ドル円見通し 米景況感強気でドル高反応(20/11/24)

ドル買いが活発化したことで104円を超えると買い戻しの連鎖反応となり19日夜高値を超えて104.63円をつけた。

ドル円見通し 米景況感強気でドル高反応(20/11/24)

ドル円見通し 米景況感強気でドル高反応

〇ドル円、11/23夜104.63まで上昇11/24午前序盤も104.50を挟んだ展開
〇11月米製造業PMIが予想を超える改善となりNYダウが上昇、ドル買いが活発化
〇欧州PMIは前月を下回る結果だが米PMIは改善、欧米の景況感の差からユーロドル急落、ドル買い反応
〇ワクチン関連報道への反応、徐々に鈍っている印象
〇104.25を上回るか一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地あり、105円台序盤を目指すとみる
〇104円割れからは下げ再開と仮定して103円台中盤への下落を想定

【概況】

ドル円は11月9日の米ファイザー社ワクチン関連報道から急騰して11月11日高値で105.67円をつけたが、11月12日から19日までは6営業日連続の日足陰線で下落した。11月18日深夜安値の後は下げ渋りに入ったものの11月9日夜のファイザー社報道から急騰した上昇幅は解消した。19日夜には104円台へいったん乗せたものの維持できずに失速となり、週明けの23日は18日深夜安値割れを回避しつつ横ばい推移にとどまっていた。
しかし、23日夜のマークイットによる11月米製造業PMIが予想を超える改善となったことでNYダウが上昇するとともにドル買いが活発化したことで104円を超えると買い戻しの連鎖反応となり19日夜高値を超えて104.63円をつけた。24日午前序盤も104.50円を挟んでしっかりして戻り高値更新を伺う動きとなっている。

【欧米のPMIに差】

11月23日はマークイット系の11月PMI速報が発表され、夕刻に発表されたユーロ圏は製造業PMIが53.6で予想の53.3を上回ったものの10月の54.8からは悪化、同サービス業PMIは41.3で予想の42.0を下回り10月の46.9からも悪化した。発表当初の市場反応は鈍かったが、23日夜の米11月製造業PMIは56.7となり市場予想の53.0及び10月の53.4を上回り、サービス業PMIも57.7となり市場予想の55.0及び10月の56.9を上回った。米製造業PMIは2014年9月以来の高水準となったため、欧米の景況感の差から米PMI発表後はユーロドルが急落、ドル円が上昇するなどドル買い反応となった。
ドル円としては11月18日深夜安値の後は下げ渋り状況が続いていた中で一段安を見込んでいた弱気筋がドル高反応を見て買い戻しを急いだ結果、買いの連鎖反応で19日夜高値も超える勢いになったのだろうと思われる。

【ワクチン関連報道への反応は徐々に鈍くなっている】

英アストラゼネカ社が英オックスフォード大学と共同開発している新型コロナワクチンの後期臨床試験では平均有効率が70%とされ有効率は90%になる可能性があるとして早期の普及への期待が強まったが、米ファイザーと独ビオンテックのワクチンの有効率94%や米モデルナ社ワクチンの95%を下回ったとして同社株は売られている。
NYダウにとってはファイザー社とモデルナ社に続くワクチン開発進展による好材料と受け止められたが、ワクチン関連報道への直接的な反応は徐々に鈍っている印象だ。

11月23日のドル円上昇やNYダウの上昇もアストラゼネカ社報道によるものというよりも米PMI発表の影響が大きかった。ワクチンの承認普及にはまだまだ時間がかかり、足元の感染拡大は深刻さを増している。そうした状況の中でPMIという企業心理が市場予想よりも強かったことへの安堵感が米長期債利回りの反発もあってドル買いに向かわせたのだろうと思われる。
米10年債利回りは11月11日に0.97%台まで上昇してきたが、その後は失速して11月20日には0.81%台まで低下していた。23日は高値で0.86%台まで戻しており、先週までの米長期債利回り低下と同調したドル円の下落にはブレーキがかかった印象だ。

【およそ2か月半毎の戻り高値から失速した状況を覆せるか】

ドル円の日足チャートにおける底打ちサイクル・高値形成サイクルは概ね2か月から3か月周期で繰り返されている。3月コロナショック暴落以降の底打ちは、3月9日底から2か月目の5月6日安値、3か月目の7月31日安値でつけ、そこから3か月を経過した11月6日安値で底打ちしたと思われる。
一方で戻りの天井は3月24日高値から2か月半の6月5日高値、さらに2か月半の8月13日と8月28日の両高値をダブルトップとし、そこから3か月目となる11月11日高値で戻りの天井を付けた可能性が高いのではないかと思われる。
11月6日安値からの反騰は数えで4日、上昇幅2.50円だが、4月1日安値から4月6日まで同じく数え4日の反騰で上昇幅2.46円で戻り一巡となって失速し始めたところに近い動きと思われる。

