ドル円見通し 日銀副総裁発言をきっかけに急伸、149.47円付け年初来高値更新(24/2/9)

8日夜には米長期債利回りの上昇も重なって2月6日未明高値148.89円を超えて149円台へ乗せ、9日未明には149.47円まで高値を伸ばした。

ドル円見通し 日銀副総裁発言をきっかけに急伸、149.47円付け年初来高値更新(24/2/9)

ドル円見通し 日銀副総裁発言をきっかけに急伸、149.47円付け年初来高値更新

〇ドル円、2/8の内田日銀副総裁発言きっかけに急伸、米長期債利回りの上昇も重なり夜に149円台乗せ
〇2/9未明には149.47まで高値を伸ばし年初来高値更新
〇日銀の内田副総裁発言、市場はハト派的と受け止める、ドル円急伸、日経平均も一時800円超えの急騰
〇米新規失業保険申請件数は減少し3週ぶりに改善、地区連銀総裁の利下げを急がない姿勢続く
〇米長期債利回りは総じて連騰、NYダウ・ナスダックともに3連騰
〇149円以上での推移中は一段高余地ありとし、149.47超えからは150円試しとする
〇148.75割れからは、148.50から148.30台にかけての水準を試す下落を想定する

【概況】

ドル円は2月8日の内田日銀副総裁発言をハト派的と受け止めた円売りにより148円弱の水準だったところから急伸し、8日夜には米長期債利回りの上昇も重なって2月6日未明高値148.89円を超えて149円台へ乗せ、9日未明には149.47円まで高値を伸ばした。
2月2日の米1月雇用統計が予想以上の堅調さを示したことによる米長期債利回り急伸を見て2月2日未明安値145.89円から6日未明高値148.89円まで急伸した後の調整安で7日深夜には147.62円まで下げていたが、内田副総裁発言をきっかけとした急騰で149円台へ乗せたことにより、昨年12月28日安値140.24円を起点とした上昇は1月19日高値148.80円までを一段目とし、2月2日未明の2月1日付け安値145.89円を押し目底として二段目の上昇期に入った印象であり、このまま150円台へ乗せて2022年10月21日高値151.94円と2023年11月13日高値151.90円によるダブルトップラインへ挑戦するのか試されるところだ。

【日銀の内田副総裁発言をハト派的と受け止める】

日銀の内田副総裁2月8日の講演と記者会見においてマイナス金利政策の解除判断については「春闘の状況は重要なファクターの一つ」とし、「昨年より強い可能性があるという情報が揃っている」と期待感を示し、2%の物価目標の実現が見通せれば「今行っている様々な(金融緩和)ツールをどうするのが最適なのか考える」と述べた。
長期金利を0%程度に誘導するYCC(長短金利操作)については「やめたら終わりではない。いきなり国債買い入れをやめることはあり得ない」としてYCC撤廃後も日銀は一定規模の国債を買い入れて行くことで長期金利の急騰を抑えるとした。
マイナス金利解除については、「マイナス金利を解除してもその後にどんどん利上げしていくようなパス(経路)は考えにくい」として解除後も緩和的な環境を維持するとし、追加利上げのペースは「今後の経済・物価情勢次第」とした。
最近の植田総裁発言や日銀会合における「主な意見」でのマイナス金利解除への言及内容に比べればかなりハト派的と市場は受け止め、ドル円が急伸するとともに日経平均もリスクオン優勢感から一時800円を超える急騰を見せた。

【米新規失業保険申請件数は減少、地区連銀総裁の利下げ急がず姿勢も続く】

2月8日に米労働省が発表した新規失業保険申請件数は2月3日までの週間で前週比9000件減の21万8000件となり市場予想の22万件を下回って3週ぶりに改善した。ただ4週間平均では21万2250件で前週から3750件増加している。失業保険受給者総数は1月27日までの週間で187万1000人となり前週の189万4000人から2万3000人減少した。発表直後はドル高反応を招いた。
リッチモンド連銀のバーキン総裁は2月8日の講演で利下げプロセスの開始前にインフレ鈍化が広範に及び持続する確信を得るにはまだ時間があるとし、「景気がこれほど強ければ利下げを急いで行わなければならないと考えるのは難しい」と述べたが市場の反応は鈍かった。
昨年末から米地区連銀総裁やFRB高官による早期利下げ期待へのけん制が続いてきたが、市場も3月利下げ期待から5月利下げ期待へと時期を先送りしながら早期利下げ期待を継続しており、最近のけん制発言に対しては織り込み済として市場の反応も鈍い。

【米長期債利回りは前日から続伸、NYダウは史上最高値更新を続ける】

2月8日の米長期債利回りは総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.04%上昇の4.16%となり、7日の0.02%上昇から連騰した。2月2日夜の米雇用統計が強かったことによる急伸で4.18%をつけた後に一服したものの高止まりしており、1月29日につけた4.20%超えからの一段高を伺う位置にある。
30年債利回りは前日比0.03%上昇の4.36%となり7日の0.03%上昇から連騰し、一時は4.38%をつけて2週ぶり高値水準とした。2年債利回りは前日比0.02%上昇の4.46%となった。
一方、NYダウは前日比48.97ドル高で3営業日続伸となり、2月2日に付けた取引時間中の史上最高値38783.62ドルには届いていないものの終値としては2日連続で史上最高値を更新した。ナスダック総合指数も37.07ポイント高で3連騰となり、2022年10月安値以降の最高値を更新した。米国株高もアジア株高に波及すればドル円にとっての上昇要因となる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は2月6日未明高値148.89円をピークとして下落したが、7日深夜安値147.62円へ一段安してから戻したために8日午前時点では148.25円超えから上昇期入りとして8日夜から12日深夜にかけての間への上昇を想定するとした。
内田日銀副総裁発言から急伸して9日午前序盤も149円台を維持しているのでまだ続伸余地ありとみるが、149円割れを弱気転換注意とし、148.75円割れからはいったん修正安に入るとみて12日夜から14日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、2月7日深夜からの反発で遅行スパンが好転したが、8日午前からの上昇で先行スパンを上抜き返した。その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からはいったん下げやすいとみて安値試し優先とする。ただし、先行スパンを上抜いた状況を維持するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開と考える。

60分足の相対力指数は2月8日夜に80ポイントを超えてから60ポイント台へ低下している。50ポイント以上を維持するうちは一段高余地ありとし、70ポイント超えから上昇再開とするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落期入りを警戒し、50ポイント割れからは30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、148.75円を下値支持線、2月9日未明高値149.47円を上値抵抗線とする。
(2)149円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは一段高余地ありとし、149.47円超えからは150円試しとする。150円手前は反落警戒とするが、149円台を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)148.75円割れからはいったん下げに入るとみて148.50円から148.30円台にかけての水準を試す下落を想定する。148.30円以下は反騰注意とするが、148.75円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

2/9(金)
休場 中国中国春節で休場入り(2月19日から取引再開)、台湾、韓国、インドネシア、ベトナム
16:00 (独) 1月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前月比 (12月 0.2%、予想 0.2%)
16:00 (独) 1月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (12月 2.9%、予想 2.9%)

2/12(月)
休場、中国、日本、香港、シンガポール



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