ユーロ チャンネル下限の攻防、もみあいから上昇へ
〇先週のユーロドル、前週に金融政策イベントが終わり、週間レンジが133pipsと静かな一週間
〇今週の大きな材料は米国CPIだが、ユーロ圏の経済指標発表や要人発言の機会が多く予定される
〇現在のユーロドルはテクニカルにはきれいな動き、その動きに変調が出るならば要注意
〇下抜けた場合のターゲットは、1.05の大台が意識されやすい水準と考えられる
〇今週は1.0600レベルをサポートに、1.0800レベルをレジスタンスとする週とみる
今週の週間見通しと予想レンジ
先週も為替市場の主役はドル円で日銀人事報道による乱高下はあったものの週間レンジは3円25銭に達したいっぽうで、ユーロドルは週間レンジが133pipsと比較的静かな一週間となっていました。目立ったニュースや発言も無く材料不足と言ってしまえばそれまでですが、前週に金融政策イベントが終わった後での小休止の一週間といったところです。
今週も大きな材料は米国CPIではあるものの、経済指標ではユーロ圏GDP改定値、英国CPI、フランスCPIは材料となりますし、要人発言ではレーンECB理事の講演を筆頭にECB関係者の講演が連日あり、現在3月の理事会では0.5%利上げがコンセンサスとなっている中で、それとは異なる発言(0.25%の可能性など)が出てくる場合には注意が必要です。その場合、ユーロ売りに繋がりそうですが、現在のユーロドルはテクニカルにはきれいな動きを繰り返していることから、その動きに変調が出てくるとするとテクニカルな意味で要注意となるでしょう。
今週はテクニカルに重点を置いて見て行きましょう。日足チャートをご覧ください。
3本のラインが引いてありますが、1番下のラインは方向転換となった2022年安値からのサポートライン、そしてそれに平行に引いたラインが真ん中のラインと一番上のラインですが、真ん中のラインは当初はレジスタンスとしてワークし、上抜けて以降はサポートとしてワークしています。このサポートに平行な一番上のラインはレジスタンスとしてワークしていて、1.10の大台を超えた際に一時的に上抜けたもののすぐに反落しています。
1.10の大台近辺では2021年高値と2022年安値との半値戻し1.0941(赤の水平線)もあり、複数のレジスタンスを試したものの抜け切れず、現在は真ん中のラインと一番上のラインとの平行上昇チャンネルの中で下限を試す動きになってきている段階です。ここを下抜けても引き続き大きな上昇チャンネルの中での動きにまで変化は出て来ないと見られますが、短期的には上値が重くなり売りが先行しやすくなりますし、下抜けしなければ反転上昇となりますので、今週はテクニカルには重要な局面にあると言えます。
テクニカルには上下の方向が決まってから、その方向についていくことが正しいのですが、下抜けた場合のターゲットは考えておく必要があります。昨年安値と今年の年初来高値との押しを見ると23.6%押しが1.0678と現在と重なる水準、38.2%押しは1.0460となり、1月安値1.0482と重なる水準です。大きくは1.05の大台が意識されやすい水準と考えて良いでしょう。
先週の動きを振り返ると既に2月高値1.1032から400pips近く下げて来ていることから、今週は下抜けの動きがあったとしても1.10大台トライの時のようにダマシっぽい動きとなる可能性が高いように考えています。今週は先週のレンジをベースにして1.0600レベルをサポートに、1.0800レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週はポンドドルの日足チャートを見ておきましょう。
ドル円、ユーロドルでは2021年のドル安値と2022年のドル高値との半値押し水準が最近のドルのサポートとして効いていましたが、ポンドの場合半値戻し(ドルの半値押し=赤のターゲット)は何度かトライしていることもあって、あまり効いている感じがしません。
しかし、2021年のポンド高値と2022年のポンド安値との61.8%戻し1.2453(青のターゲット)は、ほぼピッタリの水準で止められていることがわかります。当面は1月安値(ピンクの水平線)と青のターゲットとの間で横方向の動きになっていくことが予想されます。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
2月13日(月)
**:** ユーロ圏財務相会合
2月14日(火)
16:00 英国1月失業率
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP改定値
22:30 米国1月CPI ☆
**:** EU財務相会合
2月15日(水)
16:00 英国1月CPI ☆
19:00 ユーロ圏12月鉱工業生産、貿易収支
2月16日(木)
18:40 パネッタECB理事講演 ☆
22:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
24:00 レーンECB理事講演 ☆
2月17日(金)
16:00 英国1月小売売上高
16:45 フランス1月CPI ☆
18:00 ユーロ圏12月経常収支
20:30 フランス中銀総裁講演 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
2月6日(月)
東京市場では週末の日銀人事報道を受けドル円中心の動きとなりユーロドルは小動きとなっていました。欧州市場に入り米金利が上昇する動きとともにドル買い・ユーロ売りとなりNY市場昼過ぎには1.0709レベルの安値をつけました。引けにかけては若干戻しての引けとなりました。
2月7日(火)
ユーロドルは東京市場では動きが鈍く欧州市場序盤からじりじりと水準を下げる動きとなりました。NY前場には1.0669レベルの安値をつけましたが、その後のパウエルFRB議長の講演によるドル売りから1.0767レベルと日中高値を更新、その後ユーロドルは米金利上昇の影響もあって反落後に、引けにかけては若干の買い戻しが見られました。
2月8日(水)
ユーロドルは動きが鈍く終日のレンジは52pipsに留まりました。テクニカルにチャンネル下限まで下げたこともあって底堅い印象でしたが、上値もまた重く前日高値は超えられずに、海外市場ではじり安の展開が続きました。
2月9日(木)
ユーロドルは基本はドル円と似たような動きをたどりました。ドルとしての動きで歩調が揃っていたことから、NY朝方までユーロ買い・ドル売り、その後はユーロ売り・ドル買いへと転じ、ほぼ行って来いの値動きを見せました。
2月10日(金)
ユーロドルは東京市場では下げた後の買い戻しの動きとなっていましたが、植田新総裁の名前が出た後の同氏による緩和支持発言によるドル円でのドル買い戻しをきっかけにユーロ売りの動きとなりました。さらに海外市場では米金利上昇の動きからユーロドルはじり安となり、1.0666レベルと週間安値をわずかに更新後にそのまま安値圏での引けとなりました。
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