『約1カ月ぶり高値圏で堅調推移。但し、上値余地は限定的か』
〇今週の南ア円、早々に7.94まで上昇後、南ア指標不冴え等に週後半にかけ7.75まで下落
〇売り一巡後は下げ渋り、週末にかけ米金利低下に伴うリスク回避ムード後退等に一時全値戻し
〇南ア円相場、約1カ月ぶり高値圏での堅調推移が続く、テクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズは南ア、中国の経済の先行き不透明感等が重石に
〇南アランド円相場の一巡後の反落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.70ー8.00
今週のレビュー(9/25−9/29)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.88円で寄り付いた後、早々に週間高値7.94円(8/29以来、約1カ月ぶり高値圏)まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測や、(2)上記1を背景とした伝統的金融市場のリスクオフ再燃(米長期金利急上昇→新興国通貨下落)、(3)金・プラチナ価格の冴えない動き(南アフリカの交易条件悪化懸念)、(4)南ア8月生産者物価指数(結果+1.0%、予想+0.5%)の伸び率加速(南アフリカ国内のインフレリスク再燃)、(5)南ア第2四半期非農業部門雇用者(結果+0.4%、前回+0.5%)の前回比悪化が重石となり、週後半にかけて、週間安値7.75円まで下落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(6)第2四半期の海外から南アフリカへの直接投資額(結果538億ZAR、前回5億ZAR)の急増や、(7)南ア8月貿易収支(結果133億ZAR黒字、予想80億ZAR黒字)の市場予想を上回る黒字幅、(8)南ア8月財政収支(結果473億ZAR赤字、予想483億ZAR赤字)の市場予想を下回る赤字幅、(9)米金利低下に伴うリスク回避ムード後退、(10)対主要通貨での円売り再開(ドル円・クロス円上昇→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値7.94円まで反発しました(全値戻し達成)。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/30午前2時00分現在)では、7.90円前後で推移しております。
来週の見通し(10/2−10/6)
南アランドの対円相場は、約1カ月ぶり高値圏(7.94円)での堅調推移が続いています。日足ローソク足が全てのテクニカルポイントの上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(国営電力会社エスコムによる電力制限が南アフリカ経済の懸念要因)や、(2)中国経済の先行き不透明感(中国と経済的な結びつきの強い南アフリカ経済への波及リスク)、(3)米FRBによる金融引き締め長期化観測(南アフリカから米国への資金流出圧力活発化)、(4)主要産品である金・プラチナ価格の冴えない動き(米金利上昇→米ドル急伸→米ドルと逆相関性の強い金・プラチナ価格急反落→交易条件悪化)など、南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています。
来週予定されている中国の主要経済指標(中国9月製造業PMI、中国9月非製造業PMI、中国9月財新PMI)が市場予想を下回る場合や、南アフリカの経済指標(南ア9月SACCI景況感指数)が市場予想を下回る場合、米長期金利が一段と上昇基調を強める場合には、上記1、2、3、4の組み合わせ(ファンダメンタルズ面での弱さを嫌気する形)で、南アランドに強い下押し圧力が加わる恐れがあるため、当方では引き続き、南アランド円相場の一巡後の反落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.70ー8.00
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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