ユーロ圏8月消費者物価指数(HICP)速報値の予想
ユーロ圏HICP
(2023年8月31日7時30分現在予想)
本日、ユーロ圏の8月消費者物価指数が発表されます。前回7月はほぼ予想通りの結果になりました。発表後のユーロドル相場も小動きでしたが、その前週のFOMC会合以降の堅調な米金利推移にドルが買われユーロは1.10割れになりました。
今回8月予想は全体・コア共にインフレがやや軟化する見通しですが、昨日の独8月CPIが前年比6.1%(予想6.0%、7月6.2%)で前月比よりはやや軟化したものの、今日はこのHICPの2時間15分前に公表される仏8月CPIが4.6%(予想4.6%、7月4.3%)で前月より上昇しているので、この結果次第では予想よりも上振れの可能性を残します。いずれにせよ欧州圏のインフレはまだ高止まり推移になりそうです。因みに中銀の6月時予想の2023年HICPは全体が5.4%(3月時5.3%)、コアが5.1%(同4.6%)でしたので、特にコアの上方修正が大きく、まだインフレが高いままです。実際の数値もそろそろこの中銀予想以下にならないと2023年も目標の達成が出来ないことになります。また、9月14日予定のECB会合で先行きインフレ見直しがありますので、今日の結果はECBにとり重要となります。
下図を見ると、全体(青)では大きなインフレ低下を見せていますが、コア(オレンジ)は横這いとなっています。コアは2022年12月が5.2%、2023年は今回予想値入れて最低が5.3%、高値は3月の5.7%、8ヶ月平均は5.475%ですので、相変わらずの高止まりになっています。これで全体数値が下げ止まると年内のインフレ低下は見込み難くなってきます。
7月のECB会合では0.25%の利上げを実施し4.25%になりましたが、この時点のエコノミスト予想は年内4.25%で打ち止めでしたので、9月会合では上振れ予想の可能性が高くなります。まだ欧米共にインフレ沈静化先行の金融政策が予想されます。
ユーロ圏消費者物価指数(HICP)前年同月比ベース推移
・黒い線より右側は今回の予想値
・ECBの6月時インフレ予想
赤はHICP 2023年予想5.4%、
緑はHICPコア2023年予想5.1%
下図はユーロドルの週足チャートです。昨年9月26日週底値からのサポートA(=1.1525)を今年5月25日週に下抜いてからユーロ高からの調整入りになっています。7月中旬の戻り高でもこのAが抵抗線になりました。
現在は今年1月30日週高値とその7月中旬高値を結んだ抵抗線B(=1.1330)、そこから平行に下した下値目安のC(=1.0765)で綺麗なユーロ高トレンドラインを形成しています。
今週は7月17日高値からの抵抗線D(=1.0870)を昨日上抜き返しましたので、このまま明日の週末終値でD越えになればB・C間で上値トライに戻れる可能性が広がります。
もし今週末でそれが確認できれば、最初の抵抗線E(1.0970〜1.10ゾーン)付近が次の目途になりそうです。
尚、本格的なユーロ高に戻るにはA越えが必要になりますが。暫くはこのユーロ高トレンドに沿って上昇し、時間経過でB抜けを試す流れになりそうです。
逆に、万一Cを下抜けた場合は1.05方向の流れになり、ユーロ高トレンドを破ることになります。今日の欧米インフレ指標、そして注目の7月ECB理事会議事要旨(20時半頃発表予定)と明日の米失業率で、このCとEの攻防が見られそうです。
(8月31日8:45 1ユーロ=1.0932ドル)
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