トルコリラ週報:『200bpのサプライズ利下げで大暴落。史上最安値を大幅更新』(10/23朝)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、史上最安値となる11.79円まで急落しました。

トルコリラ週報:『200bpのサプライズ利下げで大暴落。史上最安値を大幅更新』(10/23朝)

トルコリラ週報:『200bpのサプライズ利下げで大暴落。史上最安値を大幅更新』

〇トルコ円、リスク選好ムードに週後半にかけ12.43まで上昇
〇その後トルコ中銀が想定外の2%利下げを実施したことから週末にかけ史上最安値11.79まで急落
〇トルコ円テクニカルの地合いは「極めて弱い」
〇ファンダメンタルズも中銀追加利下げ観測、独立性への不信感等トルコ円下落を意識させる材料増える
〇トルコ円続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):11.50ー12.00

今週のレビュー(10/18−10/22)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初12.32円で寄り付いた後、@株式市場の堅調推移や、A上記@を背景としたリスク選好ムードの高まり(リスク選好の円売り再開→ドル円上昇→トルコリラ円連れ高)を材料に、週後半にかけて、週間高値12.43円まで上昇しました。しかし、B注目されたトルコ中銀会合で市場予想を上回る200bpの利下げ(18.00%→16.00%)が決定されると、C声明文における「供給サイドの一時的要因が年末までに限定的な利下げ余地を残している」との文言(the Committee assessed that, till the end of the year, supply-side transitory factors leave limited room for the downward adjustment to the policy rate.)や、D上記Cを背景とした追加利下げ観測の高まり、

E中銀の独立性に対する不信感(市場ではエルドアン大統領の圧力に屈する形でトルコ中銀が大幅利下げに踏み切ったとの見方が大勢。事実、エルドアン大統領は先週、利下げに反対した人物を含むトルコ中銀メンバー3名をサプライズ解任)、F実質金利のマイナス幅拡大(米大手銀行のJPモルガンは年末のインフレ予測を16.7%から19.9%へ大幅上方修正)、G金融活動作業部会(FATF)によるトルコの「グレーリスト」追加、H格付会社フィッチレーティングスによる「トルコの利下げは失策」との批判発言などが重石となり、週末にかけて、史上最安値となる11.79円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/23午前4時50分現在)では、11.80円前後で推移しております。

来週の見通し(10/25−10/29)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、史上最安値となる11.79円まで急落しました。この間、主要チャートポイント(一目均衡表転換線や基準線、90日移動平均線や21日移動平均線など)を軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークが全て成立するなど、テクニカル的に見て「地合いは極めて弱い」と判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による追加利下げ観測(トルコ中銀は直近2回の会合で計300bpの大幅利下げを実施。声明文には更なる利下げの可能性を滲ませる文言)や、A中銀の独立性に対する不信感(エルドアン大統領は利下げに反対するメンバーを解任するなど、中銀に対する圧力を一段と強化)、B上記Aを背景とした国内から国外への資本流出圧力(外国人投資家によるトルコリラ離れ)、Cトルコ経済の先行き不透明感(景気停滞とインフレが同時進行するスタグフレーション懸念)、D米国との関係悪化懸念(トルコはロシアからS400の第2弾を購入する構え)、E実質金利の急低下(名目金利の引き下げとインフレ加速の組み合わせ)、F通貨リラを防衛する介入余力の乏しさなど、トルコリラ円相場の下落を意識させる材料が複数あります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は10/25に予定されているトルコ10月設備稼働率やトルコ10月製造業景況感指数、10/27のトルコ9月貿易収支やトルコ10月経済信頼感指数などに注目が集まります。

来週の予想レンジ(TRYJPY):11.50ー12.00

トルコリラ週報:『200bpのサプライズ利下げで大暴落。史上最安値を大幅更新』

トルコ円日足

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