11月12日から11月19日まで6日連続の日足陰線であり、この陰線6本でもまだ11月9日の大陽線の範囲にはあり、23日が反騰の陽線となったため、底割れ回避から持ち直しに入る可能性も出てきたところだが、6日連続陰線での下落感を解消するには日足陽線の連続で105円を超えてゆく必要があるだろう。
仮に11月6日安値を割り込む場合、2か月から3か月周期の底打ちサイクルにおける次の底形成期は1月序盤、ないし2月序盤という時期が想定されるので越年の円高ドル安で推移する可能性も考えられる。
3月コロナショックの暴落とV字反騰から、大きな流れは右肩下がりの下降チャンネルであり、11月11日への戻りも10月7日高値には届かずに失速しており下降チャンネルの範囲に収まっている。11月11日への戻り幅の倍返しなら下値計算値は100.67円となり3月暴落時の安値101.17円を割り込む計算となる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月19日夜高値を上抜く反騰となったため、11月18日深夜安値と23日夜安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期は19日夜高値を基準として24日夜から26日夜にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとみるが、戻りは短命の可能性もあるので104円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先し、23日夜安値割れからは26日夜から30日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では23日夜の急騰で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは下げ再開を疑い、先行スパン転落からは一段安へ向かいやすくなると考える。
60分足の相対力指数は23日夜の急騰で80ポイント台中盤へ上昇したが、その後はやや頭打ちとなっている。相場がさらに高値を更新する中で指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合や、50ポイントを割り込むような下げが発生する場合は戻り一巡による下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、104.25円を下値支持線、105.00円を上値抵抗線とする。
(2)104.25円を上回るか一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとして105円台序盤を目指すとみる。105円到達ではいったん売られやすいとみるが、104.25円以上での推移なら25日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)104.25円割れから続落に入る場合は下げ再開を警戒し、104円割れからは下げ再開と仮定して103円台中盤への下落を想定する。103.50円以下は反騰注意とするが、104円を割り込んだ後も104.25円以下の推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11/24(火)
中国の王毅国務委員兼外相が来日
11:30 デベル豪中銀副総裁、講演
16:00 (独) 7-9月期 GDP改定値 前期比 (速報 8.2%、予想 8.2%)
16:00 (独) 7-9月期 GDP改定値・季調済 前年同期比 (速報 -4.3%、予想 -4.3%)
16:00 (独) 7-9月期 GDP改定値・季調前 前年同期比 (速報 -4.1%、予想 -4.1%)
18:00 (独) 11月 IFO企業景況感指数 (10月 92.7、予想 90.3)
21:05 (日) 黒田東彦日銀総裁、IMF・東京大学共催コンファレンスで講演

22:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
22:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
23:00 (米) 9月 連邦住宅金融庁(FHFA)住宅価格指数 前月比 (8月 1.5%、予想 0.9%)
23:00 (米) 7-9月期 連邦住宅金融庁(FHFA)住宅価格指数 前期比 (4-6月 0.8%)
23:00 (米) 9月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (8月 5.2%、予想 5.0%)
23:00 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
24:00 (米) 11月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (10月 100.9、予想 97.9)
24:00 (米) 11月 リッチモンド連銀製造業指数 (10月 29、予想 23)
25:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
26:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、WSJ主催討論会

11/25(水)
08:50 (日) 10月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (9月 1.3%、予想 -0.6%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 33.1%、予想 33.1%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 40.7%、予想 41.2%)
22:30 (米) 7-9月期 コアPCE改定値 前期比年率 (速報 3.5%、予想 3.5%)
22:30 (米) 10月 耐久財受注 前月比 (9月 1.9%、予想 0.9%)
22:30 (米) 10月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (9月 0.8%、予想 0.4%)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 74.2万件、予想 73.0万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 637.2万人、予想 599.3万人)

24:00 (米) 10月 個人所得 前月比 (9月 0.9%、予想 0.0%)
24:00 (米) 10月 個人消費支出(PCE) 前月比 (9月 1.4%、予想 0.3%)
24:00 (米) 10月 PCEデフレーター 前年同月比 (9月 1.4%、予想 1.2%)
24:00 (米) 10月 PCEコア・デフレーター 前月比 (9月 0.2%、予想 0.0%)
24:00 (米) 10月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (9月 1.5%、予想 1.4%)
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 77.0、予想 77.0)
24:00 (米) 10月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (9月 95.9万件、予想 97.5万件)
24:00 (米) 10月 新築住宅販売件数 前月比 (9月 -3.5%、予想 1.7%)


注:ポイント要約は編集部

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