ドル円、方向感に欠ける展開。ユーロドルは2年7ヵ月ぶり高値圏へ急上昇
〇ドル円104円台前半中心のもみ合い
〇ISM非製造業指数の不冴えの影響は限定的
〇ユーロドル欧米株上昇、指標の好調、英EU通商交渉への楽観で一時1.2054まで上昇
〇ドル円テクニカル、ファンダメンタルズとも上値の重い展開が想定される
〇本日の予想レンジ:104.00ー104.80
海外時間の為替概況
1日(火)の外国為替市場でドル円は下落後に持ち直すも方向感に欠ける展開。@先週来続くドル安の流れ(ドル指数は年初来安値を更新し、2018年4月以来、約2年7ヵ月ぶり低水準)を背景に、欧州時間朝方にかけて、一時104.18まで下げ幅を広げるも、A新型コロナワクチン期待を背景としたリスク選好の動きが続落を阻むと、B欧米株の堅調推移や、C上記ABを背景としたクロス円上昇→ドル円連れ高の波及経路が支援材料となり、米国時間朝方には、一時104.58まで上昇しました。もっとも、104円台半ばでは戻り売り圧力も根強く、伸び悩むと、引けにかけて小緩む展開。本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、104.39近辺で推移しております。尚、昨日発表された米11月ISM製造業景況指数(結果57.5、予想57.9、前回59.3)は市場予想を下回る冴えない結果となりましたが、ドル円相場への影響は限定的となっております。
1日(火)のユーロドル相場は急上昇。@欧米株の上昇を背景としたリスク選好のドル売り圧力(欧米での新型コロナワクチン実用化への期待感)や、Aユーロ圏製造業PMI(結果53.8、予想53.6)の良好な結果、Bユーロ圏11月消費者物価指数(結果▲0.3%、予想▲0.2%)の予想比下振れ(物価下押し→実質金利上昇→ユーロ高)、C英国と欧州連合のFTA交渉を巡る楽観ムード(今週中にも合意との期待感)、D短期筋のショートカバー(心理的節目1.2000をバックにショートを膨らませていた勢力によるロスカット)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、2018年5月1日以来、約2年7ヵ月ぶり高値となる1.2054まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.2048近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、11/11に記録した高値105.68をトップに反落に転じると、11/18にかけて一時103.64まで下落しました。この間、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(昨日は一時104.58まで反発するも、一目均衡表基準線などテクニカルポイントが密集する104円台半ばでは続伸が阻まれる展開→上値の重さを再確認)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、12月FOMCで追加緩和が織り込まれつつある米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(今週発表された米11月シカゴ購買部協会景気指数、米10月住宅販売保留指数、米11月ISM製造業景況指数は軒並み冴えない結果)、B米中対立激化懸念、C朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(たとえ新型コロナワクチンの供給が開始されたとしても世界中に行き渡るまでには相当な時間を要するとの慎重な見方)、E日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数拡大→本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、G米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク)、H米財政赤字の拡大懸念(米国債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる材料が引き続き沢山残っている状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、上値の重い展開が想定されます。欧米株や欧米長期金利の動向(リスク選好の株高→ドル売りが続くか否か)や、新型コロナウイルス及びワクチン開発に関するヘッドライン(昨日はファイザー社とモデルナ社がワクチンの条件付き緊急使用許可をEU当局に対して申請)、米経済指標の結果(米11月ADP雇用統計、パウエルFRB議長発言、ベージュブックなど)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(ドル売り基調の継続を予想)。
本日の予想レンジ:104.00ー104.80
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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