ドル円、堅調な株式市場を横目に底堅い動き。米ダウ平均は3万ドルを突破
〇ドル円104.14まで下落後、株価の堅調、米長期金利上昇等で104.75まで反発
〇その後は米指標の不冴えで104円台半ばに下押し
〇ユーロドルIFO指数良好で一時1.1895まで上昇
〇ドル円テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズもドル円下落材料多い
〇本日の予想レンジ:104.00ー105.00
海外時間の為替概況
24日(火)の外国為替市場でドル円は下落後に反発。欧州時間朝方にかけて一時104.14まで下げ幅を広げるも、節目104.00をバックに下げ渋ると、@新型コロナワクチンに関する楽観ムード(欧州委員会のフォンデアライエン委員長は米モデルナ社と最大1億6000万回分の新型コロナワクチンに係る供給契約を締結すると発表。また、イタリアも英製薬大手アストラゼネカが開発したワクチンを2021年初めの数ヶ月間で1600万回接種する方針)や、A欧米株の底堅い動き(米ダウ平均株価は史上最高値を更新し心理的節目30000ドル越えを達成)、B米長期金利の上昇(ドル高)、Cトランプ米大統領による政権移行の手続き容認、D米9月FHFA住宅価格指数(結果+1.7%、予想+0.8%、1991年来で最大の伸び)の良好な結果、Eロンドンフィキシングに絡むドル買い圧力が支援材料となり、米国勢参入後に、約1週間ぶり高値となる104.75まで反発しました。
もっとも、同水準では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと、引けにかけて再び反落。F米11月消費者信頼感指数(結果96.1、予想98.0)及び、G米11月リッチモンド連銀製造業指数(結果15、予想21)の冴えない結果や、H良好な米7年債入札を受けた米長期金利の上げ幅縮小が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時45分現在)では、104.55近辺で推移しております。
24(火)のユーロドル相場は上昇後に伸び悩む展開。@新型コロナワクチン期待を背景としたリスク選好のドル売りや、Aドイツ11月IFO景況感指数(結果90.7、予想90.1)の良好な結果が支援材料となり、欧州時間午後にかけて高値1.1895まで上昇しました。しかし、前日高値1.1906をバックに伸び悩むと、B欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大や、CECBによる追加緩和観測、D当局者によるユーロ高牽制の思惑が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時45分現在)では、1.1875近辺まで押し返される動きとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、11/11に記録した高値105.68をトップに反落に転じると、11/18にかけて、一時103.64まで下落しました。この間、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(昨日は一時104.75まで上昇するも、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドが密集する104円台半ばのレジスタンスに2日連続で続伸を阻まれる展開)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地が残る米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(たとえ新型コロナワクチンの供給が開始されたとしても世界中に行き渡るまでには相当な時間を要するとの慎重な見方)、E日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数急拡大→本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、G米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク)、H米財政赤字の拡大懸念(米国債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる構造的な不安材料は引き続き沢山残っている状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、反落リスクが警戒されます。欧米株及び欧米長期金利の動向や、新型コロナウイルスの感染拡大状況、新型コロナワクチンに関するヘッドライン(ワクチンの供給量と供給時期)、米経済指標の結果(米10月耐久財受注、米第3四半期GDP改定値、米新規失業保険申請件数、米10月新築住宅販売件数、米11月ミシガン大消費者信頼感指数、米FOMC議事要旨など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(米感謝祭前のポジション調整リスクに要警戒)。
本日の予想レンジ:104.00ー105.00
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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