先週末安値からの揺れ返しが続いて137円を試すが半値戻しには未だ届かず
〇ドル円、7/27早朝136.97つけ137円に迫る、先週末の急落いまだ半値戻しには至らず
〇明日未明FOMC、利上げ予想は0.75%、FRB議長会見では認識に変化あるか注目
〇米長期債利回り小幅上昇、2年債と10年債の逆イールドは継続、NYダウは下落し上値重い状態
〇IMF、世界経済成長率予想を3.2%に下方修正、先進国インフレ見通しは6.6%へ上方修正
〇米7月消費者信頼感指数95.7、予想大幅に下回り2か月連続悪化
〇136.50以上での推移中は上昇余地ありとするが、137円台序盤では戻り売りも出やすいとみる
〇136.25割れからは戻り一巡による下落期入りとみて、135円台後半を試すとみる
【概況】
ドル円は先週の7月21日夜高値138.87円から22日夜安値135.56円まで丸1日で3.31円の円高ドル安に見舞われたが、週明けからはFOMCを意識して買い戻しに入り、26日の日中から夜にかけては136円台序盤までで確りして27日早朝には136.97円をつけて137円に迫った。ただ先週末夜安値からの戻り幅は1.41円で、まだ半値戻しには届いていない。
ドル円は7月14日夕刻に139.39円の高値をつけて昨年1月6日底102.57円以降の最高値としたところから7月19日夜安値137.37円まで2.02円の下落幅となったところでは2日間で1.50円を戻した。その後に一段安しており、現状も2日間を超えて戻しているもののまだ勢いは鈍い印象だ。市場としては明日未明のFOMC声明発表と米FRB議長会見の内容を見て中勢としてドル高円安再開へと進むのか、昨年来の大上昇一巡で大きな調整期としてのドル安円高へ向かうのかを判断したいというところだ。
明日未明の3時にFOMC声明及び政策金利発表、3時半にパウエル米FRB議長会見がある。一時は1.0%利上げ説も出ていたが直近では0.75%利上げに落ち着くとの予想が中心となっている。今後の利上げペース、年末から来年序盤にかけてのインフレ見通しや利上げ終点のターゲット水準などについての議長の認識に変化があるか注目したい。
【米長期債利回りは小幅上昇、2年債と10年債の逆イールドは継続】
7月26日の米長期債利回りは概ね小幅上昇。指標の10年債利回りは前日比0.01%上昇の2.81%で終了したが一時は2.71%まで下げる場面があった。30年債利回りは同0.01%上昇の3.03%、2年債利回りは同0.04%上昇の3.06%となったが、2年債と10年債の逆イールドは2週間を超えて続いている。
一方でNYダウは前日比228.50ドル安と下落した。25日に前日比90.75ドル高と戻したものの7月21日以降は32000ドル台を維持できずに上値が重くなっている。ナスダック総合指数は前日比220.10ポイント安と下落したが、7月22日の前日比225.50ポイント安、25日の同51.44ポイント安に続いて3営業日続落となり、6月16日安値で10565.14ポイントまで下げたところから7月21日に1200ポイント台到達まで切り返したところで戻り一巡となって失速している印象だ。
7月26日の株安はウォルマートの業績予想下方修正や米経済指標及びIMFの成長見通しがさえなかったことが影響したようだ。
【IMF成長見通し下方修正、米経済指標冴えず】
IMFは7月26日に世界成長見通しを発表したが、2022年の世界経済成長率予想を4月の3.6%から3.2%に下方修正した。2020年にパンデミック発生によりマイナス3.1%へ悪化したところから2021年は6.1%へと切り返したがインフレと金融引き締め、中国景気の減速及びロシア制裁の影響等により今年は景気鈍化に陥っており、2023年についても4月時点の3.6%から2.9%へと下方修正している。
2022年の米国成長率は4月から1.4%下方修正の2.3%、2023年を1.0%とした。ユーロ圏の2022年は4月の2.8%から2.6%へ下方修正、中国は4月の4.4%から3.3%へ下方修正、日本も4月の2.4%から1.7%へと下方修正した。
また先進国における2022年のインフレ見通しについては4月の5.7%から6.6%へ上方修正し、新興国・途上国については4月の8.7%から9.5%へと上方修正した。
米コンファレンスボードによる7月の消費者信頼感指数は95.7となり6月の98.4から低下して市場予想の97.2を大幅に下回り、2か月連続の悪化となった。現況指数は6月の147.2から141.3へ、期待指数は6月の65.8から65.3へと低下した。
米連邦住宅金融局(FHFA)による5月の住宅価格指数は前年同月比18.3%上昇したが、前月比は1.4%上昇で4月及び市場予想の1.5%を下回った。2月以降は伸びが鈍化しているという。
S&Pケース・シラーの5月住宅価格指数(主要20都市)は前年同月比20.5%上昇となったが4月の21.2%からは鈍化した。
6月の新築住宅販売件数は前月比8.1%減の56万戸となり市場予想の66万戸を下回り5月の64.2万戸から大幅減少して2020年4月以来の低水準となった。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)は30年固定型金利が昨年末の3%から現状は5%台へと上昇しており購入が難しくなってきていると指摘している。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、7月19日夜安値から3日目となる7月22日夜安値で直近のサイクルボトムをつけて強気サイクル入りしたとし、7月21日夕高値を基準としてトップ形成期を7月26日夕から28日夕にかけての間と想定した。
