ドル円、良好なISM製造業景況指数を受けて上昇するも上値は重たい
〇ドル円一時106.47まで反発
〇ダウ上昇によるリスク選好回復、米長期金利上昇、ISM製造業指数の改善等が背景
〇ユーロドルは、約1週間ぶり安値となる1.1697まで下落後、1.1767付近に値を戻す
〇ドル円の反発は足元の反発は、下落トレンドの途中で見られる一時的なポジション調整か
〇引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:105.50ー106.50
海外時間の為替概況
3日(月)の外国為替市場でドル円は下落後に反発。米株先物の下落を背景に、欧州時間朝方にかけて、一時105.58まで下げ幅を広げるも、一目均衡表転換線に続落を阻まれると、@先週末金曜日(月末ロンドンフィキシング)以降のドル買いの流れ(米ドルのショートカバー)が再開したことや、A米ダウ平均株価が上昇したこと(リスク選好の円売り)、B米10年債利回りの上昇(ドル買い)、C米7月ISM製造業景況指数(結果54.2、予想53.6)の良好な結果(昨年3月以来の高水準)が支援材料となり、米国時間には、約1週間ぶり高値106.47まで上昇する場面も見られました。もっとも、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表基準線付近では上値も重く(戻り売り圧力が根強く)、引けにかけては再び反落。本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、105.97付近まで押し戻される展開となっております。
3日(月)のユーロドル相場は上値の重い展開。@先週末金曜日(月末ロンドンフィキシング)以降のドル買いの流れ(米ドルのショートカバー)や、A米10年債利回りの上昇(ドル買い)、B米7月ISM製造業景況指数の良好な結果が重石となり、米国時間には、約1週間ぶり安値となる1.1697まで下落しました。もっとも、心理的節目1.17近辺では押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると、引けにかけて持ち直す展開に。米ダウ平均株価の上昇に伴うリスク選好のドル売りも重なる中、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、1.1767近辺まで値を戻す動きとなっております(但し、アジア時間朝方に記録した日通し高値1.1796には届かず)。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、7/28に記録した安値104.78(約4ヵ月半ぶり安値)をボトムに反発に転じると、昨日は一時106.47まで上昇しました。但し、一目均衡表基準線やボリンジャーミッドバンドの上抜けに失敗したこと、強い売りシグナルを示唆する三役逆転が成立していることに鑑みれば、テクニカル的にみて、「下落トレンドは継続中」と判断できます(足元の反発は、下落トレンドの途中で見られる一時的なポジション調整)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、積極的な緩和方針の継続を示した米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(米国がヒューストンの中国総領事館を閉鎖→中国も成都にある米国総領事館を閉鎖)、C世界的な貿易戦争拡大リスク、Dトランプ米大統領の支持率低下(米政治の先行き不透明感の高まり)、E朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、F新型コロナ第2波リスク、G日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数再拡大→日本経済低迷→デフレマインド再燃→予想実質金利上昇→円高への波及経路)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が警戒されます。欧米株及び商品市況の動向や、新型コロナウイルスおよび米中対立激化に絡むヘッドライン(米財務省による中国の為替操作国認定リスクに警戒)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(月末ロンドンフィキシング以降のドル高は一服。米ドルのショートカバー一巡後の反落リスクに要警戒)。
本日の予想レンジ:105.50ー106.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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