トルコリラ円見通し ドル高リラ安が一服するもドル円の急落により6月27日以降の安値を更新(22/7/28)

トルコリラ円の7月27日は7.68円から7.62円の取引レンジ、28日早朝の終値は7.62円で前日終値の7.66円からは0.04円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安が一服するもドル円の急落により6月27日以降の安値を更新(22/7/28)

ドル高リラ安が一服するもドル円の急落により6月27日以降の安値を更新

〇トルコリラ円、7.68から7.62の取引レンジ、28日早朝終値7.62で前日終値から0.04円の円高リラ安
〇ドル円急落でトルコリラ円は円高に圧され7.61の安値をつけ、6/27高値以降の安値を更新
〇FOMCで利上げ発表後ドル全面安、ドル/トルコリラは17.84へ反発するも中長期的なリラ安基調の範囲
〇7.60割れからは7.50台中盤を試すとみる、7.55以下は反騰注意
〇7.65超えから続伸なら7.68前後試し、その後7.63を割り込むところからは下げ再開とみる

【概況】

トルコリラ円の7月27日は7.68円から7.62円の取引レンジ、28日早朝の終値は7.62円で前日終値の7.66円からは0.04円の円高リラ安となった。
7月28日未明の米FOMCは0.75%利上げを決定したが、市場の事前予想通りとして利上げ発表後は当面のドル買い材料消化として為替市場はドル安となりドル/トルコリラもリラ安一服となったものの、ドル円が利上げ発表当初の137.46円から136.31円へ急落したためにトルコリラ円は円高に圧されて7.61円の安値を付けて6月27日高値8.37円以降の安値を更新して6月16日安値7.59円に迫った。
ドル円は7月28日午前序盤には136円割れを試すところまで続落となり、トルコリラ円も7.61円へ安値を切り下げている。

【ドル高リラ安一服するも中期的なリラ安基調の範囲】

ドル/トルコリラの7月27日は17.93リラから17.84リラの取引レンジ、28日早朝の終値は17.87リラで前日終値の17.86リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
7月27日夜に17.93リラを付けて昨年12月23日高値10.06リラ以降の最安値を更新したが、28日未明の米FOMCが迫る中でポジション調整的なリラ買いが入って上昇、FOMCの0.75%利上げを事前予想通りとして利上げ発表後はドル全面安となったために17.84リラへ反発した。
7月28日午前序盤には17.83リラまで戻しているが、6月24日にトルコ企業に対する外貨保有と融資規制政策を発表したところでの一時的な反騰が一巡してからの下落基調の範囲にあり、中長期的なリラ安基調が崩れるほどの反発には発展していない印象だ。
終値ベースでは連日の史上最安値更新が続いており、7月27日終値も最安値更新だった。

【主要国の利上げ継続とトルコ中銀の現状維持のズレは今後も拡大】

米FOMCを通過してひとまず為替市場はドル安反応を見せているが、米FRBは今年残り3回のFOMCで連続利上げを行うことが規定路線となっている。今回は6月の米CPIが40年ぶりとなる前年比9.1%上昇まで跳ね上がった際に1.00%の利上げもあり得るのではないかとの見方が強まった時期があったため、0.75%利上げでやや安堵したところといえるが、次回の9月FOMCでも0.75%利上げの可能性があり、CPIがさらに上ブレする場合には1.00%の利上げ可能性が再浮上することも考えられる。
ECBが7月から利上げ再開に入り、英中銀や豪中銀なども連続的な利上げに入っている。主要先進国がパンデミック対策としての大規模金融緩和を終了して既に利上げサイクルに入って金融引き締めを強化している状況は、金融緩和時代に生じた過剰流動性による新興国への投資マネーが逆流することを示しており、新興国もこれに対抗するために連続的な利上げを繰り返している。

そうした中でエルドアン政権がG20の中でも際立った高インフレの悪化状況にあって利上げを拒否していることがリラ安の背景であり、今回のFOMC通過後のドル安反応に乗じてドル/トルコリラが若干反発したとは言え、昨年12月23日以降のリラ安基調には変化がないだろうと思われる。
また、FOMC後にドル円が反落したが、米長期債利回りの大上昇と同調して歴史的な円安を継続してきたものの、米長期債利回りの上昇が頭打ちとなり先行きについてもある程度織り込んだため、昨年来で最大級の修正的な円高へ向かう可能性も考えられる。このためトルコリラ円としては当面するドル円の反落による円高圧力と、中長期的なリラ安が交錯する中で、若干の反発を入れつつも史上最安値更新を試して行く流れを継続するのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月20日早朝高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして22日夜から26日夜にかけての間への下落を想定してきたが、7月25日夕刻安値で直近のサイクルボトムを付けて戻しに入っていた。7月27日夜に25日夕安値を割り込み、いったん戻してからの反落で安値をさらに更新しているため、現状は7月26日朝高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしている状況と思われる。ボトム形成期は7月28日夕から8月1日夕にかけての間と想定されるので28日夜にかけては安値試しを続けやすい時間帯とし、強気転換には7.68円に迫るような反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では、7月28日早朝への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換には先行スパンを上抜き返してさらに続伸するような反騰が必要と思われ、当面は先行スパンが上値抵抗帯になりやすいとみる。

60分足の相対力指数は28日早朝への下落で40ポイントを割り込んでいるため50ポイント以下での推移中は20ポイント台への低下へ向かいやすいとみる。7月25日以降の下げ渋り持ち合いから転落し始めた状況のため50ポイント台へ戻す場合も戻り売りにつかまりやすいと思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.60円を下値支持線、7.65円を上値抵抗線とする。
(2)7.65円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、7.60円割れからは7.50円台中盤(7.57円から7.53円)を試すとみる。7.55円以下は反騰注意とするが、7.63円以下での推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.65円超えから続伸の場合は7.68円前後試しとするが、その後に7.63円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

7月28日
 16:00 7月 経済信頼感 (6月 93.6)
 20:00 トルコ中銀 年末予想インフレ率 (6月 42.8%)
 20:30 週次 外貨準備高 7/22時点
7月29日
 16:00 6月 貿易収支 (5月 -106.1億ドル)
 16:00 6月 観光客数 前年同月比 (5月 308%)
8月1日
 16:00 7月 イスタンブール製造業PMI
8月3日
 16:00 7月 消費者物価 前月比 (6月 4.95%)
 16:00 7月 消費者物価 前年同月比 (6月 78.62%)
 16:00 7月 生産者物価 前月比 (6月 6.77%)
 16:00 7月 生産者物価 前年同月比 (6月 138.31%)


注:ポイント要約は編集部

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