ドル円、資産現金化需要の高まりを受けて105円台を回復。ドル全面高の様相
〇ドル円 米指標改善や米経済へ楽観的見通しから105円近辺まで反発
〇ユーロドルは上記ドル買いにより一時1.1693まで下値広げる
〇ドル円テクニカル、ファンダメンタルズともに下落リスク警戒される
〇資産現金化需要のドル買い→クロス円下落→ドル円連れ安のシナリオを想定
〇本日の予想レンジ:104.40ー105.30 (予想レンジ要約修正)
海外時間の為替概況
22日(火)の外国為替市場でドル円は上昇。@米中対立激化を嫌気したリスク回避の円買いや、A新型コロナウイルスの感染再拡大懸念、B本邦祝日中の隙を突いたフラッシュクラッシュへの警戒感が重石となり、米国時間朝方には、一時104.41まで下げ幅を広げました。しかし、前日安値104.00をバックに押し目買い圧力が強まると、C米主要経済指標(米9月リッチモンド連銀製造業指数や米8月中古住宅販売件数)の良好な結果や、Dシカゴ連銀エバンス総裁による「インフレ平均2%目標達成前の利上げも可能」との発言、EパウエルFRB議長による「米国経済はコロナ禍が引き起こしたリセッションから著しい回復を示している」との発言が支援材料となり、米国時間午後にかけては、一時105.07まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、104.97近辺で推移しております。
22日(火)のユーロドル相場は続落。@ラガルドECB総裁による前日のユーロ高牽制発言や、AECBによる根強い追加緩和観測(パネッタECB理事による「積極的な対応のリスクは消極的な対応のリスクよりも小さい」との発言)、B欧州圏における新型コロナウイルス感染者数の再拡大、Cグローバルに広がるリスク回避ムード(対主要通貨でのドル買い圧力)、D米主要経済指標(米9月リッチモンド連銀製造業指数や米8月中古住宅販売件数)の良好な結果、Eシカゴ連銀エバンス総裁による「インフレ平均2%目標達成前の利上げも可能」との発言、FパウエルFRB議長による「米国経済はコロナ禍が引き起こしたリセッションから著しい回復を示している」との発言が重石となり、米国時間には一時、7/27以来となる安値1.1693まで下落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1707近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、8/28に記録した高値106.96をトップに反落に転じると、週明け9/21には約半年ぶり安値となる104.00まで急落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や、強い下落トレンド入りを示唆する弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(足元反発に転じるも105円近辺では戻り売り圧力が根強い状態)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(日本側はアベノミクス→スガノミクスへのスムーズな移行に際してある程度の不確実性が残る一方、米国側は2023年までのゼロ金利政策の継続を示唆)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立先鋭化リスク(環境時報の編集者がTikTokに関する米国側の強硬姿勢を批判するツイートを発信)、C米政治の先行き不透明感(11/3に予定されている米大統領選への警戒感)、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染再拡大リスク(欧米を中心に第2波への警戒感が再燃)、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株式相場の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しに警戒)、H英合意無き離脱リスクの再燃など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも下落リスクが警戒されます。欧米株の動向(株安→リスク回避の円買いへの波及経路)や、米中対立及び英国情勢に関するヘッドライン、欧米の主要経済指標(ユーロ圏やドイツ、英国の9月製造業及び非製造業PMI速報値、米MBA週間ローン申請件数など)、祝日明けの本邦勢による円高牽制(円高牽制発言が出るか否か)、欧米を中心に広がりを見せる新型コロナ第2波に関する続報を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(資産現金化需要のドル買い→クロス円下落→ドル円連れ安のシナリオを想定)
本日の予想レンジ:104.40ー105.30
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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