ドル円、菅義偉官房長官の出馬の意向を受けて反発するも戻りは鈍い(9/1朝)

31日(月)の外国為替市場でドル円は上昇後に伸び悩む展開。

ドル円、菅義偉官房長官の出馬の意向を受けて反発するも戻りは鈍い(9/1朝)

ドル円、菅義偉官房長官の出馬の意向を受けて反発するも戻りは鈍い

〇ドル円菅官房長官が立候補するとの報道で106.10まで上昇するも、ドル売り強く105円台後半に反落
〇ユーロドル、パウエルFRB議長講演後のドル売りの流れ継続し一時1.1964まで上昇後、伸び悩む
〇ドル円テクニカルには上値の重い印象、ファンダメンタルズもドル売り要因多い
〇米中豪の主要経済指標、ポスト安倍の動き等注視
〇ISM製造業景況指数が不冴の場合、ドル売り加速の恐れも
〇本日の予想レンジ:105.20ー106.20

海外時間の為替概況

31日(月)の外国為替市場でドル円は上昇後に伸び悩む展開。先週末金曜日は安倍首相の辞意表明サプライズ(本邦の政局不透明感→アベノミクス終了の思惑→株安・円高)を受けた失望売りを背景に、一時105.19まで値を崩しましたが、週明け月曜日は、@株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り)や、A菅官房長官が立候補するとの一部報道(安倍首相の後任に菅官房長官が選ばれた場合、アベノミクス継続を通じて、政治空白を避けられるとの期待感)、B上記Aを受けた俄か円ロングの巻き戻しが支援材料となり、米国時間朝方には、一時106.10まで急伸する場面も見られました。もっとも、C月末ロンドンフィキシングに絡むドル売りが重石となると、米国時間午後にかけては再び反落。本稿執筆時点(日本時間4時20分現在)では、105.86近辺まで押し戻される展開となっております。

31日(月)のユーロドル相場は堅調な展開。@ジャクソンホール(パウエルFRB議長講演)後のドル売りの流れや、A欧米株の堅調推移(リスク選好のドル売り)、BシュナーベルECB理事による「経済が予想通りに展開した場合は政策を修正する必要性なし」との発言(追加緩和観測後退→ユーロ買い)、C月末ロンドンフィキシングに絡むドル売り及びユーロクロス買いが支援材料となり、米国時間午後にかけて、一時1.1964まで上昇しました。もっとも、8/18に記録した直近高値1.1967をバックに伸び悩むと、引けにかけて再び反落。本稿執筆時点(日本時間4時20分現在)では、1.1936近辺で推移しております。尚、英国市場はサマー・バンク・ホリデーのため休場となりました。

ドル円のテクニカル分析

ドル円は、8/13に記録した約3週間ぶり高値107.06をトップに反落に転じると、8/19には、一時105.10(7/31以来の安値)まで下落しました(8/28も一時105.19まで下落)。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(昨日は一時106.10まで反発するも106円台での滞空時間は短くすぐに反落。上値の重さが浮き彫りに)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(日本側は安倍晋三首相辞意表明を経てアベノミクス終了の思惑が広がる一方、米国側はジャクソンホールを経て大規模量的緩和の長期化期待)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(新規失業保険申請件数が2週続けて100万件の大台乗せとなっている為、今週末に発表される米雇用統計への警戒感が根強い)、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争拡大リスク、D米政治を巡る先行き不透明感(11/3の米大統領選)、E安倍晋三首相の辞意表明(本邦の政局不透明感)、F朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、G新型コロナウイルスの感染再拡大懸念、H日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、上値の重さが意識されます。米中対立に関するヘッドラインや、米中豪の主要経済指標の結果(中国8月財新製造業PMI、豪中銀政策金利発表、米8月ISM製造業景況指数など)、欧米株及び米長期金利の動向、本邦政治の続報(ポスト安倍の行方)を睨みながらも、当方では、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(日米の政局不透明感を背景としたドル売り・円買いに要注意。日本時間23時に発表される米8月ISM製造業景況指数のヘッドラインや内訳の雇用項目が不冴な結果となった場合、ドル売りが一段と加速する恐れあり)。

本日の予想レンジ:105.20ー106.20


注:ポイント要約は編集部

ドル円、菅義偉官房長官の出馬の意向を受けて反発するも戻りは鈍い

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