ドル円、下値余地を探る展開。直近安値更新も射程圏内に
〇ドル円 米主要株価指数下落、指標不冴えで一時104.53まで下落
〇ユーロドルECB当局者の緩和ユーロ高牽制発言に1.1737まで下落後米指標不冴え等で1.18台に値を戻す
〇目先は7/31安値104.18を意識する展開
〇本邦8月消費者物価指数、米8月景気先行指数、米9月ミシガン大消費者信頼感指数など注視
〇本日の予想レンジ:104.20ー105.00
海外時間の為替概況
17日(木)の外国為替市場でドル円は続落。@注目された米FOMC(連邦公開市場委員会)にてゼロ金利政策の長期化方針が示されたこと(FOMCメンバー17名の内13名が「2023年末までのゼロ金利政策維持」を示した→米緩和長期観測→米ドル売り)や、A日銀金融政策決定会合及び黒田日銀総裁会見にてサプライズが見られなかったこと(事前予想通り、アベノミクスの継続方針を掲げる菅首相との連携が示されたのみ→材料出尽くし→円買い)、B英ポンドの急落(英ポンド円下落→ドル円連れ安)、C米主要株価指数の下落(リスク回避の円買い)、D米経済指標(米8月住宅着工件数、米8月建設許可件数、米新規失業保険申請件数など)の冴えない結果、E米長期金利の低下が重石となり、米国時間には、一時7/31以来となる安値104.53まで下落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、104.72近辺で推移しております。
17日(木)のユーロドル相場は下落後に急反発。@欧州当局者による前日の追加緩和を示唆する発言(バイトマン独連銀総裁やデコス・スペイン中銀総裁)や、AECB当局者による相次ぐユーロ高牽制発言、B英合意無き離脱リスクを巡る先行き不透明感が重石となり、アジア時間には、一時8/12以来となる安値1.1737まで急落しました。しかし、ボリンジャーバンド下限に続落を阻まれると、C冴えない米経済指標を受けたドル売り圧力や、D米長期金利の低下、E上記Bの逆流(欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長による「英国とEUは引き続き通商合意が可能」との発言→英合意無き離脱リスク後退→英ポンド急反発→ユーロ急反発)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1843近辺まで値を戻す動きとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、8/28に記録した高値106.96をトップに反落に転じると、昨日は一時104.53まで下落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や、強い下落トレンド入りを示唆する弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております。目先は、7/31に記録した安値104.18を意識する展開が想定されます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(日本側はアベノミクス→スガノミクスへのスムーズな移行に際してある程度の不確実性が残る一方、米国側は2023年までのゼロ金利政策の継続を示唆)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立先鋭化リスク、C米政治の先行き不透明感(11/3の米大統領選)、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染再拡大リスク、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株式相場の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しに警戒)、H英合意無き離脱リスクなど、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも下落リスクが警戒されます。欧米株の動向(軟調推移が継続すればリスク回避の円買いに波及する恐れあり)や、米中対立及び英国情勢に関するヘッドライン、日米の主要経済指標の結果(本邦8月消費者物価指数、米8月景気先行指数、米9月ミシガン大消費者信頼感指数など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(本日発表される本邦の消費者物価指数が冴えない結果を示した場合、デフレ懸念再燃→円の実質金利上昇→円高の波及経路でドル円が押し下げられる可能性があり、注意が必要)。
本日の予想レンジ:104.20ー105.00
注:ポイント要約は編集部
ビットコイン円日足
オーダー/ポジション状況
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