ドル円見通し 105円台序盤へ続落、ドル全面安を背景に円高加速(20/7/28)

ドル円は7月27日深夜安値で105.10円まで大幅続落した。105円割れをひとまず回避して28日未明へやや戻したものの105円台前半にとどまっている。

ドル円見通し 105円台序盤へ続落、ドル全面安を背景に円高加速(20/7/28)

ドル円見通し 105円台序盤へ続落、ドル全面安を背景に円高加速

〇ドル円7/27深夜105.10まで大幅続落、105円割れはひとまず回避。その後105円台前半にとどまる 
〇アフターコロナ復興期待による株高からリスク選好感強まり、ドル安進む
〇ユーロドル、7月から急伸、本格的な上昇期に入ってきた印象
〇105.10を割り込む場合は104.50前後への下落を想定。104.50以下は反騰注意
〇105.75超えからは強気サイクル入りとみて106円前後への上昇を想定。106円前後は反落警戒

【概況】

ドル円は7月27日深夜安値で105.10円まで大幅続落した。105円割れをひとまず回避して28日未明へやや戻したものの105円台前半にとどまっている。
7月10日深夜安値106.62円の後は7月15日深夜安値106.64円、7月22日未明安値106.66円と106.60円台を下値支持線とした持ち合いを形成していた。しかし7月24日の下落で106.60円台の下値支持線を割り込んで持ち合いから転落した。先週末の25日未明には105.65円から106.15円までやや戻して先週を終えていたのだが、週明けの27日は朝の取引開始早々から下落再開となり、午前には25日未明安値を割り込み、深夜にかけてさらに続落する展開となった。

【ドル全面安】

7月23日以降の下落はドル全面安が加速したことを背景としている。3月のコロナショック初期には金融市場全般が動揺してドルの買い戻し・換金売りが殺到したためにドル資金需給ひっ迫となって一時的にドルが急伸、ユーロ等が急落したが、主要国による金融緩和拡大でドル資金需給ひっ迫は解消、その後はアフターコロナの復興期待による株高によるリスク選好感の強まりでドル安が進んできた。その先頭にユーロドルがいる状況だ。
7月27日夕刻に発表された7月のドイツIFO景況指数は90.5となり6月の86.3から改善、市場予想の89.3を上回った。EUが先週の首脳会議で7500億ユーロのコロナ対策復興基金設立に合意したが、感染爆発が落ち着いた状況にある中で欧州主要国の経済復興への期待感が強まっている事がユーロを押し上げ、ポンド等の追従買いも誘発している。

ユーロドルは2017年1月3日底から2018年2月16日高値まで戻した後は丸二年間の下落期に陥っていた。しかし今年3月23日安値からの反騰が続き、7月から急伸し始めたことにより2017年1月底と2020年3月底によりダブル底を形成して本格的な上昇期に入ってきた印象がある。
メジャー通貨の加重平均であるドル指数はユーロと逆相関となるが、2017年1月3日高値103.82に対して今年3月20日の急騰場面で102.99まで上昇したもののその後の失速により両高値をダブル天井として下落期に入った印象が強まっている。先週は6月10日安値を割り込んで一段安に入ったが、その後の大幅続落により3月急騰前の3月9日安値を割り込んでいる。
欧米株高ならリスク選好感で投機通貨買いが進んでドル安となり、米国株式市場が下落すればリスク回避感はドル売りへ向かってドル安となり、諸要因に対する反応がドル安へ結びつきやすい状況といえる。そうした中でドル円は株高円安という基本的な反応に至らず、ドル全面安による円高ドル安へ舵を切っている印象だ。

【2か月サイクルの下落感強まる】

日足チャートでは、5月6日と6月23日のダブル底ラインを割り込んでの一段安となっている。6月5日の戻り高値を起点として二段目の下落であり、より大きく見れば、3月24日高値からの下落も5月6日までを一段目、6月5日の戻り高値からは二段目としての下落に入り、現在も継続中という印象だ。
昨年8月底以降は、毎月の月末月初に安値を付ける1か月周期の底打ちサイクルと、それが2セットとなった2か月周期の底打ちサイクルで推移している。すでに6月23日安値から1か月を経過して月末に来ているので、いったん安値を付けて戻してもよいところにはある。6月23日安値から7月1日高値まで2.10円の上昇幅だったが、同様の反発は入っても不思議ない。しかし2か月サイクルで見れば8月末から9月序盤にかけて下落基調が継続しやすいとすれば、短期的に8月初旬へ戻してもそこは戻り売りにつかまって次の下落期へ向かうという流れへ陥りやすいと思われる。

3月24日高値から5月6日安値までの下げ幅は5.73円であり、6月5日からの下落を同レベルの下げとすれば下値計算値は104.11円と計測される。また5月6日安値から6月5日高値への戻り幅の倍返しは102.12円と計測される。105円前後ないしは104円台へ下落してからいったん戻した場合も、その後の一段安では102円台序盤、さらに3月9日安値101.23円を目指す可能性も抱えていると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月15日深夜安値から4日目となる7月22日未明安値で前回のサイクルボトムを付けたが、23日未明高値で直近のサイクルトップを付けて下落期に入った。ボトム形成期は25日未明から29日未明にかけての間と想定されるので、27日深夜安値を割り込まずに105.75円を超えればいったん強気サイクル入りすると考えるが、そこまで戻せないうちは28日の日中から29日未明にかけての間へ一段安余地が残ると思う。またいったん強気サイクル入りする場合は28日の日中から30日朝にかけての間への上昇を想定するが、戻りは短命の可能性もあるためにその後に底割れへ進めば新たな弱気サイクル入りとなる点に注意する。

60分足の一目均衡表では7月21日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いている。27日深夜安値割れを回避して推移すれば遅行スパンは好転しやすくなるので、遅行スパン悪化中は一段安警戒とし、遅行スパン好転方はいったん戻しに入るとみて先行スパンの上下限試しへ進むと考える。ただし遅行スパンがいったん好転しても再び悪化するところからは一段安へ進みやすいと注意する。

60分足の相対力指数は7月25日未明安値から27日深夜安値への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行となっているため50ポイントを超えてくる場合は戻り高値を試しにかかりやすいと考える。ただし再び30ポイントを割り込む場合は下げ再開を警戒する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月27日深夜安値105.10円を下値支持線、105.75円を上値抵抗線とする。
(2)105.50円以下での推移中は一段安警戒とし、105.10円を割り込む場合は104.50円前後への下落を想定する。104.50円以下は反騰注意とするが、105.50円以下での推移が続くうちは29日朝にかけても安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)105.50円超えを強気転換注意とし、105.75円超えからはいったん強気サイクル入りとみて106円前後への上昇を想定する。106円前後は反落警戒とするが、105.50円以上での推移なら29日の日中も高値を試す可能性が残るとみる。

【当面の主な予定】

7/28(火)
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
22:00 (米) 5月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (4月 4.0%、予想 4.1%)
23:00 (米) 7月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (6月 98.1、予想 94.5)
23:00 (米) 7月 リッチモンド連銀製造業指数 (6月 0、予想 5)

7/29(水)
10:30 (豪) 4-6月期消費者物価 前期比 (前期 0.3%、予想 -2.0%)
10:30 (豪) 4-6月期消費者物価 前年同期比 (前期 2.2%、予想 -0.5%)
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前月比 (5月 44.3%、予想 15.0%)
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前年同月比 (5月 -10.4%)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

注:ポイント要約は編集部

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