ドル円見通し クロス円の円安と米長期債利回り上昇で深夜へ上昇(20/12/2)

ドル円は12月1日深夜高値で104.57円まで上昇、11月30日早朝安値103.83円以降の戻り高値を更新したが、104.50円以上を維持しきれずに深夜からはやや下げている。

ドル円見通し クロス円の円安と米長期債利回り上昇で深夜へ上昇(20/12/2)

クロス円の円安と米長期債利回り上昇で深夜へ上昇

〇ドル円、12/1深夜104.57まで上昇後やや下げる
〇NYダウ前日比185.28ドル高と反発、一時400ドルを超える上昇幅となるも終盤は下げる
〇ナスダック156.37ポイント高で取引時間中及び終値ベースでの史上最高値更新
〇ユーロドル1.2075まで上昇、3月コロナショック暴落以降の最高値更新
〇ユーロやポンド等の上昇を背景にドル指数は91.15まで安値更新
〇1日深夜高値104.57超えからは11/24深夜高値104.75試し
〇104.10割れからは下げ再開とみて30日朝安値103.83試しを想定

【概況】

ドル円は12月1日深夜高値で104.57円まで上昇、11月30日早朝安値103.83円以降の戻り高値を更新したが、104.50円以上を維持しきれずに深夜からはやや下げている。
12月1日午前の中国財新による11月製造業PMIが54.9となり10月の53.6から上昇、市場予想の53.5も上回って2010年11月以来10年ぶりの高水準となったことをきっかけにダウ先物が上昇、為替市場でも前夜に急落しユーロドルが反騰に転じてリスク選好でのドル安となる一方、クロス円全般の上昇=円安がドル円にも波及したことや米長期債利回りが上昇したことで円安ドル高となり、ユーロドルやポンド/ドルが深夜にかけてこの間の高値を更新するのと並走してドル円も深夜まで上昇した。しかし深夜以降は米ISM製造業景況指数が予想を下回ったこと等からNYダウが上げ幅を縮小したことでユーロ高ドル安は継続したもののドル円は反落している。

【株高続く一方でドル指数は大幅続落】

1日のNYダウは前日比185.28ドル高と反発、30日に271.73ドル安と反落した流れから持ち直し、一時は400ドルを超える上昇幅となったが終盤は下げた。ナスダック総合指数も30日に取引時間中の史上最高値を更新した後は失速していたが1日は156.37ポイント高で取引時間中及び終値ベースでの史上最高値を更新した。

中国の財新PMIが良好だったこと、ユーロ圏と英国の製造業PMI確報値が速報値から上方修正されて市場予想を上回ったこと、米ファイザー社と米モデルナの両社がコロナワクチンの条件付き販売承認をEU当局に申請したと報じられたことで金融市場全般のリスク選好感が強まった。ムニューシン財務長官と野党民主党のペロシ下院議長が追加経済対策を巡って数週間ぶりに協議したとの報道、パウエル米連銀議長の議会証言もハト派的で12月15-16日の米FOMCでは追加金融緩和がありえるのではないかとの憶測も呼んだことで株高が進んだ。欧州株式市場もほぼ全面高で英国FT100が1.89%高、独DAXも0.69%高と上昇した。米ISMの11月製造業景況指数は57.5で10月の59.3から悪化、市場予想の58.0を下回ったのはダウ等の上げ幅を削ったが、為替市場では株高基調継続のなかでのドル安要因となった。

