早朝の終値は30.57リラで前日終値の30.54リラから0.03リラのドル高リラ安だった。
2月6日に30.83リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新した後は新たな安値更新に至っていないものの、日足の終値ベースでの史上最安値は2月5日終値30.53リラを2月7日終値30.54リラで更新し、8日も2日連続での最安値更新となった。2月9日午前序盤は30.68リラから30.51リラのレンジで推移しており、最安値更新を伺っている印象だ。
1月25日のトルコ中銀による2.5%利上げと利上げサイクルの終了宣言を不満としてリラ売りが勢い付き、2月2日にトルコ中銀のエルカン総裁が突然辞任したことによる正常な金融政策継続への不安から30.60リラへ最安値を更新し、2月5日のトルコ1月消費者物価上昇率が前月比で6.7%(12月は2.93%)へ大幅に加速したことにより2月7日には30.83リラまで最安値を大幅に更新した。
2月8日はトルコ中銀の四半期インフレ予想が公表され、カラハン新総裁が金融政策姿勢の継続性を示したものの追加利上げを不要としたことでリラ売り基調は変わらなかった。
【カラハン新総裁、追加利上げを否定】
トルコ中銀のカラハン新総裁は2月3日に就任、2月8日に就任後初めとなる会見を行い、インフレが高止まりしている現状について、今後のインフレ見通しが悪化した場合には従来の決定を再評価するとしたものの、「現時点では追加の利上げが必要だとは考えていない」と述べた。
トルコ中銀はエルカン前総裁が1月25日の利上げをもってインフレ対策としての利上げは終了したと表明したが、カラハン新総裁は「最優先課題である物価安定を達成するまでは利上げした状況を維持する」としつつ、これ以上の追加利上げには否定的な姿勢を強調した。
エルカン前総裁体制において政策金利の週間レポレートは就任前の8.5%から45.0%へ大幅に引き上げられた。しかし消費者物価指数は昨年7月の38.21%から今年1月の64.86%へ大幅に上昇した。昨年9月に60%を超えてから伸び率は減速しているものの、12月の前月比が全体で6.70%上昇、コア指数では7.6%上昇しておりインフレが収まる気配は見られない。
トルコ中銀は2月8日に四半期インフレ予想を公表したが、2024年末のインフレ率については従来と変わらず36%とし、2025年末には14%、2026年末には9%まで低下するとした。今年前半に70%台でピークを付けて低下に転じるという見込み通りとなればドル高リラ安も落ち着く可能性があるが、見込み違いとなればリラの暴落を招きかねない問題だ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月7日午前に弱気転換目安とした4.84円を割り込んだために2月3日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を7日午前から9日午前にかけての間と想定した。
2月8日午前時点では4.86円超えから強気サイクル入りとしたが、9日早朝への上昇で4.86円を超えて4.89円まで高値を伸ばしたため、8日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は8日から10日早朝にかけての間とし、4.84円を上回るうちは一段高余地ありとするが、4.84円割れからは8日午前安値4.82円試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして13日午前から15日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では2月9日早朝への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、9日午前に反落気味のため遅行スパンは悪化しやすい位置にある。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は2月8日深夜に70ポイントを超えたがその後の反落で50ポイントまで低下している。60ポイント超えからは上昇再開とするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.84円を下値支持線、4.89円を上値抵抗線とする。
(2)4.84円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.89円超えからは4.90円、4.91円を順次試す上昇を想定する。4.91円以上は反落警戒とするが、4.86円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)4.84円割れからは4.82円、4.80円を順次試す下落を想定する。4.80円以下は反騰注意とするが、4.84円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
2月9日
16:00 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -1.4%)
16:00 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 0.2%)
2月12日
16:00 12月 失業率 (11月 9.0%)
2月13日
16:00 12月 経常収支 (11月 -27.22億ドル)
16:00 12月 小売売上高 前月比 (11月 0.2%)
16:00 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 12.8%)
2月15日
20:30 週次 外貨準備高 2月9日時点 グロス (2月2日時点 865.4億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 2月9日時点 ネット (2月2日時点 280.4億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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