ドル円見通し 米デフォルト懸念と早期利上げ停止期待後退でドル高、5月2日からの下落幅解消(23/5/18)

ドル円は5月18日早朝に137.70円へ上昇、5月2日高値137.76円に迫り5月5日未明安値133.46円への下落幅をほぼ解消した。

ドル円見通し 米デフォルト懸念と早期利上げ停止期待後退でドル高、5月2日からの下落幅解消(23/5/18)

米デフォルト懸念後退、早期利上げ停止期待後退でドル高、5月2日からの下落幅を解消

〇ドル円、5/18早朝に137.70へ上昇、一時5/2高値137.76に迫る
〇米地銀の信用不安後退米債務上限問題解消期待により、前日からのドル高を5/17も継続
〇FRB高官のタカ派発言続き、早期利上げ停止期待を牽制、米長期債利回り連騰とドル高を助長
〇3/8、5/2のダブルトップ形状打破の動き強まる、3/8高値超えれば140円台回復を目指す可能性も
〇米10年債・2年債利回りは4連騰、NYダウは大幅反発、ナスダックも上昇し昨年10/13以降の最高値更新
〇137.25以上での推移中は一段高余地ありとし、138円台への上昇を想定する
〇137.25割れの場合弱気転換注意、137.00割れから一旦下げて136円台中盤へ下落を想定する

【概況】

ドル円は5月18日早朝に137.70円へ上昇、5月2日高値137.76円に迫り5月5日未明安値133.46円への下落幅をほぼ解消した。5月16日の米4月小売売上高が改善したこと等をきっかけとしたドル高を17日も継続し、米地銀の信用不安後退で地銀株が上昇、米連邦債務上限問題が21日までに解決との見通しから米国リスクが後退したとしてドル高となり、ユーロドルが4月26日以降の安値を更新する一方でドル円は続伸した。
米商務省による4月の住宅着工件数(年率換算)は前月比2.2%増の140万1000戸となり、3月の4.6%減から改善して市場予想の140万戸をわずかに上回り、先行指標の住宅着工許可件数は前月比1.5%減の141万
6000戸で市場予想の143万7000戸を下回ったが、市場の反応は限定的だった。
米連邦政府の債務上限問題ではバイデン米大統領とマッカーシー下院議長による5月16日の協議は不調に終わったものの大統領は「合意に達することを確信している」とし、マッカーシー下院議長も21日までに合意することが可能」と述べたことでデフォルト発生への懸念が後退した。

【5月2日からの下落幅をほぼ解消、再び3月8日高値超えへ挑戦】

ドル円は4月28日の日銀金融政策決定会合における「金融政策を1年から1年半かけて検証する」としたことにより当面は異次元金融緩和政策への大きな転換はないとみて133円台序盤から5月2日高値137.76円へ大幅上昇したが、5月2日の米JOLTS求人件数の大幅減少や5月4日未明のFOMCにおける「追加の金融引き締めが適切」との文言が声明文から削除されたことによるドル売りで5月5日未明安値133.46円まで大幅下落した。ドル売り一巡後のリバウンドで5月10日に135.48円まで上昇したところから10日夜の米CPI及び11日夜の米PPIが共に鈍化したことで再びドル売りとなったものの11日夜安値は133.74円にとどまり5月5日未明安値割れを回避して持ち直し、12日深夜にはミシガン大による5年先期待インフレ率の上昇をきっかけとして5月10日高値を超えた。
5月16日は米4月小売売上高がプラスに転じるなど米経済指標が総じて強く、地区連銀総裁らによる再利上げの可能性を支持する発言等により15日夜高値を超えて16日深夜には136.68円へ上昇して勢い付いたが、17日も16日の流れを継続した。

シカゴ連銀のグールズビー総裁は5月16日に「利下げを議論するのは時期尚早」とし、リッチモンド連銀のバーキン総裁が「一段の利上げが必要なら支持する」と述べ、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も「インフレ鈍化に向け金融当局にはやるべき仕事がまだ残されている」としたことで米FRBによる早期の利上げ停止期待が牽制され、7月FOMCでの再利上げの可能性や利上げ状態の継続期間が長引く可能性が高まっていることが米長期債利回りの連騰とドル高を助長した。
ドル円は5月2日への上昇では3月8日高値に届かなかったことで両高値をダブルトップ型として1月16日安値からの戻りが行き詰まっていたが、5月5日未明安値及び5月11日安値は3月24日以降の底上げ基調を維持する範囲にとどまって再び3月8日高値に迫ってきている。
3月8日高値を超えればダブルトップ型の上値抵抗線と3月24日以降の底上げ基調での下値支持線による三角持ち合いからの上放れに入るため、テクニカル的な上昇継続感が強まり140円台回復を目指す可能性も浮上してくるのではないかと思われる。

