ドル円、ハト派なFOMCを受けて節目105円を割り込む。本日は黒田総裁会見に注目
〇ドル円FOMCのハト派姿勢等に104.81まで円高進行するも、踏み込んだ内容はなく105円近辺まで戻す
〇ユーロドルは追加緩和期待に1.17台に下落
〇ドル円テクニカルには地合い弱く7/31安値104.18を意識する展開予想ファンダメンタルズも弱い
〇政権交代後初の日銀政策決定会合、総裁記者会見に注目
〇本日の予想レンジ:104.50ー105.50
海外時間の為替概況
16日(水)の外国為替市場でドル円は続落。@米8月小売売上高(結果0.6%、予想1.0%)が冴えない結果となったことや、A注目された米FOMC(連邦公開市場委員会)にてフェデラルファンド金利の誘導目標が0.00%ー0.25%に据え置かれたこと、BFOMCメンバー17名の内13名が「2023年末までゼロ金利政策を維持」する見通しが示されたこと、C上記Bがややハト派寄りと受け止められたこと(株高→ドル売り)等が重石となり、米国時間には、一時7/31以来となる安値104.81まで下げ幅を広げました。しかし、Dその後のパウエルFRB議長会見にてイールドカーブ・コントロールやマイナス金利の深堀について踏み込んだ発言が見られなかったこと等が材料視されると、引けにかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、105.02近辺で推移しております。
16日(水)のユーロドル相場は続落。@バイトマン独連銀総裁が「ECBによる債券買い入れ」を擁護する発言を行った他、Aデコス・スペイン中銀総裁も「必要に応じて追加緩和の余地がある」と発言したこと、B上記@Aを受けたECBによる追加緩和期待(ユーロ売り)、CECB当局者によるユーロ高牽制への思惑、D英合意無き離脱リスクを巡る先行き不透明感が重石となり、米国時間には、約1週間ぶり安値となる1.1788まで下落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1797近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、8/28に記録した高値106.96をトップに反落に転じると、昨日は一時104.81まで下落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や、強い下落トレンド入りを示唆する弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております。目先は、7/31に記録した安値104.18を意識する展開が想定されます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(日本側はアベノミクス→スガノミクスへのスムーズな移行に際してある程度の不確実性が残る一方、米国側は2023年までのゼロ金利継続を示唆)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(昨日発表された米8月小売売上高は冴えない結果)、B米中対立先鋭化リスク、C米政治の先行き不透明感(11/3の米大統領選)、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染再拡大リスク、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株式相場の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しに警戒)、H英合意無き離脱リスク(英ポンド下落→英ポンド円下落→ドル円連れ安)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも下落リスクが警戒されます。欧米株の動向や、米中対立及び英国情勢に関するヘッドライン、日米の主要経済指標の結果(日銀金融政策決定会合や黒田総裁会見、米8月住宅着工件数、米9月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、米新規失業保険申請件数など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は菅首相誕生後初となる日銀金融政策決定会合となり、特に黒田総裁が記者会見にて「アベノミクス→スガノミクスへの継続性」についてどのような見解を示すかに注目が集まっております(黒田総裁がアベノミクスの継続性を強調しても尚、円売りでの反応が見られない場合、失望感からドル円が一段と下落する恐れがあり注意が必要です)。
本日の予想レンジ:104.50ー105.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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