ユーロはテクニカルに反落パターン
〇先週のユーロドル、週初は底堅く弱い米国PPIもあり一時1.05近い水準まで買われる
〇ポーランドへのミサイル着弾で反落、1.05が改めて強いレジスタンスとして意識される
〇9月安値の0.95台から先週高値まで既に1000pips近い買い戻し、ユーロ売りが出やすい
〇23日発表の主要国のPMI速報値に注目、強弱どちらでもユーロを売るきっかけに
〇今週は1.0150レベルをサポートに、1.0400レベルをレジスタンスとする週とみる
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、週初は底堅く弱い米国PPIもあって一時1.05近い水準まで買われましたが、ポーランドへミサイルが着弾し反落したことで、1.05が改めて強いレジスタンスとして意識されることとなりました。その後も週後半まで買いが入ると元の水準へと押すという動きを繰り返し、一週間かけて高値圏での反転パターンを形成する値動きとなりました。
材料的には依然としてECBとFRBの金融政策が最大の材料ではあるものの、英国が示したGDP予想の大幅下方修正に見られるように、欧州でも今後のリセッションの程度が懸念されることは間違いありません。9月安値の0.95台から先週高値まで既に1000pips近い買い戻しとなっていることを考えるとテクニカルにもユーロ売りが出やすくなってきたと言えるでしょう。
今週はECB関係者の発言も多いのですが、景気を判断する上で23日に発表される主要国のPMI速報値が最も注目されます。反応として数字が強ければ戻り売り、弱ければ一段安とどちらに出てもユーロを売るきっかけとして考えている参加者が多いのではないかと見ています。ECB関係者の発言もFRB関係者同様にそれまでのタカ派一色からハト派的な発言も混じるようになってきましたが、次回理事会は12月15日ですから、短期的な反応は限られてくるでしょう。
テクニカルにはかなりはっきりした動きを見せていますので、チャートをご覧ください。
年初来高値からの下降チャンネルのレジスタンスライン(青の太線)を上抜け、その後はピンクの上昇チャンネルの中での動きとなり、上側のラインを上抜けた後の下げでラインまで押してきたことで買いも出やすくなっているのが現在です。しかし先週の高値が年初来高値と安値との半値戻し1.0514レベル近くで反落したことから、しばらくは1.05水準が強いレジスタンスとして意識されることとなります。今週のところは1.04水準でしょうか。
いっぽうで下値はチャンネルの内側に入ってきた場合の最初のサポートとして9月高値の1.0198レベル、10月高値の1.0094レベルとほぼ100pips刻みで大台がサポートとなっています。1.02と1.01の間は押し目買いが出やすそうです。
今週はこれらの水準を参考に、1.0150レベルをサポートに、1.0400レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週はポンドドルの日足チャートを見ておきましょう。
ポンドはGDP下方修正が出て下げたとは言っても思いのほか強い流れが続いています。中期的には9月安値からの上昇ウェッジの中での動きを続けていますが、長期的には年初来高値と安値の半値戻し1.2053がレジスタンスとなっている点はユーロドルと同じです。
今後ポンドの下げを見込む向きは多いですが、本格的な下げに転じるにはこの上昇ウェッジを明確に下抜ける必要があり、その前に売りポジションが増えてくる場合には注意が必要でしょう。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
11月21日(月)
16:00 ドイツ10月PPI ☆
21:00 オーストリア中銀総裁講演
25:30 ポルトガル中銀総裁講演
11月22日(火)
19:15 フィンランド中銀総裁講演
24:00 ユーロ圏11月消費者信頼感速報値 ☆
11月23日(水)
**:** 東京市場休場
17:15 フランス11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
28:00 FOMC議事録公表 ☆
11月24日(木)
**:** NY市場休場
16:45 フランス11月企業景況感
18:00 ドイツ11月ifo企業景況感
21:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
22:00 シュナーベルECB理事講演
11月25日(金)
16:00 ドイツ12月GFK消費者信頼感
16:30 エストニア中銀総裁講演
16:45 フランス11月消費者信頼感
26:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
11月14日(月)
ユーロドルはドル円同様ドル買いが先行、ユーロは上値が重たい流れが続き、欧州時間にパネッタECB理事が引き締めに慎重な姿勢を示したことで一時1.0271レベルの安値をつけました。NY市場ではドル売りの動きとともに東京朝方の水準に買い戻されて引けました。
11月15日(火)
ユーロドルは欧州市場序盤以降のドル売りの流れからユーロ買いとなり、テクニカルにも直近高値を上抜けたことによりユーロ買いが進みました。米国PPI発表直後には1.0482レベルの高値をつけましたが、ロシアからのミサイルがポーランドに着弾したとのニュースに売りが強まり、1.0280レベルまで下げた後に1.03台半ばへと戻して引けました。
11月16日(水)
ユーロドルは欧州市場朝方まで買いが先行していたものの複数のECB関係者がハト派よりの発言をしたことで反落、NY後場には東京朝方の水準へと押しましたが、若干買い戻しも見られての引けとなりました。
11月17日(木)
ユーロドルは欧州市場序盤には1.0407レベルの高値をつけていましたが、英国のGDP見通しがマイナスへと大きく下方修正されたことを嫌気しポンド売りとともにユーロドルも水準を下げ、NY市場前場には1.0305レベルの安値をつけました。引けにかけてはユーロの買い戻しに加え、ユーロ円の買いも見られ1.03台半ばへと戻しました。
11月18日(金)
ユーロドルはNY市場まで1.03台後半でもみあいを続けていました。その後は底堅い米金利の動きもあってユーロの上値が重くなっていましたが、ボストン連銀総裁の0.75%の利上げは検討されているとのタカ派発言から1.03目前の水準まで押して引けました。
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