海外時間の為替概況
〇ドル円105円台半ばまで下落
〇コロナ感染第二波への警戒、米中対立先鋭化懸念、米追加財政合意期待後退が背景
〇米長期金利急低下、5年債利回りは過去最低水準を更新
〇ユーロドルは底堅い動き、1.08台を回復
〇ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が警戒される
〇7月ADP雇用統計、7月ISM非製造業景況指数など注視
〇本日の予想レンジ105.15ー106.15
4日(火)の外国為替市場でドル円は下落。@新型コロナウイルスの感染拡大懸念の高まり(フランス科学委員会は今年の秋か冬にかけて感染第2波が到来する可能性が極めて高いと警告)や、A米中対立先鋭化リスク(米ホワイトハウスのマクナニー報道官は中国のTikTokを巡り、米国が数日以内に何らかの措置を講ずると発表→中国メディアは「米国は詐欺国」と非難)、B米追加財政合意期待の後退(ムニューシン米財務長官は「1週間前と比べて議論はほぼ進展していない」と悲観的な見方を示唆)、C上記@ABを背景としたリスク回避ムードの再燃、D米長期金利の急低下(米10年債利回りは0.51%台まで急低下。米5年債利回りは過去最低水準を更新)が重石となり、米国時間にかけて、安値105.64まで下落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時45分現在)では、105.66付近で推移しております。
4日(火)のユーロドル相場は底堅い動き。@先週末金曜日(月末ロンドンフィキシング)以降のドル買いの流れ(米ドルのショートカバー)が一巡したことや、A米10年債利回りの低下を背景としたドル売り圧力、 B米追加財政合意期待の後退、CEU復興基金に対する期待感(欧州経済の回復期待)が支援材料となり、米国時間にかけて、高値1.1806まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時45分現在)では、1.1802近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、7/28に記録した安値104.78(約4ヵ月半ぶり安値)をボトムに反発に転じると、8/3には一時106.47まで上昇しました。但し、一目均衡表基準線やボリンジャーミッドバンドの上抜けに失敗したこと、強い売りシグナルを示唆する三役逆転が継続中であることに鑑みれば、テクニカル的にみて「地合は弱い」と判断できます(先週後半以降の反発は、下落トレンドの途中で見られる一時的なポジション調整)。事実、昨日は再び105円台に突入しました(106円台を維持出来ず反落→見切り売りを誘発)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、積極的な緩和方針の継続を示した米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争拡大リスク、Dトランプ米大統領の支持率低下(米政治の先行き不透明感の高まり)、E朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、F新型コロナ第2波リスク、G日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数再拡大→日本経済低迷→デフレマインド再燃→予想実質金利上昇→円高への波及経路)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が警戒されます。欧米株及び商品市況の動向や、新型コロナウイルスおよび米中対立激化に絡むヘッドライン(米財務省による中国の為替操作国認定リスクに警戒。丁度1年前の8/5に米財務省は中国を為替操作国に認定)、米追加財政合意を巡る続報、米主要経済指標の結果(7月ADP雇用統計、7月ISM非製造業景況指数など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(月末ロンドンフィキシング以降のドル高地合いは一服。米中対立リスクの高まりと米追加財政期待の後退、米長期金利低下を背景にダウンサイドリスクに警戒)。
本日の予想レンジ:105.15ー106.15
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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