ドル円見通し 105円割れ回避からのジリ高継続だが上値も重く膠着状態が長引くケースか(20/10/20)

16日早朝高値105.49円から19日午前には105.50円へわずかに高値を切り上げ、安値も16日昼安値105.19円から19日夜の小反落時の安値105.30円へと底上げしてきている。

ドル円見通し 105円割れ回避からのジリ高継続だが上値も重く膠着状態が長引くケースか(20/10/20)

105円割れ回避からのジリ高継続だが上値も重く膠着状態が長引くケースか

〇ドル円、10/19わずかに高値を切り上げ安値も底上げしたが、値動き幅は0.20円にとどまる
〇NYダウ410.89ドル安と大幅下落、ナスダックは192.68ポイント安で5日連続の下落
〇米国追加経済対策の与野党協議難航、先行き見えず
〇ドル円、わずかに底上げしつつも上値の重い状況、2週間程度の膠着状態に入ったか
〇105.20以上での推移中は105.50超えから105.60台、さらに105.70台序盤への上昇余地ありとみる
〇105.19割れからはいったん下落期に入るとみて、105.03円試しを想定する

【概況】

ドル円は10月15日朝に105.03円まで下げたものの105円割れをひとまず回避して持ち直しに入った。16日早朝高値105.49円から19日午前には105.50円へわずかに高値を切り上げ、安値も16日昼安値105.19円から19日夜の小反落時の安値105.30円へと底上げしてきている。しかし19日の値動き幅はわずか0.20円に過ぎない。
19日午後からは英国とEUのFTA交渉の継続期待が強まった局面でポンド/ドルが急伸し、つれてユーロドル等も上昇してドル安感が強まったことでドル円もやや押されたが、下げは限定的なものにとどまり、その後はNYダウが上昇開始となったことでやや持ち直し、深夜以降はポンド/ドルが交渉難航との見方が再浮上して失速したことでドル高感が再び強まったためにやや上昇気配での推移となった。

【追加経済対策の与野党協議難航、米株価は下落基調】

19日のNYダウは前日比410.89ドル安と大幅下落となった。当初は与野党協議進展期待で上昇したものの終盤は失望に変わった。米野党のペロシ下院議長は与野党協議の合意期限を10月20日とし、米大統領選挙前の合意への楽観的な見通しを示したのだが、その後は与党とのへだたりが依然として大きいと述べ、合意を急ぐ姿勢が感じられないとして株安要因となった。民主党の反対で経済対策ができないとネガティブキャンペーンを張られることのリスクと、追加経済対策合意の成果をトランプ陣営が自身の勝利として宣伝することのマイナス効果もあるため、野党陣営としても難しい判断を迫られる。このまま大枠合意程度で後は選挙で勝利した方が実施するような展開になるのではないかと思われる。

米ナスダック総合株価指数は前日比192.68ポイント安で13日から5日連続の下落となり、9月2日高値と10月12日の戻り高値によるダブル天井感も出ている。ダウも3日続落後の16日に小反発したものの19日の失速でダブルトップ型の印象が強まりつつある。株安が進むようだとリスク回避的なドルの買い戻しによるドルストレートでのドル高、一方では株安を嫌ったクロス円でのリスク回避的な円高がかち合う展開となる。

【2週間程度の膠着状態入りか】

ドル円は10月15日に105.03円まで下げたものの105円割れを回避してその後はやや持ち直し気味だが、日々の値動き幅は小さく、わずかに底上げしつつも上値の重い膠着状態に入っている。
騰落が一服した後、方向感が定まらず、ドルストレートでのドルの強弱感とクロス円での円の強弱感が相殺的なバランスとなると板挟み状態が発生する。最近の事例では、8月28日に反落した翌日から10日間の膠着状態となり9月14日に下落再開に入ったところ、7月1日からの下げ一服で7月10日から7月23日までの10日間の膠着状態に入り7月24日に一段安した。5月19日高値から上げ一服となり6月1日まで10日間の膠着状態に入ってから6月5日高値へ一段高したところなどで見られる。

