ドル下値トライ仕切り直し、ポンドに要注意
〇ドル円104円台半ばの動き
〇ドル円依然として円高方向にバイアスがかかるものの、104円割れ失敗で目先は仕切り直しか
〇ジョンソン英首相が実施すると発表した新型コロナに関する声明を注視
〇ドル円予想レンジは104.10-105.10
<< 東京市場の動き >>
22日の東京市場は、「行って来い」。一時円は全面高に推移し、ドル/円も下値を試す展開となったが、結局不発に終わっている。
ドル/円は104.65円前後でオープンしたのち、しばらくは揉み合い。東京休場も響き、積極的な売買は見送られていた。
104.60-75円といったレンジをたどるも、途中で底割れすると、日中安値である104.45円近くまで一時下落。しかし、下値を攻めきれず反発に転じると結果「行って来い」に。16時現在では104.55-60円で推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「TikTokをめぐる動き」と「幾つかの米国情勢」について。
前者は、TikTokをめぐる動きは、状況が二転三転し、様相はさらに混とんとしてきた。先週末には、トランプ米大統領から「オラクルの提携案を概念の面で承認した」と前向きな発言が聞かれていたものの、そののちTikTokの親会社である中国バイトダンスが「米国を含む国際事業を担う新会社の経営支配権は引き続きバイトダンスにある」とした声明を発表したことが癇に障ったのか、一転して「TikTok米経営権放棄しなければ合意はない」などとし、承認撤回を示唆するコメントを発している。再び暗雲が垂れ込めてきた感も否めない。
対して後者は、先のTikTok以外でも米国に関する幾つかのニュースなどが話題に。そのひとつはイラン情勢をめぐる動きで、21日から開始されたIAEA年次総会において、米国とイランによる激しい非難の応酬が観測されるなか、トランプ氏は当初の予定通り、「対イラン制裁」大統領令に署名したことを明らかにしている。そのほかバイデン氏らが「早期の承認人事」を反対している米最高裁判事候補について、早ければ25日にも発表すると述べていた。ちなみに、ブルームバーグによると、「トランプ氏は候補をバレット氏に絞り込んだ」という。
<< 欧米市場の見通し >>
先の週末に日豪そして日米の電話首脳会談を行い、無難な外交デビューを飾った菅新首相だが、対アジア、とくに中韓に対してのやりとりは一部で懸念されていた。しかし、韓国大統領については昨日、「未来志向的な関係に期待」などとした返信をしたとされるほか、FNNによると「中国の習国家主席とは25日に電話会談実施で調整中」だという。主だった先との儀礼的なやりとりが一巡すれば、「早期解散懸念」はその後もくすぶりそうだが、「日本の政局」問題は取り敢えず一服することになりそうだ。
材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルスとワクチン開発」、「米大統領選」、「菅新首相誕生と日本の政局」、「ベラルーシ情勢」、「毒殺未遂事件を中心としたロシア情勢」など注目要因は依然として目白押し。そんななかドル/円は、依然として基本的なリスクは下向き、円高方向にバイアスがかかるものの、104円割れが失敗に終わったことで、目先は仕切り直しか。価格ではなく、104-105円を中心とした時間的な調整局面入りする可能性も取り沙汰されている。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は昨日一時104円ちょうどまで値を下げ、3月12日以来の安値をつけるも、意外に値は走らず。フィボナッチによるテクニカルポイントの103.65-70円には結局とどかなかった。
それもあり、足もとでは調整ともいえるドル買い・円売りの動きがやや優勢に。時間足など短期的な抵抗である104.85円レベルを超えれば、105円台回復も否定出来ない。
一方、材料的に見た場合、8月の中古住宅販売件数や9月のリッチモンド連銀製造業指数といった米経済指標が発表される予定となっている。昨日発表された8月のシカゴ連銀全米活動指数が予想外の悪化となったことで、本日の指標についても警戒感を抱く向きは少なくないようだ。
また、米国ファクターではないが、本日にジョンソン英首相が実施すると発表した「新型コロナに関する声明」を注視する声も多い。ポンドの動きにも注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは104.10-105.10円。短期のテクニカルポイントにあたる104.85円レベルが最初の抵抗で、上抜ければ105円台回復が現実的なメドとして意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、本日の東京安値である104.45円レベルの攻防にまずは注目。下回ると昨日記録した104円ちょうどが再び視界内に。(了)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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