トルコリラ円見通し ドル高リラ安が加速、ドル円の反発では支え足りず5営業日続落(22/7/7)

トルコリラ円の7月6日は8.00円から7.82円の取引レンジ、7日早朝の終値は7.88円で前日終値の7.97円から0.09円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安が加速、ドル円の反発では支え足りず5営業日続落(22/7/7)

ドル高リラ安が加速、ドル円の反発では支え足りず5営業日続落

〇トルコリラ円、ドル高リラ安とドル円の下落が重なる形で6日夜に7.82まで安値切り下げ
〇対ドルではユーロやポンドが続落したことで17.20リラを超えるところまでリラ安進む
〇円とリラの弱さ比較でトルコリラ円が推移、ドル円の上昇やや鈍く直近ではリラ安が目立つ状況
〇7.93を下回るうちは一段安余地あり、7.82割れからは7.70台後半を目指す下落を想定
〇7.93手前は戻り売りにつかまりやすい、7.93超えからは7.95前後への上昇とその後の反落注意

【概況】

トルコリラ円の7月6日は8.00円から7.82円の取引レンジ、7日早朝の終値は7.88円で前日終値の7.97円から0.09円の円高リラ安となった。
7月5日夕刻からのユーロ急落を発端としたドル全面高によりドル高リラ安が進行、6日夜もユーロやポンドの下落が続いてドル高リラ安が継続した。またドル円もクロス円全般が大幅下落する中でリスク回避的な円高が勝って7月5日午前高値136.36円からの下落が続いて6日夜には134.94円の安値を付けた。このためトルコリラ円はドル高リラ安とドル円の下落が重なる形で7月6日夜にこの日の安値となる7.82円まで安値を切り下げた。
7月6日夜からはリスク回避優勢で大幅低下してきた米10年債利回りが反騰に転じたことでドル円も135円割れを買い戻され136円台到達へ戻し、ドル高リラ安も減速したために7.90円近辺へ戻した。

【1ドル17.20リラを超えてリラ安が加速】

ドル/トルコリラの7月6日は17.25リラから16.96リラの取引レンジ、7日早朝の終値は17.21リラで前日終値の16.96リラからは0.25リラのドル高リラ安だった。
6月24日夜に外貨保有企業が規制を超える場合に新規融資を停止するというリラ防衛策を突如発表したことで市場が混乱に陥りユーロやドル等の外貨売りが殺到してリラ買い戻しが勢い付き、1ドル17.40リラ近辺だったところから6月27日高値16.54リラまで急伸したが、やや狼狽的なリラ買いが一巡した後は再びファンダメンタルズ重視のリラ売り基調へと切り返し、連日にわたって安値の切り下げが続いてきた。
7月4日のトルコ6月消費者物価上昇率が80%に迫ったことでリラ安が勢い付き始めていたところ、7月5日夕刻から欧米のリセッション懸念が深刻化したとしてユーロやポンドが急落、豪ドルや新興国通貨も売られたことに煽られて1ドル17リラを突破したが、7月6日もユーロやポンドが続落したことで17.20リラを超えるところまでリラ安が進んでいる。

【リセッション入り懸念での新興国通貨売り】

欧米等主要国がインフレ対策としての金融引き締めを強化しており、米連銀のパウエル議長が6月29日のECBフォーラムにおいて「景気よりもインフレ対策」と述べたことで通貨当局も利上げによるリセッション入りが濃厚とみていることが示されたため、金融市場全般がリスク回避に動いており、ドルストレートでのドル全面高、クロス円での円高が顕著になっている。
ユーロドルは7月5日夜にかけての暴落的な下落から6日もさらに安値を1.0160ドルまで切り下げており、2017年1月底と2020年3月底による下値支持線から転落、20年ぶり安値圏に転落しているが、ポンドや豪ドル、南アランド等の下落も目立つ。

金融引き締めは金融緩和によってもたらされた過剰流動性が投機マネーと化して金融資産や不動産等、新興国株や通貨等へ流入してきた流れを逆流させる。これに対抗する必要もあって新興国の利上げも相次いできたが、利下げがインフレを抑制するはずというエルドアン大統領による利下げ要請に屈しているトルコ中銀はインフレが深刻化する中でも利上げできずに現状維持を繰り返しており、大統領の意向に圧されて利下げに踏み切る可能性さえ取り沙汰されている。
日銀も輸入インフレが進んでいるものの国際商品の高騰による一時的な急上昇は長続きしないとし、景気回復と賃金上昇が鈍い中では金融引き締めはありえないとのスタンスを継続していることで歴史的な円安基調が続いている状況だが、金融引き締めへ転換できない弱い円とトルコリラによる弱さの比較でトルコリラ円も推移してゆく。ドル円の上昇力がやや鈍ってきたことで直近ではリラ安が目立つ状況となり、6月16日安値7.59円から6月27日高値8.97円までの上昇が一巡して下落再開感が強まっていると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月4日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして5日午前から7日午前にかけての間への上昇を想定していたが、7月5日夕刻からの急落で弱気転換目安とした8.04円を割り込んでさらに8円割れへ続落したため、6日午前時点では5日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクルとして7日夜から11日夜にかけての間への下落を想定した。
7月6日夜へ一段安したところから戻しているものの7.90円前後の水準にとどまっているのでまだ一段安余地ありとして7.86円割れからは下げ再開とみるが、7.95円に迫る上昇の場合は強気サイクル入りとして8日午前から12日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、7月5日午後からの急落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いている。安値更新を回避して推移すれば遅行スパンは好転しやすくなるが先行スパンへ潜り込めないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。先行スパンへ潜り込み始める場合は上昇継続の可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月6日夕刻に20ポイント割れへ低下してから40ポイント台回復まで戻している。
50ポイントを超えないうちは40ポイント割れから下げ再開とするが、50ポイント超えからは60ポイントを目指す上昇へ進む可能性があるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.82円を下値支持線、7.93円を上値抵抗線とする。
(2)7.93円を下回るうちは一段安余地ありとし、7.82円割れからは7.70円台後半(7.80円から7.75円)を目指す下落を想定する。7.77円以下は反騰注意とするが、7.85円以下での推移なら8日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.93円手前は戻り売りにつかまりやすいところとみるが、7.93円超えからは7.95円前後への上昇とその後の反落注意とみる。

【当面の主な予定】

7月7日
 20:30 週次 外貨準備高 7/1時点 グロス (6/24時点 603.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 7/1時点 ネット (6/24時点 75.3億ドル)
 23:30 6月 財務省現金残 (5月 1492.3億リラ)
7月8日
 16:00 5月 経常収支 (4月 -27.4億ドル)
7月13日
 16:00 5月 失業率 (4月 11.3%)

注:ポイント要約は編集部

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