ドル円見通し ユーロやポンドが続落でドル高継続、米長期債利回り反騰でドル円は136円台回復(22/7/7)

6日のドル円は、135円割れからの買い戻しで深夜には136円に到達、7日午前序盤も136円台で戻り高値を切り上げている。

ドル円見通し ユーロやポンドが続落でドル高継続、米長期債利回り反騰でドル円は136円台回復(22/7/7)

ユーロやポンドが続落でドル高継続、米長期債利回り反騰でドル円は136円台回復

〇ドル円、欧米株反発と米長期債利回り反騰で135円割れからの買い戻し、深夜に136円に到達
〇新興国通貨・コモディティ通貨も総じて続落基調、リセッション入りへの市場不安極めて大きい
〇6月米ISMサービス業景況指数は55.3で5月の55.9から低下、2020年5月以来の低水準
〇7日未明公表の米連銀FOMC議事録には特段のサプライズなし
〇135.50以上での推移中は上昇余地あり、7/5午前高値136.36超えからは137円を試す上昇を想定
〇135.50割れからは下落再開注意として6日夜安値134.94試し

【概況】

ドル円は7月5日夕刻からのユーロ急落等を発端としたドルストレートでのドル全面高とクロス円の全面安の中でリスク回避的な円高がやや優勢となったために7月5日午前高値136.36円から5日夜安値135.51円へ下落、6日夜にかけてもユーロやポンドが続落したことで円の買い戻し優勢も続いて135円をいったん割り込み134.94円まで安値を切り下げた。しかし欧米株が反発、米長期債利回りが当初の低下から反騰したこともあり135円割れからの買い戻しで深夜には136円に到達、7日午前序盤も136円台で戻り高値を切り上げている。
7月5日は金融引き締めによるリセッション入りへの懸念が急激に膨張し、ユーロ安を先導役としてリスク回避的な動きが強まり、安全資産として米長期債が買われて利回りが低下したことがドル円の下落につながったが、6日は株高による債券売りで米長期債利回りが反発したことによりドル全面高の流れに乗ってドル円も戻したという印象だ。

【ユーロドルは続落、ポンドも昨年来安値更新】

ユーロドルは7月5日夕刻から深夜にかけて1.040ドル台前半の水準だったところから1.030ドルを割り込み5日深夜には1.0233ドルへ急落、2017年1月3日底1.0341ドルを割り込み、2008年7月15日天井1.6035ドル以降の安値を更新して2002年12月以来の安値水準となった。7月6日の日中を急落一服で横ばい推移していたものの、夕刻から再び売られて6日深夜には1.0160ドルまで一段安となり、7日午前序盤も下げ渋り程度の動きにとどまっている。
ポンドドルも7月6日に1.1873ドルへ続落して昨年6月1日天井1.4248ドル以降の最安値を更新した後も1.20ドル以下にとどまっている。
豪ドル米ドルは7月5日安値で0.6760ドルを付けて昨年2月天井0.8007ドル以降の最安値を更新し、6日は新たな安値更新を回避しているものの0.69ドル以下の水準にとどまっており安値更新への余裕は乏しい。
新興国通貨・コモディティ通貨も総じて続落基調にあり、今回のリセッション入りへの市場不安が極めて大きいことを印象付けている。

7月5日にNYダウが大幅下落で開始した後に下げ幅を大きく削る反発を見せ、6日は前日比69.86ドル高と若干上昇、ナスダック総合指数も5日から6日へと連騰で戻したことで世界連鎖株安の深刻化についてはややブレーキがかかっているものの、NYダウも年初来の大幅下落途中に一服にとどまっている。上海総合株価指数は6日に1.43%安と下落して感染再拡大報道により4月後半からの上昇基調が崩れ始めていることも気になる。またロシア制裁等による供給不安よりも景気後退による需要低下懸念で国際商品が全面安の様相を続けていることも金融市場全般のリスク回避感、手仕舞い売り衝動を拡大させるものとなっている。

【ISMサービス業景況指数は2020年5月以来の低水準に】

7月6日夜に発表された6月の米サプライ管理協会(ISM)サービス業景況指数は55.3となり5月の55.9から低下して2020年5月以来の低水準となった。好不況の節目である50ポイント以上を維持しており市場予想の54.3を上回ったことで、発表後にはドル円の上昇に寄与したが景気鈍化傾向を示すものだった。
米労働省が発表した5月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数は1125万4000件となり4月からは42万7000人減少したが市場予想の1100万件を上回った。景気減速懸念が強まっているものの労働市場の引き締まり感は継続している。

7月7日未明に公表された米連銀のFOMC議事録には特段のサプライズは無かった。
FOMC参加者は「インフレはあまりにも高すぎる」と、参加者全員が「インフレを2%目標に戻す上で強く取り組んでいく」とし、6月会合で凡そ27年ぶりとなる0.75%利上げを決定したことについても参加者18人中の反対は1人にすぎず、次回会合での「0.5%か0.75%の利上げが適切となる可能性がある」との見方で一致し、インフレ進行次第では「一層の引き締めスタンスが適切となる」とされた。
FOMC声明発表当日の内容及びパウエル米連銀議長会見から特段のサプライズはなく、パウエル議長がその後の6月22日と23日の米上下院議会証言や6月29日のECBフォーラムにおいて「景気よりもインフレ抑制」としてリセッション入りの懸念を示してきたため、議事録への市場の反応は限定的だった。