【米10年債利回りは週末から4連騰、NYダウは大幅反発】

5月17日の米長期債利回りは週末からの上昇基調を継続、米連邦債務上限問題解決への楽観や株買い・債券売りにより総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.03%高の3.57%となったが、5月12日の0.08%上昇、15日の0.04%上昇、16日の0.03%上昇からの4連騰で一時は3.59%を付けた。3月2日の4.09%から4月6日の3.25%まで下げた後の戻り高値は4月19日の3.64%でまだ上抜けていないものの3.30%前後での底固さを見せて持ち直しに入っている。
利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.08%上昇の4.17%となったが、5月12日の0.08%上昇、15日の0.02%上昇、16日の0.08%上昇からの4連騰となった。3月8日の5.08%から3月24日の3.56%まで大幅低下した後の戻り高値は4月19日の4.29%でまだ届いていないものの持ち直しを続けている。

一方でNYダウは前日比408.63ドル高と大幅上昇した。5月8日から12日にかけて5営業日続落し、15日に47.98ドル高と戻したところから16日に336.46ドル安と大幅反落したことで悲観が先行していたが、ウエスタン・アライアンス・バンコーポレーションが預金拡大を報告したことで地銀の経営危機連鎖への不安が後退して地銀株が上昇し、米連邦債務上限問題への楽観が株買いを助長したようだ。ナスダック総合指数も157.52ポイント高となり高値で12514.07ポイントを付けて昨年10月13日安値10088.83ポイント以降の最高値を更新した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は5月11日夜安値からの上昇が15日夕高値で一服したものの16日深夜へ一段高したために、17日午前時点では16日夕安値で目先の底を付けて新たな上昇期に入ったとして5月22日夜にかけての上昇を想定した。18日早朝へ一段高しているためまだ上昇途中とみるが、3月8日及び5月2日の高値に迫っているため高値警戒感も出やすいところと注意し、137円割れからはいったん下げに入るとみて23日夜にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月16日深夜への上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンへ一時的に潜り込んだところから上抜け、その後も両スパンそろっての好転が続いているので遅行スパン好転中は26本基準線を下値支持線として高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみるが、先行スパンからの転落を回避するうちはその後に好転するところから上昇再開とする。

60分足の相対力指数は5月15日から16日深夜への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られたものの17日夜から18日早朝への続伸により指数のピークを結んだ抵抗線を突破して80ポイント台に到達した。買われ過ぎ警戒感の出やすい状況にあるので65ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、相場が小反落後に高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は弱気転換注意とし、65ポイント割れからは下向きとして50ポイント割れを試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、137.25円を下値支持線、5月2日高値137.76円を上値抵抗線とする。
(2)137.25円以上での推移中は一段高余地ありとし、138円台への上昇を想定する。138.30円以上は反落注意とするが、137.25円を上回っての推移か、直前高値から1円を超える反落が発生しないうちは19日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)137.25円割れを弱気転換注意とし、137.00円割れからはいったん下げに入るとみて136円台中盤(136.70円から136.30円)への下落を想定する。136.50円以下は買われやすいとみるが、137円以下での推移なら19日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5/18(木)
休場 ノルウェー、スイス、インドネシア
10:30 (豪) 4月 新規雇用者数 (3月 5.30万人、予想 2.50万人)
10:30 (豪) 4月 失業率 (3月 3.5%、予想 3.5%)
16:45 (英) ピル英中銀理事、講演
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 26.4万件、予想 25.4万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 181.3万人、予想 181.8万人)
21:30 (米) 5月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (4月 -31.3、予想 -19.8)
22:05 (米) ジェファーソンFRB理事、講演
22:30 (米) バーFRB副議長、上院銀行委員会証言

23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数・年率換算 (3月 444万件、予想 430万件)
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数 前月比 (3月 -2.4%、予想 -3.2%)
23:00 (米) 4月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (3月 -1.2%、予想 -0.6%)
23:00 (米) ローガン・ダラス連銀総裁、講演
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札

5/19(金)
休場 トルコ
G7サミット 広島市、5/21まで
07:45 (NZ) 4月 貿易収支 (3月 -12.73億NZドル)
08:01 (英) 5月 GFK消費者信頼感 (4月 -30、予想 -27)
08:30 (日) 4月 全国CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (3月 3.2%、予想 3.5%)
08:30 (日) 4月 全国CPI・生鮮食料品除く 前年同月比 (3月 3.1%、予想 3.4%)
08:30 (日) 4月 全国CPI・生鮮食料品・エネルギー除く 前年同月比 (3月 3.8%、予想 4.2%) 

13:30 (日) 3月 第三次産業活動指数 前月比 (2月 0.7%、予想 0.3%)
15:00 (独) 4月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (3月 -2.6%、予想 -0.5%)
21:45 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
22:00 (米) ボウマンFRB理事、バンカーズコンベンション参加
22:55 (欧) シュナーベルECB理事、講演
24:00 (米) パウエルFRB議長、バーナンキ元FRB議長、討論会参加
28:00 (欧) ラガルドECB総裁、デコス・スペイン中銀総裁、ブラジル中銀主催会議参加 

注:ポイント要約は編集部

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