ドル円見通し FOMC後のドル高続かず7月31日以来の安値に迫る
〇ドル円、9/17夜104.46まで下落、7/31安値104.17に迫ったが底割れ回避、その後は104.50以上を維持
〇昨日発表の米経済指標、雇用関係は好数字だがその他は悪化、好悪マチマチの結果
〇英中銀、マイナス金利導入に言及、英ポンド一時急落したものの持ち直す
〇日銀金融政策決定会合、政策金利は現状維持、景気判断をやや上方修正し円高基調継続
〇105.17を下回るうちはもう一段安値余地あり、104.46割れから104円前後への下落を想定
〇105.17超えからはいったん強気サイクル入り、105.50前後への上昇を想定、105.50以上は反落警戒
【概況】
ドル円は9月17日夜安値で104.46円まで下落して7月31日安値104.17円に迫った。底割れは回避してその後は104.50円以上を維持しているものの9月14日夜に106円台序盤の持ち合いから転落して円高が加速した流れを継続している印象だ。
9月17日未明の米連邦公公開市場委員会(FOMC)では政策金利を現状維持とした上で、8月27日のパウエル議長によるジャクソンホール講演で示された「物価上昇率が2%を超えても長期間のゼロ金利を維持する」という方針を正式に示した。またメンバーによる金利見通しでは2023年末時点でもゼロ金利となっており、ゼロ金利が解除されるのは2024年以降とされた。しかし資産購入プログラムにおける量的緩和規模は現状維持とされて積極的な拡大姿勢は見られなかった。議長会見でもゼロ金利の長期化が有効との姿勢が強調されたため、為替市場としてはドル安をさらに助長する内容ではないとしてドル高反応となった。
【米経済指標はマチマチ】
米労働省が発表した9月12日までの週間新規失業保険申請は季節調整済で86万件となり前週比3万3000件減少したものの市場予想の85万件を上回った。失業保険受給者総数は9月5日までの1週間で1262万8000人となり前週比で91万6000人減少して市場予想の1300万人を下回ったが、依然として1千万人を超える規模となっている。
米フィラデルフィア連銀が発表した9月製造業景況指数は15.0で市場予想と一致したが8月の17.2からは低下した。
米商務省が発表した8月住宅着工件数は年換算で141万6000戸となり前月からは5.1%減少して4か月振りのマイナスだった。市場予想の147万8000戸も下回った。また先行指標である住宅着工許可件数も147万戸で前月比0.9%減少、市場予想の152万戸を下回った。
【ユーロドルはFOMC後の下落を解消、ポンドの持ち直しも続き、円高基調も継続】
ユーロドルは16日夜高値1.1882ドルからFOMC直後に1.1788ドルへ下落、さらに17日昼へのドル安継続により1.1738ドルまで一段安となった。豪ドル米ドルも16日深夜高値0.73443ドルから17日夕刻には0.72536ドルまで下落した。9月11日以降はジリ高で戻していた英ポンドも16日深夜高値1.30065ドルから17日夜安値1.28645ドルまで下落した。
総じてドル高が進行する中でドル円はFOMC前の安値104.80円から17日午前高値105.17円までやや戻したものの、日銀金融政策が現状維持となり黒田総裁会見でも円安を助長する内容無しとして円高基調を続け、17日夜には米経済指標や英中銀がマイナス金利導入に言及したこと等で104.52円まで続落する展開となった。
英イングランド銀行(英中銀)は9月17日のMPC=金融政策決定会合で政策金利や資産購入プログラム規模を現状維持としたが、「どうすればマイナス金利を効果的に実行することが可能か調べていく」としてマイナス金利導入に言及した。ペイリー英中銀総裁は5月時点でマイナス金利に言及していたため強力なサプライズではなかったため、発表後に英ポンドは一時急落したがその後はユーロドル等でのドル安が継続したことに支えられて持ち直している。
日銀は9月17日昼の金融政策決定会合では政策金利等を現状維持とした。景気判断をやや上方修正したことで円安を助長する内容はないとして円高基調は継続した。
ドル円における円高ドル安基調の継続と、FOMC後の急落反応をやや行き過ぎとしてユーロドルが戻しに入ったことでドル高再燃感はひとまず落ち着いたがFOMCがドル全面安を加速させるものにはならなかった。また9月17日のNYダウが前日比130.40ドル安と下落、ナスダックも140.19ドル安と下落しており、9月序盤からの株式市場の変調も警戒されるところであり、株安がさらに進んで為替市場のリスク回避感が強まるとドルストレートでのドル買い戻しによるドル高へ向かい、クロス円ではリスク回避の円高が進み、ドル円においても円高が勝る展開へ進みやすくなると注意したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月3日夜と4日夜の両高値をダブルトップとして下落期に入り、9月9日夕刻安値でいったんサイクルボトムを付けて戻しに入ったが、9月14日夜の一段安により新たな弱気サイクル入りとなった。ボトム形成期は14日夕から16日夕にかけての間と想定した。
9月17日夜へ続落したため、直近のサイクルボトムを14日深夜安値としてすでに底割れから新たな弱気サイクルに入っていると仮定する。新たなボトム形成期は17日夜から21日夜にかけての間と想定されるので、17日午前の戻り高値を上抜き返す場合は17日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして18日夕から22日夕にかけての間への上昇を想定するが、強気転換できないうちはもう一段安へ進みやすいと注意する。
60分足の一目均衡表では9月14日夜への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したがその後も両スパンそろっての悪化が続いているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。また先行スパンを上抜き返せないうちは下落基調が続きやすいとみて遅行スパンが下げ渋りにより一時的に好転しても再び悪化するところからは下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は9月14日深夜安値から15日夜安値、16日夜安値、17日夜安値へと安値更新が続く中で指数のボトムはほぼフラットな水準が続いている。強気逆行気配ともいえるが50ポイントを超えられない状況が続いているのでまだ一段安余地ありとし、50ポイント超えからはいったん戻しに入ると考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月17日夜安値104.52円を下値支持線、9月17日午前高値105.17円を上値抵抗線とする。
(2)105.17円を下回るうちはもう一段安余地ありとし、17日夜安値割れからは104円前後への下落を想定する。104.00円以下は反騰注意とするが、円高がさらに加速するようだと103円台後半へ向かう可能性もあるとみる。また105円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)105.17円超えからはいったん強気サイクル入りとみて105.50円前後への上昇を想定する。105.50円以上は反落警戒とみるが、105円台を維持しての推移なら週明けも戻りを試しやすいとみる。
【当面の主な予定】
9/18(金)
15:00 (独) 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 0.2%、予想 0.1%)
15:00 (英) 8月 小売売上高 前月比 (7月 3.6%、予想 0.7%)
15:00 (英) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 1.4%、予想 3.0%)
15:00 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前月比 (7月 2.0%、予想 0.4%)
15:00 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (7月 3.1%、予想 4.2%)
17:00 (欧) 7月 経常収支・季調済 (6月 207億ユーロ)
17:00 (欧) 7月 経常収支・季調前 (6月 173億ユーロ)
21:30 (米) 4-6月期経常収支 (1-3月 -1042億ドル、予想 -1579億ドル)
23:00 (米) 8月 景気先行指数 前月比 (7月 1.4%、予想 1.3%)
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報 (8月 74.1、予想 75.0)
23:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、ヴァーチャル討論会
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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