トルコ中銀翌日物貸出金利引き下げ、粛清拡大でリラ下落
トルコリラ金利引き下げには反応せず、教育関係者の粛清で下落
トルコ中銀は昨日政策金利の上限である翌日物貸出金利を0.25%引き下げ8.75%としました。主な政策金利であるレポレートは7.5%で据置、政策金利の下限である翌日物借入金利も7.25%で据え置かれました。
先週のクーデター以前は貸出金利の0.5%の引き下げが予想されていましたが、クーデター後の予想の中央値は0.25%で予想通りの結果となりました。
発表直後はトルコリラの相場に大きな変動は見られませんでしたが、クーデター後のエルドアン大統領によるパージが教育関係者に拡大し、1,577名もの大学の学部長に辞職を求めたと伝えられると、トルコリラは急落、対ドルで再び3.0を超えました。
尚、ムーディーズとフィッチはそれぞれトルコの格付けをダウングレードの方向で見直すと発表しています。
本日東京時間でもトルコリラは下落が続き、一時対ドルで3.0623とクーデター直後の安値を超え2015年9月の過去最安値3.0752に迫る勢いです。
エルドアン大統領の独裁的傾向?の強まりに懸念
エルドアン大統領のクーデター後の粛清は予想をはるかに上回る規模で、すでに公務員を中心とした粛清対象は5万人を超えたと伝えられています。
今回のクーデターにもし全員が関与していたとするのであれば、それはすでに国中がエルドアン大統領に敵対している規模であり、今後の政権運営が危ぶまれますし、関与の有無にかかわらず、どさくさに強権を発動し一気に反対派を押さえ込もうとしているのであれば、「民主主義の勝利」どここか、新たな独裁者の誕生でしかありません。
大統領は死刑制度の復活にも言及しており、西側諸国を中心に政権への不信が強まりつつあります。
海外調達依存度の高いトルコ海外資金の流出は痛手
エルドアン大統領自身が命を狙われたことから一時的に半狂乱になっている可能性もありますが、少なくとも現在のトルコは投資を行うには政治的にあまりにも不透明かつ安定を欠いている状態にあると言わざるをえず、短期間で状況が収集されない限り今後も海外への資金の流出は避けられないでしょう。
海外資金の流出は財政をGDPの25%規模の海外資金調達に依存せざるをえないと言われている同国経済へ致命的ともなりうるダメージをもたらす恐れがあり、今後の成り行きには注視が必要です。
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