トルコリラ円見通し 中銀の政策金利据え置き後は強気材料難で調整気味の推移(21/2/24)

23日午後に14.99円まで戻したものの15円には届かず、23日深夜に22日深夜安値を割り込んで24日午前序盤には14.77円まで安値を切り下げている。

トルコリラ円見通し 中銀の政策金利据え置き後は強気材料難で調整気味の推移(21/2/24)

中銀の政策金利据え置き後は強気材料難で調整気味の推移

〇トルコリラ円、23日深夜に22日深夜安値を割り込み24日午前序盤には14.77まで安値を下げる
〇トルコ1月観光客入国数は50万9787人で前年同月比71.48%減、11月〜12月の第二波の影響で再び悪化
〇2月製造業景況感は109.3と市場予想を上回るも、2月設備稼働率は74.9%で予想を下回る
〇23日のイスタンブール100株価指数は前日比2.11%安に、海外勢のトルコ株売りが目立つ
〇14.90以下で推移中は一段安警戒、14.70割れから14.60前後への下落を想定
○14.90超えからは反騰入りの可能性ありだが、その後の14.80円割れからは下げ再開とみる

【概況】

トルコリラ円は2月16日に15.26円まで上昇したが、2月18日のトルコ中銀金融政策発表直後に同値まで戻したもののその以後は上値が重くなって15.03円から15.18円までのレンジ内での揉み合いとなり、2月22日夕刻からはこのレンジから転落してドル円が深夜にかけて一段安する過程で14.82円へ一段安となった。23日午後に14.99円まで戻したものの15円には届かず、23日深夜に22日深夜安値を割り込んで24日午前序盤には14.77円まで安値を切り下げている。

対ドルでのトルコリラは2月16日に6.88リラへ上昇して昨年11月6日安値8.57リラ以降の最高値を更新したが、その後は上げ渋りとなり、22日は16時のトルコ統計及び17時の観光客時計発表後に売られて2月22日深夜には7.08リラまで反落した。23日夕刻に6.99リラまでいったん戻すも23日深夜には22日深夜安値を割り込んで24日早朝には7.11リラまで続落している。

【観光客数の大幅減少続く、設備稼働率もやや低下】

【観光客数の大幅減少続く、設備稼働率もやや低下】

トルコ文化観光庁が発表した1月の観光客入国数は50万9787人で前年同月比71.48%減となった。昨年のコロナショック第一波による衝撃で2020年4月に前年比99.26%減と壊滅的な減少となった後、9月には59.4%減までやや持ち直したものの11月から12月への第二波の影響で再び悪化した。慢性的な経常赤字国であるトルコにとっては観光収入が最重要でもあり、最近の世界的な新規感染者数の減少傾向やワクチン普及による先行きの回復期待はあるものの、足元の実体はかなり悪い状況が続いている印象だ。
トルコ中銀が発表した2月の製造業景況感は109.3となり1月の107.0から改善して市場予想の108.0を上回ったが、トルコ統計局発表の2月設備稼働率は74.9%にとどまり1月の75.4%から悪化、市場予想の76%への改善を裏切る数字となった。

【2月22日の日足陰線】

2月22日の日足は大きな陰線となり当日の高値から安値まで0.35円の下落幅となった。安値の14.82円から14.95円までがこの日の陰線の下ヒゲだったが、23日は22日の下ヒゲをつぶす連続陰線となった。
2月16日高値15.26円から23日安値14.78円までは0.48円の下落幅だが、1月7日高値14.28円から1月18日安値13.73円への下落時や、11月6日からの急反騰一巡でいったん下げた時の11月11日高値13.81円から下落した時にも近い印象がある。
11月6日安値からの上昇も既に3か月半を経過したが、アーバル新総裁就任による二度の大幅利上げで実質マイナス金利状態から脱却してトルコ金融政策に対する市場の信認も得た状況にあるものの、2会合連続で政策金利を据え置きつつ追加利上げの可能性を示唆してリラ高基調とインフレ抑制を目指しているものの、当面の材料としては出尽くし感もあるところだ。

日足チャートでは2月8日から2月16日への高値更新に際して相対力指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる。MACDでは1月29日から続いてきたGクロスが途切れた。一目均衡表では先行スパンを上回り遅行スパンも好転状態を維持しているが、9日転換線を2日続けて割り込んでおり、この先に26日基準線の14.50円を割り込むようだと下落基調に転じかねないところにある。
仮に調整安に入ってもそこを押し目として足場を固めれば3月1日発表予定の10-12月期GDPなどをきっかけに次の上昇へつながると思われるが、3月3日の消費者物価などが上昇するようだと追加利上げ最速によるリラ安という展開に向かう可能性もあると注意したい。

2月23日にイスタンブール100株価指数は前日比2.11%安と下げた。22日の同0.62%安からの続落だが、一部報道では海外勢のトルコ株売りが目立っており、この4週間で8億ドル強、この1年間では41億ドルの売り越しとなっているとされる。11月6日底からトルコリラが反騰に転じ、イスタンブール100株価指数も昨年3月以来の最高値を年初に更新したもののその後は伸びずにいることもトルコリラにとっては懸念材料となりつつあるのかもしれない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月16日夕高値と18日夜高値によりダブルトップを形成して下落期に入っている。17日夕安値から3日目となる22日深夜安値からいったん戻してから一段安しているため、直近のサイクルボトムを22日深夜安値としてすでに底割れから新たな下落期に入っている可能性がある。このため15円を超えないうちは25日夜から3月1日夜にかけての間への下落を想定し、15円超えからは直前安値をボトムとした反騰期入りとして25日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では22日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は22日深夜安値から24日早朝への一段安に際して指数のボトムがほぼフラットな強気逆行の気配を見せているので50ポイント超えへ戻す場合はさらに戻りを試しにかかるとみるが、40ポイント前後までで伸び悩む場合はもう一段安の可能性が残るとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、14.70円を下値支持線、15.00円を上値抵抗線とする。
(2)14.90円以下での推移中は一段安警戒とし、14.70円割れからは14.60円前後への下落を想定する。14.60円以下は反騰注意とするが14.90円以下での推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)14.90円超えからは反騰入りの可能性ありとみるが15円手前は戻り売りにつかまりやすいとみてその後の14.80円割れからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

2月25日
 16:00 2月経済信頼感指数 (1月 96.2、予想 97.0)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
2月26日
 16:00 1月貿易収支 (12月 -45.3億ドル、予想 -47.0億ドル)
3月1日
 16:00 10-12月期GDP前期比 (7-9月期 15.6%、予想 2.2%)
 16:00 10-12月期GDP前年同期比 (7-9月期 6.7%)
 16:00 2月イスタンブール製造業PMI (1月 54.4)
3月3日
 16:00 2月消費者物価 前年同月比 (1月 14.97%)
 16:00 2月消費者物価 前月比 (1月 1.68%)
 16:00 2月生産者物価 前年同月比 (1月 26.16%)
 16:00 2月消費者物価 前月比 (1月 2.66%)


注:ポイント要約は編集部

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