ドル円、105円台半ばへ急伸。リスクオフでドル指数は約2ヵ月ぶり高値圏
〇ドル円リスク回避のドル買い需要から一時105.49まで急伸
〇ユーロドルは1.1652まで急落
〇テクニカル的に「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状
〇ファンダメンタルズはドル、円双方買いで、クロス円経由で円買い強まる可能性も
〇本日の予想レンジ:104.75ー105.75
海外時間の為替概況
23日(水)の外国為替市場でドル円は急伸。@新型コロナウイルスの感染再拡大や、A米中対立先鋭化リスク、B英合意無き離脱リスクの高まり、C米主要株価指数の急落、D上記@からCを嫌気したリスク回避(資産現金化需要)のドル買い圧力(ドル指数は7/27以来、約2ヵ月ぶり高値圏へ上昇)、D米経済指標の良好な結果(米7月FHFA住宅価格指数など)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、一時105.49まで急伸しました。もっとも、一目均衡表基準線をバックに伸び悩むと、引けにかけて伸び悩む展開に。本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、105.42近辺で推移しております。
23日(水)のユーロドル相場は急落。@対主要通貨で加速する資産現金化需要のドル買い圧力(ドル全面高)や、AECB当局者による相次ぐユーロ高牽制発言、BECBによる根強い追加緩和観測、C欧州圏における新型コロナウイルス感染再拡大懸念(ロックダウン懸念)、D良好な米経済指標の結果が重石となり、米国時間午後にかけて、7/27以来、約2ヵ月ぶり安値となる1.1652まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、1.1659近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、8/28に記録した高値106.96をトップに反落に転じると、週明け9/21には一時104.00(約半年ぶり安値)まで急落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や、強い下落トレンド入りを示唆する弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(足元反発に転じるも105円台半ばでは戻り売りが根強い状態)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(日本側はアベノミクス→スガノミクスへのスムーズな移行に際してある程度の不確実性が残る一方、米国側は2023年までのゼロ金利政策の継続を示唆)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立先鋭化リスク、C米政治の先行き不透明感(11/3に予定されている米大統領選への警戒感)、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染再拡大リスク(欧米を中心に第2波への警戒感が再燃)、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株式相場の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しに警戒)、H英合意無き離脱リスクの再燃など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です(リスク回避局面ではドル買いと円買いが同時に起きることから、対ストレート通貨の下落→クロス円下落→ドル円連れ安の波及経路に警戒)。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも戻り売り優勢の展開が見込まれます。欧米株の動向(株安→リスク回避の円買いへの波及経路)や、米中対立及び英国情勢に関するヘッドライン、米主要経済指標の結果(米新規失業保険申請件数や、米8月新築住宅販売件数、パウエル議長発言など)、新型コロナ第2波に関する続報、商品市況の動向(ドル全面高を商品市況が値崩れ)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(資産現金化需要のドル買い→商品市況急落→資源国通貨下落→クロス円下落→ドル円連れ安のシナリオを想定)
本日の予想レンジ:104.75ー105.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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