ドル円、米債務上限問題に関する進展期待と米地銀を巡る金融システム不安後退で急上昇
〇ドル円、米国時間午後にかけて、高値137.66まで急伸
〇円金利低下、米債務上限問題への楽観、米住宅指標改善、米金利上昇、米株価上昇等が支援
〇ユーロドル、欧州債利回り低下とドル全面高に一時1.0810まで下落
〇ドル円、200日移動平均線を上方ブレイク、強い買いシグナルも複数成立しテクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズも日米金利差拡大観測や米債務問題の進展期待、信用不安の後退がサポート
〇引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:136.75ー138.50
海外時間のレビュー
17日(水)のドル円相場は急上昇。アジア時間朝方にかけて、安値136.30まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日経平均株価の堅調推移(約1年8ヵ月ぶりに節目3万円の大台突破)や、(2)円金利低下に伴う円売り圧力(20年債入札の需要の強さ→10年債利回りが約1カ月半ぶり水準へ低下)、(3)マッカーシー米下院議長による「最終的にデフォルトにはならない」「今週中の合意は実行可能」との楽観的な発言、(4)米4月住宅着工件数(結果140.1万件、予想140.0万件)の市場予想を上回る結果、(5)200日移動平均線突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売り、(6)米主要株価指数の急上昇(リスク選好の円売り圧力)、(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(8)米ウエスタン・アライアンス・バンコープの預金量増加発表(3月末から5/12までに20億ドル以上の預金量増加→米地銀を巡る金融システム不安後退→米地銀株急上昇)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値137.66(5/2以来の高値圏)まで急伸しました。
引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/18午前5時35分現在)では、137.65前後で推移しております。
17日(水)のユーロドル相場は冴えない動き。アジア時間朝方にかけて、高値1.0874まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(3)欧米金利差拡大を背景としたユーロロング勢のストップSELL、(4)マッカーシー米下院議長による「最終的にデフォルトにはならない」「今週中の合意は実行可能」との楽観的な発言、(5)米4月住宅着工件数の市場予想を上回る結果が重石となり、米国時間朝方(日本時間23時過ぎ)にかけて、安値1.0810まで下落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/18午前5時35分現在)では、1.0838前後で推移しております。尚、昨日発表されたユーロ圏4月CPI(結果+7.0%、予想+7.0%)および、ユーロ圏4月コアCPI(結果+5.6%、予想+5.6%)は共に市場予想通りの結果となりました。
本日の見通し
ドル円は5/11に記録した安値133.74をボトムに反発に転じると、昨日は一時137.66(5/2以来、約2週間ぶり高値圏)まで急伸しました。この間、日足ローソク足が市場参加者に注目されていた200日移動平均線を上方ブレイクしたことや、ダウンサイドより主要テクニカルポイントが切り上がってくること、日足ベースで強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること、4時間足ベースで強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」「強気のパーフェクトオーダー」「強気のバンドウォーク」の全てが成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる次回FOMCでの追加利上げ観測(CMEが提供するFedWatchツールによると、次回6/14FOMCでの25bp利上げの織り込み度合は23.8%)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(円金利低下と日経平均上昇の組み合わせ→円売り)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開期待、(4)米債務上限問題の進展期待(昨日はバイデン米大統領およびマッカーシー下院議長より楽観的なコメントあり)、(5)米地銀を巡る金融システム不安の後退(米ウエスタン・アライアンス・バンコープの3月末から5/12までの期間の預金量が20億ドル以上増加→米地銀株急反発)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(5/2に記録した高値137.78や、3/8に記録した年初来高値137.92を突破するシナリオを想定)。尚、本日は、米5月フィラデルフィア連銀景況指数や、米新規失業保険申請件数、ジェファーソンFRB理事講演、バーFRB副議長証言、米4月中古住宅販売件数、米4月景気先行指数、ダラス連銀ローガン総裁講演などに注目が集まります。
本日の予想レンジ:136.75ー138.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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