7月27日午前序盤は137円到達を試しているところであり、まだ上昇余地を残すとみるが、FOMC前のポジション調整でいったん下げる可能性もあるところと注意し、7月26日午前安値136.25円を割り込むところからは弱気サイクル入りとして27日夜から29日深夜にかけての間への下落を想定する。ただしいったん弱気サイクル入りしてもFOMC後に7月22日夜安値以降の高値を更新するところからは新たな強気サイクル入りとなる点に注意する。
60分足の一目均衡表では7月22日夜安値からの持ち直しが続いて遅行スパンが好転、27日午前序盤には先行スパンを上抜けてきているため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開と仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は7月22日夜の急落で20ポイントまで低下したところから50ポイント台回復へ切り返し、27日午前序盤も60ポイント近辺にあるためまだ上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開の可能性を優先する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、136.25円を下値支持線、137.25円を上値抵抗線とする。
(2)136.50円以上での推移かわずかに割り込んでも早々に回復するうちは上昇余地ありとするが、137円台序盤では戻り売りも出やすいとみる。137.25円超えからは137.50円前後試しとその後の反落警戒とするが、FOMC後に急騰する場合は138円台中盤へ向かい、28日の日中も高値試しを続ける可能性があるとみる。
(3)136.25円割れからは戻り一巡による下落期入りとみて135円台後半(136.00円から135.50円)を試すとみる。135.50円台では買い戻しも入りやすいとみるが、FOMC後に急落反応となる場合は135円割れを目指す流れとし、28日の日中も安値試しが続きやすいとみる。
【当面の主な予定】
7/27(水)
10:30 (豪) 4-6月期 消費者物価・CPI 前期比 (1-3月 2.1%、予想 1.9%)
10:30 (豪) 4-6月期 消費者物価・CPI 前年同期比 (1-3月 5.1%、予想 6.2%)
14:00 (日) 5月 景気先行指数CI改定値 (速報 101.4)
14:00 (日) 5月 景気一致指数CI改定値 (速報 95.5)
15:00 (独) 8月 GFK消費者信頼感 (7月 -27.4、予想 -28.9)
21:30 (米) 6月 卸売在庫 前月比 (5月 1.8%、予想 1.5%)
21:30 (米) 6月 耐久財受注 前月比 (5月 0.7%、予想 -0.4%)
21:30 (米) 6月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (5月 0.7%、予想 0.2%)
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前月比 (5月 0.7%、予想 -2.0%)
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前年同月比 (5月 -12.0%、予想 -13.5%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 1.50-1.75%、予想 2.25-2.50%)
27:30 (米) パウエル米FRB議長、定例記者会見
7/28(木)
休場 タイ
アマゾン・ドット・コム、アップル決算
10:00 (NZ) 7月 ANZ企業信頼感 (6月 -62.6)
10:30 (豪) 6月 小売売上高 前月比 (5月 0.9%、予想 0.4%)
10:30 (豪) 4-6月期 輸入物価指数 前期比 (1-3月 5.1%、予想 4.5%)
18:00 (欧) 7月 経済信頼感 (6月 104.0、予想 102.0)
18:00 (欧) 7月 消費者信頼感確定値 (速報 -27.0)
21:00 (独) 7月 消費者物価指数・CPI速報値 前月比 (6月 0.1%、予想 0.6%)
21:00 (独) 7月 消費者物価指数・CPI速報値 前年同月比 (6月 7.6%、予想 7.4%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP速報値 前期比年率 (1-3月 -1.6%、予想 0.5%)
21:30 (米) 4-6月期 個人消費・PCE速報値 前期比年率 (1-3月 1.8%、予想 1.2%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCE速報値 前期比年率 (1-3月 5.2%、予想 4.3%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 25.1万件、予想 25.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 138.4万人、予想 138.0万人)
26:00 (米) 財務省7年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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