現状も米大統領選挙情勢、米国の追加経済対策を巡る与野党協議難航、英国とEUのFTAを巡る交渉の先行き懸念、欧米の感染拡大とワクチン開発状況等の懸案を抱えつつ、いずれも楽観と悲観が交錯して決め手に欠きながら日々の騰落を繰り返しているため、ドル円としてはリスクオン的な円安へ一挙に進むのかリスクオフ的な円高感が強まるのかどうか、決め手に欠いた状況といえる。
ただ、10月8日朝への上昇では戻り高値が切り下がった状態から下落に入ったところでもあるので、横ばい程度の推移が続く場合は下降トレンドの休止による膠着状態としてせいぜい2週間程度とすればもう1週程度、その後に9月後半の様に下放れ=円高へ向かう可能性も警戒しておくところか。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月14日夜の下落で13日朝安値を割り込む一段安となったために15日朝時点では13日夜の戻り高値を直近のサイクルトップとした新たな弱気サイクル入りとしたが、15日朝安値からのジリ高基調が続いているため、15日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は13日夜高値を基準として16日夜から20日夜にかけての間と想定してすでに反落注意期とするが、15日朝安値を中心に小規模の逆三尊型も見られるので16日朝高値を基準としてトップ形成期が21日朝から23日朝にかけての間へ延長される可能性もあるとみる。弱気転換は16日昼安値105.19円割れからとし、その場合は20日の日中から22日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では遅行スパンが実線を上回り先行スパンも上抜いた状況で推移しているが、いずれも実線との乖離は小さいために悪化しやすい状況にある。このため先行スパンからの転落回避中は上昇余地ありとするが、先行スパンから転落の場合はいったん下落に入る可能性があるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は50ポイント台中心での横ばいに留まっている。50ポイントを割り込んでも早々に切り返すうちは上昇継続性ありとするが勢いは鈍いため、上昇が勢い付くには65ポイントを超える必要があると思われる。40ポイント割れからはいったん下落期に入るとみて30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月16日昼安値105.19円を下値支持線、16日午前高値105.50円を上値抵抗線とする。
(2)105.20円以上での推移中は105.50円超えから105.60円台、さらに105.70円台序盤への上昇余地ありとみるが、105.60円以上は反落注意圏とみてその後に105.30円割れするところからは下げ再開に入るとみる。
(3)105.19円割れからはいったん下落期に入るとみて15日朝安値105.03円試しを想定するが、急激に円高を進める材料に欠く場合は105円前後では押し目買いされやすいとみる。

【当面の主な予定】

10/20(火)
09:30 (豪) 豪準備銀行、金融政策会合議事要旨公表
15:00 (独) 9月 生産者物価指数 前月比 (8月 0.0%、予想 -0.1%)
17:00 (欧) 8月 経常収支・季調済 (7月 166億ユーロ)
17:00 (欧) 8月 経常収支・季調前 (7月 255億ユーロ)
21:30 (米) 9月 住宅着工件数・年率換算件数 (8月 141.6万件、予想 145.7万件)
21:30 (米) 9月 住宅着工件数 前月比 (8月 -5.1%、予想 2.9%)
21:30 (米) 9月 建設許可件数・年率換算件数 (8月 147.0万件、予想 150.0万件)
21:30 (米) 9月 建設許可件数 前月比 (8月 -0.9%、予想 1.6%)
22:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
26:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演

10/21(水)
15:00 (英) 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 -0.4%、予想 0.4%)
15:00 (英) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 0.2%、予想 0.6%)
15:00 (英) 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 0.9%、予想 1.3%)
15:00 (英) 9月 生産者物価コア指数 前年同月比 (8月 0.0%、予想 0.1%)
23:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)


注:ポイント要約は編集部

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