ユーロドルは深夜以降も続伸して1.2075ドルまで上昇、3月コロナショック暴落以降の最高値を更新して2018年4月以来の高値水準に達した。ポンドドルも1.3440ドルに到達して9月1日高値1.3482ドルに迫り、NZドル米ドルは3月以降の最高値を更新して2018年4月以来の高値水準となった。
ユーロやポンド等の上昇を背景にドル指数は91.15まで安値を更新した。30日に91.50まで下落して9月1日安値91.74を割り込んでいたが僅かな安値更新にとどまっていたためにダブルボトム形成の可能性もあったところだが、1日の大幅続落により底割れからの一段安入りという印象が強まった。
ドル円としては、ドル全面安のなかにあってもクロス円の上昇=円安が進みつつ株高によるリスク選好感が強まればドル円においても円安反応となるケースはある。また株高債券安で米長期債利回りが上昇すればドル円にとっては金利面での上昇要因となるが、1日は米10年債利回りが前日比0.09%上昇の0.93%、米30年債が同0.10%上昇の1.67%となったことで金利面でのドル高円安反応も加わったと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月30日朝安値からの反騰で直前の下げ幅の半値戻しを超えたため、30日早朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして12月1日深夜にかけての間への上昇を想定したが、1日朝時点ではすでに反落注意期にあるとして104.10円割れからは弱気サイクル入りとした。1日深夜高値からの反落では104.10円割れには至っていないのでまだ上昇再開余地も残るが、24日夜高値から5日を経過しているので1日深夜高値でサイクルトップをつけた可能性があると注意し、104.10円割れからは弱気サイクル入りとして12月3日朝から7日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1日深夜高値からの反落で遅行スパンが悪化して先行スパン上限に迫っている。弱気転換は先行スパン転落からとするが、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先の展開へと進むとみる。

60分足の相対力指数は27日午後安値から30日朝への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて反騰入りしたが、30日深夜から1日深夜への高値切り上げに際しては指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生しているので1日深夜からの下落再開が警戒される。50ポイント以下での推移が続くうちは30ポイント前後を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、104.10円を下値支持線、1日深夜高値104.57円を上値抵抗線とする。
(2)104.10円を上回るうちは上昇再開余地ありとし、104.57円超えからは11月24日深夜高値104.75円試しとみる。104.70円以上は反落注意とするが、104.25円以上での推移なら3日も高値試しを続ける可能性があるとみる。
(3)104.10円割れからは下げ再開とみて30日朝安値103.83円試しを想定する。30日朝安値前後は買い戻しも入りやすいとみるが、底割れからは103円台前半へ下値目途を引き下げる。また104.10円以下での推移なら3日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

12/2(水)
09:30 (豪) 7-9月期 GDP 前期比 (4-6月 -7.0%、予想 2.5%)
09:30 (豪) 7-9月期 GDP 前年同期比 (4-6月 -6.3%、予想 -4.4%)
14:00 (日) 11月 消費者態度指数・一般世帯 (10月 33.6、予想 33.0)
19:00 (欧) 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 0.3%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 -2.4%、予想 -2.4%)
19:00 (欧) 10月 失業率 (9月 8.3%、予想 8.4%)
22:15 (米) 11月 ADP・非農業部門民間雇用者数 前月比 (10月 36.5万人、予想 43.0万人)
23:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
24:00 (米) 下院金融サービス委員会証言 (ムニューシン米財務長官、パウエルFRB議長)
27:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、記者会見
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

12/3(木)
06:45 (NZ) 10月 住宅建設許可件数 前月比 (9月 3.6%)
09:30 (豪) 10月 貿易収支 (9月 56.30億豪ドル、予想 58.00億豪ドル)
10:45 (中) 11月 財新サービス業PMI (10月 56.8、予想 56.4)
17:50 (仏) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 38.0、予想 38.0)
17:55 (独) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 46.2、予想 46.2)
18:00 (欧) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 41.3、予想 41.3)
18:30 (英) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 45.8、予想 45.8)

19:00 (欧) 10月 小売売上高 前月比 (9月 -2.0%、予想 0.5%)
19:00 (欧) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 2.2%、予想 2.6%)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 77.8万件、予想 76.8万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 607.1万人、予想 581.1万人)
23:45 (米) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 57.7、予想 57.6)
24:00 (米) 11月 ISM非製造業景況指数 (10月 56.6、予想 56.0)


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