【米10年債利回りは反騰】

7月6日の米10年債利回りは前日比0.12%上昇の2.93%へ戻した。7月5日はリスク回避による安全資産買いで債券高・利回り低下となり前日比0.07%低下の2.81%で終了していたが、6日は一時2.74%までさらに低下したところから反騰した。欧米株が反発したことで安全資産買いによる利回り低下圧力が後退したことで、本来の先行き利上げを反映する形での長期債利回り上昇反応を見せたという印象だ。
30年債利回りも0.09%上昇の3.13%、2年債利回りは0.19%上昇の3.01%へと大きく反騰したが、2年債利回りと10年債利回りの逆イールドが広がっていることは景気後退への不安サインでもある。
ドル円としてはリスク回避感が強まって米長期債利回りも低下するような局面では円高が勝って下落し、米長期債利回りが上昇する局面では本来の日米金利差拡大基調を再確認して上昇するような反応となっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、7月5日午前に136円台前半へ戻したところから135.50円割れへ失速したために7月6日午前時点では7月5日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクルとして7日午前から11日午前にかけての間への下落を想定した。
7月6日夜へ続落したが、135円割れを買い戻されて136円台に到達しているため、7月1日午後及び4日午前安値と7月6日夜安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。トップ形成期は8日午前から12日午前にかけての間と想定されるが、6月22日午前高値以降は134円台で買われるも137円までの範囲で騰落を繰り返しているので今回の戻りも短命の可能性があるとみて135.50円割れを弱気転換注意とし、6日夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして11日夜から13日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月6日夜からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜けてきているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし先行スパンから再び転落して遅行スパンも悪化するところからは戻り一巡による下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は7月6日午前から夜にかけての安値更新に際して指数のボトムが切り上がる小規模の強気逆行を見せてから60ポイント到達まで戻しているため、50ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは70ポイント台への上昇余地ありとし、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後を試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、135.50円を下値支持線、7月5日午前高値136.36円を上値抵抗線とする。
(2)135.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、7月5日午前高値超えからは137円を試す上昇を想定する。137円前後は反落警戒とするが、米長期債利回りの上昇で勢い付く場合には137円台序盤へ向かう可能性もあるとみる。また135.50円以上での推移なら8日午前も高値試しを続けやすいとみる。
(3)135.50円割れからは下落再開注意として6日夜安値134.94円試しとし、安値更新からは134円前後への下落を想定する。134円台序盤は買い戻されやすいとみるが、7月1日安値134.74円を割り込む場合は6月29日深夜の137円到達後の下落が二段下げ型に発展するために先安感が強まると警戒する。

【当面の主な予定】

7/7(木)
10:30 (豪) 5月 貿易収支 (4月 104.95億豪ドル 107.25億豪ドル)
14:00 (日) 5月 景気先行指数CI速報値 (4月 102.9、予想 101.5)
15:00 (独) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 0.7%、予想 0.4%)
15:00 (独) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -2.2%、予想 -1.8%)
20:30 (欧) 欧州中銀 理事会議事要旨
21:30 (米) 5月 貿易収支 (4月 -871億ドル、予想 -849億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.1万件、予想 23.0万件)

21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 132.8万人、予想 132.7万人)
22:00 (英) マン英中銀委員、講演
24:00 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
26:00 (米) ウォラーFRB理事、インタビュー
26:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演

7/8(金)
08:30 (日) 5月 全世帯消費支出 前年同月比 (4月 -1.7%、予想 2.1%)
08:50 (日) 5月 経常収支・季調前 (4月 5011億円、予想 1620億円)
08:50 (日) 5月 経常収支・季調済 (4月 5115億円、予想 1549億円)
08:50 (日) 5月 貿易収支・国際収支ベース (4月 -6884億円、予想 -2兆316億円)
14:00 (日) 6月 景気ウオッチャー現状判断DI (5月 54.0、予想 55.0)
14:00 (日) 6月 景気ウオッチャー先行判断DI (5月 52.5、予想 53.6)
20:55 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、講演
21:30 (米) 6月 非農業部門就業者数 前月比 (5月 39.0万人、予想 24.0万人)
21:30 (米) 6月 失業率 (5月 3.6%、予想 3.6%)
21:30 (米) 6月 平均時給 前月比 (5月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 6月 平均時給 前年同月比 (5月 5.2%、予想 5.1%)
23:00 (米) 5月 卸売売上高 前月比 (4月 0.7%)

24:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
28:00 (米) 5月 消費者信用残高 前月比 (4月 380.7億ドル、予想 309.0億ドル)

注:ポイント要約は編集部

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