レンジ続くか、週末の米雇用統計発表に注意(週報10月第1週)

先週のドル/円相場は再びドル買い優勢。一時144.90円まで上昇、22日政府・財務省の円買い介入によって下落した下げ幅の8割程度をすでに戻してきたことになる。

レンジ続くか、週末の米雇用統計発表に注意(週報10月第1週)

レンジ続くか、週末の米雇用統計発表に注意

〇先週のドル円、再びドル買い優勢で一時144.90まで上昇
〇ポンドが週間を通して大荒れ、1.03ドル台まで下落し過去最安値を更新
〇ドル高シーリングと目される145円も間近、日本当局の実弾介入の有無に注意
〇今週は9月ISM製造業景況指数や同雇用統計などの米経済指標が発表される予定
〇今週のドル/円予想レンジは、142.50-146.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は再びドル買い優勢。一時144.90円まで上昇、22日政府・財務省の円買い介入によって下落した下げ幅の8割程度をすでに戻してきたことになる。

先週末は、9月23日から始まったロシアの「編入投票」についてG7首脳をはじめ、アチコチから非難の声が噴出。また、安倍元首相の国葬にともなうハリス米副大統領の来日を前に、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことも話題となっていた。
そうした状況下、ドル/円は143.40円レベルで寄り付いたのち、早々に週間安値の143.20円を記録。しかし、以降ドルは小高く推移し当局の介入警戒感のなか、週間高値の144.90円を示現している。とは言え、介入が観測された145円レベルを「ドル高シーリング」として意識する向きが多く、目先高値を示現後は144円台を中心とした強保ち合いに。ドルは上げ渋りの様相を呈するなか、週末NYは144.80円レベルで取引を終えている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「ロシア情勢」と「英国情勢」について。
前者は、注目要因も少なくないが、とくに以下の2つの話題が市場を席捲。ひとつは、現地時間9月27日まで行われたロシアが実効支配するウクライナ4地域のロシア編入住民投票について。早々に暫定集計結果がロシア系メディアから「9割を超える向きが賛意を示した」などと伝えられるなか、欧米諸国などからの強い反発をよそにプーチン氏は法令への署名を強行。実際の手続きが今後開始されることになった。今週も引き続き続報などには要注意だ。一方、それとは別にロシアと欧州を結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」の損傷が明らかになったことも話題に。米国サイドは慎重だが、欧州委員長などからは「なんらかの破壊工作」あるいは「国際テロ」といった発言も聞かれており、今後の調査が注視されていた。

対して後者は、為替市場においてポンドが週間を通して大荒れ。きっかけとなったのはクワーテング英財務相による減税と追加の政府借り入れをともなう景気刺激策の発表。これが嫌気されると、ポンド/ドルは週明け9月26日の東京時間に1.03ドル台まで下落し過去最安値を更新している。そののち、英中銀総裁による「必要あれば利上げを躊躇しない」との発言や英中銀が「長期国債を無制限に買い入れる」とし、国債市場での市場介入に踏み切ったことで相場は持ち直すも依然として予断を許さない。たとえば、英政府は先に発表した大型減税案を撤回する計画はないとの考えを示しているうえ、英世論調査大手ユーガブの発表によると与党保守党の支持率はわずか「21%」しかないことが明らかになるなど、いつポンド売りが再燃しても不思議ではなさそうだ。

<< 今週の見通し >>

先々週は、ざっくり言って「143円→146円→140円→143円」とかなりの乱高下をたどったドル/円だったが、先週は週初を除くとおおむね小動き。実際、火曜日以降金曜日までの4営業日はいずれも1円未満の価格変動にとどまっている。相場は落ち着きを取り戻しつつあり、143-144円台を中心とした一進一退がいましばらく続く可能性も。市場の関心がポンドへと移行していることも、ドル/円のレンジ取引を予感させる一因に。

英国は経済・財政問題と政局不安、欧州はロシア情勢への警戒に加えエネルギー危機問題とそれぞれ難題を抱えており、市場の関心も高い。今週も基本的には英国などを含めた広義欧州情勢の動きが注視されそうで、それらに一喜一憂する展開か。一方、日米に関しては引き続き金利政策に着目した値動きが予想される。そうした意味では、今週末の雇用統計を中心に発表される米経済指標の内容や通貨当局者のコメントなどにも一応要注意。また、ドル高シーリングと目される145円もすでに間近で、日本当局の実弾介入の有無などもしっかりと注意しておきたい。

テクニカルに見た場合、先週のドル/円相場は週間を通して1.7円レンジと久しぶりの小動き。しかも、火曜日以降はというとほぼ144円台での値動きで、よく言えば相場は安定しつつあるのかもしれない。ただ、先週で終了した9月の月間相場は約7円と、なかなかの変動。今週から始まる10月相場も、月間を通してそんな荒っぽい値動きをたどるのか否か、スタートダッシュともいえる動きにまずは注目だ。上方向であれば、ドル高シーリングにあたる145円レベル、そして年初来高値145.90円の攻防が注視されている。

今週は、9月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった重要な米経済指標の発表が予定されている。また週間を通して欧米を中心とした通貨当局者らの講演など発言機会も多い。なお、それらとは別に今週は中国市場が「国慶節」で1週間お休み。そして、16日から実施される党大会を前に、9日から準備会合にあたる「第19期中央委員会第7回総会(7中総会)」が開かれる見込みで、合わせて要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、142.50-146.50円。ドル高・円安については、先週結局一度も超えられなかった「ドル高シーリング」と考えられる145円レベルをめぐる攻防にまずは注目だ。抜ければ政府・日銀の市場介入も予想されるなか、145.90円を目指す。
対してドル安・円高方向は、すでに143円台まで値を上げ、順当に言えば週末には143円後半までレベルを上げてくる移動平均の21日線がサポートになるか否かを注視。下回ると143.15円レベル、142.60-65円などがターゲットに。

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ドル円日足

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