ドル円の戻りに支えられるもドル高リラ安基調継続で安値圏での小康状態
〇トルコリラ円、7.63から7.68の狭いレンジで安値圏持ち合い
〇ドル円上昇が下支えとなるが、ドル高リラ安の継続で戻り鈍い状況
〇対ドル、27日早朝終値17.86、景気後退感と新興国通貨への売り圧力を背景に安値更新続く
〇トルコ財務省、リラ安への危機感を反映し会合開催、新たな政策提言は無しか
〇米FOMC通過後、リラ安優勢によるトルコリラ円の一段安に注意
〇7.69以下での推移中は一段安警戒とし、7.63割れからは7.50円台後半を試すとみる
〇7.69を超える場合は7.73試しとする
【概況】
トルコリラ円の7月26日は7.68円から7.63円の取引レンジ、27日早朝の終値は7.66円で前日と変わらず。
7月22日夜にかけてドル円が135円台半ばへ急落し、ドル/トルコリラでもドル高リラ安が進んだことでトルコリラ円は7月22日夜には7.64円へ下落、25日に7.63円へわずかに安値を更新した。
7月26日はドル円が136円台序盤までで確りして27日未明にかけて137円に迫る上昇となったことがトルコリラ円の下支えとなったものの、ドル/トルコリラにおけるドル高リラ安基調は継続したために夜安値で7.63円を再びつけた後も戻りが鈍い状況となり、7.63円から7.68円までの狭いレンジでの安値圏持ち合いにとどまった。
7月27日午前はドル円が137円を超えてきたためにやや押し上げられている印象だ。
【ドル/トルコリラは12月23日以降の最安値をさらに更新】
ドル/トルコリラの7月26日は17.87リラから17.77リラの取引レンジ、27日早朝の終値は17.86リラで前日終値の17.77リラからは0.09リラのドル高リラ安となった。
7月14日にユーロドルが1ユーロ1ドルの等価を割り込んでから戻しに入るなど全般的なドル高が一服し、ドル円が7月22日夜に135円台半ばまで急落するなど先週末にかけては全般的にはドル安基調だったが、ドル/トルコリラは高インフレが一段と悪化する中でのトルコ中銀による利上げ拒否と主要国の金融引き締め強化による景気後退感と新興国通貨への売り圧力を背景にリラ安基調が続いてきた。
6月24日夜にトルコ財務省が国内企業の外貨保有を基準としたと新規融資規制を発表したことで6月27日にかけていったんリラ買いが発生したものの早々にリラ売り再開となり、終値ベースでは6月23日の17.35リラを7月13日の17.39リラで超えてからはほぼ連日にわたって終値ベースでの史上最安値更新が続いている。
7月26日は28日未明の米FOMC声明発表とFRB議長会見を控えてのポジション調整からユーロやポンドが反落、ドル円が戻すなどドル高感が再び強まったこともあり昨年12月23日以降の取引時間中の最安値を更新、終値ベースでの史上最安値も更新した。
【トルコ財務省もリラ安水準への危機感】
7月25日にトルコ財務省を中心とした金融安定化委員会が開催された模様。同委員会は昨年12月にリラが史上最安値を更新する暴落商状となった時に開催されており、現状のリラ安と金融市場への不安感が強まっていることへの危機感を反映して会合を開いたと思われる。委員会は世界的なインフレ進行と国際商品の価格高騰やトルコの金融市場動向について議論したようで、トルコの金融市場の健全性は保たれているとしたが、新たな政策への提言などは無かったようだ。
トルコのインフレ率は6月のCPIが前年比で78.62%となり、トルコ中銀が昨年9月に利下げを開始した時の19.89%から大幅に上昇しており、コアCPIも昨年9月の17.0%から今年6月には57.3%まで跳ね上がっている。今年1月から7月まで7会合連続で政策金利は据え置かれてインフレ抑制へ向けた金融引き締め及び利上げは回避されてきたが、その間にインフレ率は悪化の一途をたどってきた。
エルドアン大統領は6月6日に利下げ政策姿勢は変わらない、利上げはしないと言明しており、その後も姿勢の変更は見られないが、インフレが悪化する中で主要国はパンデミック対策としての金融緩和を終了して引き締めへ転じており、トルコの利下げ姿勢は異様な状況であり、金融緩和時代に過剰流動性となって新興国への投機マネー流入となっていた流れが金融引き締めにより逆流し始めている中では海外勢のリラ売りも拡大しやすく、またトルコ国内においてもリラ安への防衛策でユーロやドル及びゴールドなどのハードカレンシーへの逃避は続き、リラ安に歯止めがかからなくなっている。
7月28日未明の米FOMCを通過して全般的なドル高感が強まる場合にはドル円においては円安に、ドル/トルコリラではリラ安となる可能性があるが、その場合でも円安よりもリラ安が優勢となってトルコリラ円も現状の安値圏における膠着状態から一段安しかねないと注意したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月20日早朝高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして22日夜から26日夜にかけての間への下落を想定してきたが、7月25日夕刻安値から小反発して前回ボトムから4日を経過したために26日午前時点では25日夕安値で直近のサイクルボトムをつけたと仮定した。また底割れ回避のうちは26日の日中から27日早朝にかけての間への上昇余地ありとしたが、既に底割れへの余裕が乏しいとした。
7月26日は25日安値と同値にとどまっているので26日早朝高値7.69円を超える場合は上昇継続とするが、7.63円割れからは新たな弱気サイクル入りとして7月28日夕から8月1日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、7月25日から安値圏での持ち合いで膠着状態にあるために遅行スパンは実線と交錯して方向感に欠けるが、先行スパンの下限が上値抵抗となっているため下落再開に向かいやすい状況と思われる。
7.63円割れを回避しつつ先行スパンへ潜り込む場合は上昇継続として先行スパン上限を試すとみるが先行スパンの上限前後では戻り売りにつかまりやすいとみる。7.63円割れからは持ち合い下放れに入るため下げ足が早まるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7月22日早朝に20ポイントを割り込んだところから戻しており、26日夜に40ポイントを割り込んだところから切り返しているのでまだ上昇余地ありとするが、次に40ポイントを割り込むところからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.63円を下値支持線、7.69円を上値抵抗線とする。
(2)7.69円以下での推移中は一段安警戒とし、7.63円割れからは7.50円台後半(7.60円から7.55円)を試すとみる。7.57円以下は反騰注意とするが、7.65円以下での推移なら28日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.69円手前では戻り売りにつかまりやすいとみる。7.69円を超える場合は7.73円試しとするがその後に7.68円を割り込むところからは下げ再開とみる。
【当面の主な予定】
7月28日
16:00 7月 経済信頼感 (6月 93.6)
20:00 トルコ中銀 年末予想インフレ率 (6月 42.8%)
20:30 週次 外貨準備高 7/22時点
7月29日
16:00 6月 貿易収支 (5月 -106.1億ドル)
16:00 6月 観光客数 前年同月比 (5月 308%)
8月1日
16:00 7月 イスタンブール製造業PMI
8月3日
16:00 7月 消費者物価 前月比 (6月 4.95%)
16:00 7月 消費者物価 前年同月比 (6月 78.62%)
16:00 7月 生産者物価 前月比 (6月 6.77%)
16:00 7月 生産者物価 前年同月比 (6月 138.31%)
注:ポイント要約は編集部
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